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軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

宇宙エレベーター学会(JpSEC)開催

2017-06-09 10:53:56 | ニュース
「第9回宇宙エレベーター学会(JpSEC)講演会」が5月27日、千代田区で開かれた。
 宇宙エレベーター協会(JSEA)の主催で、年次総会にあわせて毎年開かれている。はじめにJSEAの大野修一会長=写真=がJSEAの活動概要と、米ネバダ州での開催を構想している「GSPEC」などについて説明。続いて大学や企業、団体などの9人が登壇し、「宇宙エレベーター建設構想」で有名な大林組の石川洋二氏、宇宙社会学研究機関(ARI)のレナト・リベラ・ルスカ氏らが、軌道エレベーターに関する研究成果や取り組みなどを発表した。



 現在、地球周回軌道上で実験が進行中の超小型衛星「STARS-C(はごろも)」を含む、軌道エレベーター実証実験に取り組む「STARSプロジェクト」に関しては、静岡大から能見公博、山極芳樹両教授、日本大学から青木義男教授が出席し、軌道上でテザーを伸ばすSTARS-Cの現状や、次に控えるSTARS-Eなど一連のプロジェクトの内容を解説。STARS-Eでは、伸ばしたテザーの間を小型クライマーが昇降する予定で、STARS-Cに続き世界初の軌道エレベーターを主眼とした実験になるという。(軌道エレベーター派 2017/6/9)

(以下は軌道エレベーター派の雑記です)
 長らく更新ストップしていて申し訳ありません。上記のJpSECで、今回JSEAで担当理事だったもので業務に追われておりました。そういう事情があるもので、マッチポンプ記事のため今回は控えめにしてあります。それにJpSECが終わったと思ったら今度は都議選で発狂しそうな状況ですし。
 私は主に書く仕事が中心なので、JpSECの開催業務に深くかかわるのは第1回以来かも知れません。やっぱり本来物書きだからでしょうか、イベント内容に工夫を凝らせればよかったのですが、関係者間の調整でアップアップで、とても余裕がありませんでした。次担当したら、発表以外に何か演出できたらいいのですが。
 そんな自分ではありましたが、皆様のご協力でなんとか終えることができました。登壇者の皆様、ご来場の皆様、改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

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軌道エレベーター実験衛星「STARS-C」打ち上げ

2016-12-11 09:05:49 | ニュース
 初の軌道エレベーターの軌道上実験衛星「STARS-C」を運ぶHTV(こうのとり)6号機を搭載したH2Bロケットが9日深夜、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。こうのとりは無事分離され、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験モジュール「きぼう」へ運搬。STARS-Cを含む超小型衛星を国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験モジュール「きぼう」へ運搬する。
 STARS-Cは親機と子機で構成され、各機は1辺10cmの立方体。「きぼう」の船外放出器からISS進行方向の斜め下方向に放出され、高度300~400km程度の低軌道上で親子が分離して約100mのケブラー製テザーを展開。宇宙空間において、テザーを目的とする上下方向にうまく伸ばせるか、また伸ばした際に親子衛星の軌道運動にどのような影響が出るかなどを検証する。11月7日に日本航空宇宙研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターで開かれた記者会見では、STARS-C開発に携わった静岡大の山極芳樹教授(宇宙工学)は「(軌道エレベーターの実験を行う衛星は)おそらく初めての試みで、有用なデータを得られると期待している」などと述べた。

 親子分離式のテザー展開実験衛星は、STARSプロジェクトで香川大学が開発した「KUKAI」などがあり、これが初めてではないが、STARS-Cは軌道エレベーターの研究を目的とした衛星であり、宇宙空間での軌道エレベーターの実証実験は事実上世界初となる。機体は「はごろも」と愛称が名付けられ、大気圏再突入の際の様子を観測するイベントも想定しており、山極教授は「二つの衛星がそろって流れ星になる様子は珍しいはず」と話す。
 同大や日本大などは、STARS-Cに続き、展開したテザーの間で小型機械を昇降させる実験衛星「STARS-E」も開発中で、理論やSFの中に終始していた軌道エレベーターの構想や研究が本格化することが期待される。(軌道エレベーター派 2016/12/11)

