「第59回宇宙科学技術連合講演会」が7~9日の3日間、鹿児島市で開催され、初日に軌道(宇宙)エレベーターに関する多くの講演が行われた。
今年は昨年よりも大幅に多い11の発表があり、最初に国際宇宙航行アカデミー(IAA)の軌道エレベーター研究グループが、将来の軌道エレベーター実現の上で必要になると予想される様々な課題や要素のうち、ミッション定義書及びシステム要求書案の作成について進捗状況を発表。定義書などの起草には「宇宙エレベーター建設構想」を打ち出している大林組も参加しており、同社の構想モデルも取り入れて進めていることを報告した。今後は軌道エレベーターを構成するシステムのうち、定義書などでカバーする範囲や用語統一などが課題とし、2017年には公開を目指したいとした。
続いて、同社や静岡大などから、軌道エレベーターのケーブル挙動のうち、気流など大気圏内における影響についての研究結果が示された。長大な軌道エレベーターの構造体のうち、大気の影響を直接受けるのは全体の数千分の一程度にすぎないが、天体の引力などに比べて短期的な変化が激しく、全体の振動の原因になりうるなど、システムの長期的安定重要な位置を占める。
今回は赤道上の成層圏までを対象として、過去の気象データを用いてシミュレーションを実施。この結果、ケーブルは東西、南北両方向とも大気の影響によるレスポンスが早く、直接的な変動を受けやすいこと、またケーブルに沿って直線的に伝達・分布することなどがわかった一方、変動が長期的に蓄積・成長する傾向は認められなかったという。
このほか、初日は軌道エレベーターの建造案の中では最も古典的な手法である、静止軌道から上下にケーブルを展開するやり方の研究や、ケーブルの素材別のクライマーの運動解析、軌道上でケーブル展開やクライマー走行などの実験を行う「STARSプロジェクト」の紹介などが行われた。また大林組などは、構想発表時には触れられていなかったクライマー技術についても、研究に着手し進めていることを伝えた。
2日目には、大林組などによる、国際宇宙ステーションで行うCNTの真空曝露実験の発表などもなされた。これまでのところ、地上での対照実験では、引っ張り強度の若干の低下が見られており、実際の曝露結果と慎重に比較したいとしている。
軌道エレベーター以外の分野では、民間での月面探査計画を募集する "Google Lunar X Prize" にエントリーしているチーム「HAKUTO(ハクト)」による特別講演や、技術的な発表も行われた。(軌道エレベーター派 2015/10/9)
今年は昨年よりも大幅に多い11の発表があり、最初に国際宇宙航行アカデミー(IAA)の軌道エレベーター研究グループが、将来の軌道エレベーター実現の上で必要になると予想される様々な課題や要素のうち、ミッション定義書及びシステム要求書案の作成について進捗状況を発表。定義書などの起草には「宇宙エレベーター建設構想」を打ち出している大林組も参加しており、同社の構想モデルも取り入れて進めていることを報告した。今後は軌道エレベーターを構成するシステムのうち、定義書などでカバーする範囲や用語統一などが課題とし、2017年には公開を目指したいとした。
続いて、同社や静岡大などから、軌道エレベーターのケーブル挙動のうち、気流など大気圏内における影響についての研究結果が示された。長大な軌道エレベーターの構造体のうち、大気の影響を直接受けるのは全体の数千分の一程度にすぎないが、天体の引力などに比べて短期的な変化が激しく、全体の振動の原因になりうるなど、システムの長期的安定重要な位置を占める。
今回は赤道上の成層圏までを対象として、過去の気象データを用いてシミュレーションを実施。この結果、ケーブルは東西、南北両方向とも大気の影響によるレスポンスが早く、直接的な変動を受けやすいこと、またケーブルに沿って直線的に伝達・分布することなどがわかった一方、変動が長期的に蓄積・成長する傾向は認められなかったという。
このほか、初日は軌道エレベーターの建造案の中では最も古典的な手法である、静止軌道から上下にケーブルを展開するやり方の研究や、ケーブルの素材別のクライマーの運動解析、軌道上でケーブル展開やクライマー走行などの実験を行う「STARSプロジェクト」の紹介などが行われた。また大林組などは、構想発表時には触れられていなかったクライマー技術についても、研究に着手し進めていることを伝えた。
2日目には、大林組などによる、国際宇宙ステーションで行うCNTの真空曝露実験の発表などもなされた。これまでのところ、地上での対照実験では、引っ張り強度の若干の低下が見られており、実際の曝露結果と慎重に比較したいとしている。
軌道エレベーター以外の分野では、民間での月面探査計画を募集する "Google Lunar X Prize" にエントリーしているチーム「HAKUTO(ハクト)」による特別講演や、技術的な発表も行われた。(軌道エレベーター派 2015/10/9)