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第8回「宇宙エレベーターチャレンジ」(SPEC016)水戸市で開催

2016-12-01 22:06:48 | ニュース
 一般社団法人「宇宙エレベーター協会(JSEA)」(大野修一会長)が主催する、軌道エレベーターの技術競技大会「宇宙エレベーターチャレンジ」(SPEC2016)が今月5、6日の2日間、水戸市の千波公園で開かれた。
 8回目となる今年は、初の都市部での開催で、大学や企業、個人有志など約20チームが参加。高度は最高で約200mとこれまでに比べ小規模で実施され、バルーンから吊り下ろしたロープ式とベルト式の2種類のケーブル(テザー)を、各チームが自作したクライマーを昇降させて性能を競った。エントリーしたクライマーの中には、ベルトのねじれを補正するバンパーを取り付けた小田原城北工業高等学校新機械技術部のクライマーや、上下左右どの向きにもテザーを通せる、湘南工科大+大林組チームによる球形の機体など、ユニークなクライマーが参戦した。(軌道エレベーター派 2016/12/1)

(以下は軌道エレベーター派の雑記です)
 なかなか更新ができず申し訳ありません。SPECにはこれまでも運営側に片足を突っ込んだ立場でしたが、JSEAの理事に戻ったので、今回は完全に運営スタッフとして参加してました。
 今年は小規模開催で、内容に関しても例年通りであまり書くことがないのですが、会場の千波公園の緑地は、千波湖の向こうにビル群や交通量の多い幹線道路が見えて、これまで郊外やサーキットなど、住宅密集地や都市部からは離れた場所で開催してきたこともあり何とも新鮮でありました。この場所になったのは、何でも偕楽園に日本最古のエレベーターが保存されている場所だとかで、話題づくりもあって地元の方々と話がまとまった次第です。公園の一部だから「ついでに見に来た」という一般客が多く、これも雰囲気がかなり違い、会場で配ってたポケットブック300部が全部捌けてしまった。
 
 私はマスコミ対応や写真撮影係などをやっていたのですが、掲揚しているバルーンを遠くから撮影しようと思って湖沿いに公園を歩いてると、白鳥が歩道を歩いてたりするんですよ。で、水戸黄門像の辺りに行くと人だかり。

 みんなポケモンGOやっとる。

 私も、名物のりんごソフトクリームを食べながらちょこっとだけ起動しましたが、特にレアなポケモンの収穫はありませんでした。
 それにしても、SPECは技術的な意義は未知数なので、人の多い場所でやるお祭りにした方が良いと前から思っていました。安全性と二律背反ではありますが、各マスコミの水戸支局もすぐ近くだし、こういう場所での開催を模索していければと感じました。



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宇科連で九つの軌道エレベーター関連の発表

2016-10-02 09:13:10 | ニュース
 航空宇宙関連技術や天文学など、幅広い分野の研究者が成果を発表する「第60回宇宙科学技術連合講演会」(宇科連)が9月6~9日、北海道函館市で開かれた。このうち軌道エレベーター関連では、鹿児島市で開かれた昨年より2本少ない9本の発表が最終日の9日午前にあった。内訳は次の通り。

「宇宙エレベーター研究の動向と実現に向けての活動」(宇科連日程表より)
 (1) 宇宙エレベーター 国際宇宙航行アカデミー(IAA)に於ける研究状況
 (2) 宇宙エレベーターにおける静止軌道上からのケーブル同時展開建設方法の最適化について
 (3) 宇宙エレベーターのケーブルおよびクライマーの風影響について
 (4) 移動体への電力供給用マイクロ波ビームを実現するアレーアンテナの検討
 (5) 宇宙エレベータ用クライマーモデルの開発
 (6) 宇宙エレベーター用クライマー試験装置の開発と性能検証
 (7) テザー伸展実証超小型衛星 'STARS-C' の開発およびフライトモデルの性能検証
 (8) 軌道エレベータ衛星STARS-Eの試作機開発
 (9) STARS-Eテザー移動機構の設計とBBMの評価試験

宇宙エレベーター研究の国際的な最新動向
 (1)の「宇宙エレベーター 国際宇宙航行アカデミー(IAA)に於ける研究状況」では、IAAで軌道エレベーター研究チームの代表の1人を務める土田哲氏が登壇。IAAでの動向を伝えた。IAAは宇宙航行にかかわる研究や技術の後押し、顕彰などを行っているNGO。

 IAAでは従来、テザー分野で軌道エレベーター関連の発表などがあり、その流れを受けて2010年から軌道エレベーターそのものをテーマとした検討グループが立ち上がった。発表では "Road to Space Elevator Era" と題し、14年から3年間で「宇宙エレベーター時代」へ向けた、実現に必要な技術情報の収集や世界の研究の把握、課題の識別などを行っているとのこと。
 研究チームは土田氏ら数人を代表に (1)エレベーター自体の問題研究 (2)エレベーターを構成するシステムの基幹技術研究 (3)国際法・国際関係 (4)アウトリーチ活動 (5)オペレーションとインテグレーション--のサブグループを設け、各システムを定義した上で論点などをレポートとしてまとめた。
 ここでは軌道上での検証項目として、材料の暴露実験やテザー展開実験などを挙げており、「日本ではこの目的に合致したテーマが、世界にさきがけて研究されている」と強調。この活動は来年で終わる予定で、今後はIAA内にいくつかある「恒久委員会」の一つとして、宇宙エレベーター委員会の立ち上げを模索するとしている。
 土田氏によると、IAAには軌道エレベーターを一つの研究分野として認めるかについて懐疑的な見方もあり、研究推進派推進ははごく少ないという。しかしIAAの宇宙エレベーター研究グループは25人中10人を日本人が占めており、この日のほかの発表者のうち数名も名を連ねる。土田氏は「日本が先陣として道筋をつけるべく、地道で冷静な研究を進め、次世代の宇宙インフラとして基礎研究が前進していけるよう貢献したい」と結んだ。

大気がエレベーター全体に及ぼす影響
 一般に、エレベーターの全体構造のうち、ケーブルが大気に接する部分は極めてわずかながら、風によるケーブルの動きは、エレベーター全体に影響が及ぶと考えらる。大林組の大塚清敏氏による(3)の「宇宙エレベーターのケーブルおよびクライマーの風影響について」の発表では、赤道上の気象データを基に風がケーブルに与える影響を解析した過去の研究を発展させ、クライマーを含めた場合のケーブルの挙動について検証した。
 縦横各3m、長さ60mのクライマーが、全長9万6000kmのエレベーターのケーブルに沿って昇降運動を行ったと想定してシミュレートしたところ、クライマーの走行によるコリオリ力がケーブルを西方向へ大きく動かす一方、クライマー本体に対する風の作用によるケーブルへの影響は小さいことなどが確認できたという。またクライマーのが上昇運動がケーブルを引きずり下ろすことでコリオリ力が生じ、ケーブルに風とは逆方向の動きを与えることなどが判明。こうした結果について「今後、長期的な作用を明らかにしていく」と述べた。

初の軌道上実験に向けて
 (7)の小型衛星STARS-Cに関する発表では、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」から放出して、軌道上でテザー展開を行う小型衛星のメカニズムを紹介。実機はすでに完成しており、打ち上げが待たれる。続く(8)(9)では、軌道上で展開したテザーに沿ってクライマーを動かす実験に挑戦する「STARS-E」について、静岡大の能見公博士教授らが説明した。
 STARS-Eは親子衛星の間を結ぶテザーを、孫衛星にあたるクライマーが昇降するもので、現段階ではテザーを最大2km展開することを目指す。親子衛星の結合や、2kmものテザー展開など課題は多いものの、クライマーを動かして様々な影響のデータを取るという実験について、能見教授は「軌道上でやったことは世界的にもないだろう」と意気込みを見せた。

 孫衛星にあたるクライマーについては日本大学が開発しており、これまでに試作機を3機製作して実験を行い、現在4機目を開発中。同大はJSEA主催の「宇宙エレベーターチャレンジ」(SPEC)でも優れた実績を上げてきた常連校でもあり、SPECでの経験で得た知見も盛り込んでいるとのこと。
 現段階では直径0.6mmのテザーを1km以上移動する小型クライマーの開発を目指しており、これまでの3機の性能試験の結果から、駆動は金属製ローラー1~2個で可能であることや、小型化や重量バランスが命題であるといった知見、課題が得られたという。このほか、クライマーの動力源となる太陽光発電パネルの配置について、機体デザインを四角柱と六角柱のいずれにするかを検証したところ、四角柱は六角柱の1.7倍の発電量を得られたことから、4号機は四角柱で開発を進めるとた。発表した同大の角田智寛さんは「さらに性能試験を重ね、エンジニアリングモデルの製作につなげていきたい」と意欲を見せた。

 このほか、今回の宇科連では、エレベーターの建造初期に、静止軌道上から上下方向にケーブルを展開した場合の挙動や、クライマーへの電力供給の一方法としてのマイクロ波を送るアンテナの研究などの発表が行われた。
(軌道エレベーター派 2016/10/1 今回の記事は宇宙エレベーター協会と一部重複します)

(以下は軌道エレベーター派の雑記です)
 今回の宇科連で「宇宙エレベーター研究の動向と実現に向けての活動」という柱を立てて発表が集約され、最終日の午前中いっぱいの2コマ分の枠が充てられたことは、色んな個別のテーマのコマに取り込まれて埋没していた数年前と比べると、かなりの進歩という気がします。
 反面、内容は昨年のテーマの進捗を報告するものが多く、その意味では新しい話題は少な目ではありました。それは個々の内容の成熟ともとれるし、全体的には停滞と見ることもでき、痛し痒しに思えます。軌道エレベーターは未開拓の分野なので、まだまだ手を付けられていない話題がたくさんあり、伸びしろも大きいはずなのですが、その現実味の遠さゆえに、牽引していく研究者層はまだまだ薄いと言わざるを得ません。軌道エレベーター派/宇宙エレベーター協会両面でその関心を高めることの一助になるよう、今後も微力を尽くしたいと思います。
 ちなみに、宇科連に出ることは、私としては年1回の旅行でもあるのですが、今回は東京を発つ時に台風が沖縄あたりにあり、函館に着いた頃には北上して東北あたりと、まるでストーカーのように追いかけてきました。その影響で常に天気が悪く天気は散々。お陰で今回は観光が一切できませんでした。はあ。

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宇宙エレベーター学会(JpSEC)開催

2016-05-29 21:33:34 | ニュース
 宇宙エレベーター協会(JSEA)主催の「宇宙エレベーター学会(JpSEC)講演会」が28日、千代田区で開かれた。
 JSEAが毎年開いている学会と年次総会を兼ねたもので、午前中の総会で年度事業の承認や役員の選任などが行われた後、午後には各分野の研究者が軌道エレベーターに関して講演。『宇宙エレベーターの物理学』著者で、星新一賞でグランプリを受賞した東海大学の佐藤実講師による開会あいさつに続き、大野修一・JSEA会長が軌道エレベーターの研究の現状やJSEAの取り組みなどを伝えた。
 
 「国連宇宙条約と米国2015年宇宙法」と題した、日本大学の甲斐素直教授の講演では、米国の宇宙関連法規の特徴や問題点などを解説。宇宙の資源について、米国が優先的な所有権を有するかのようにも受け取れる内容になっており、独占を禁じた国際法に抵触する問題点などを挙げ、「意図的に、宇宙条約の規制を免れられることを意図しており、違法である」と指摘した。

 2012年に「宇宙エレベーター構想」を打ち出したした大林組の石川洋二氏は、軌道エレベーターのピラーを構成するケーブルの挙動の研究を中心に、同社の取り組みの現状を紹介。静止軌道から上下両方向にカーボンナノチューブ製ケーブルを伸ばした場合のケーブルの振る舞いを解析した結果、ケーブルは最初コリオリで東西方向に運動し、一定以上伸びると重力や遠心力の大きさが勝って反対側に寄っていくとした。またクライマーの昇降運動によるコリオリの影響については、降下時の方が振幅が大きく、昇りと同時に行われた方が安定するなどと説明した。

 このほか、クライマーの性能や、地上基部のデザインなどに関する発表が行われた。(軌道エレベーター派 2016/5/28)


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