スダレと網戸でモワレ縞

2021-07-19 14:28:37 | サラリーマン人生
 熱い陽射しを防ぐ目的で我が家の軒先にスダレがブラ下がった。 ベランダ側には網戸がハマっている。 そんな状態の室内に寝転んでボヤッと外を眺めていて「モワレ縞」が出来ているのに気がついた。 スダレが風で揺れるとモワレ縞も揺れ動きます。

 昭和40年代の終わり頃、 所属していた部署は二次元温度画像を取得出来る装置・赤外線カメラの開発・設計を担当する部署だった。 現今の小型テレビカメラを想わせる赤外線カメラとは違い、 当時の医療用のそれは画像情報を得るために大きな凹面鏡を機械的に振り回し、小さな米粒サイズの一次元検出器に被写体からの赤外線を集光させて電気信号に変換し、 人体表面の二次元温度分布画像を取得する、 とんでもなく大掛かりな装置だった。

 寝転がって見たスダレの上のモワレ縞。 それはまさに、 その旧式な光学的二次元スキャン機構での位置検出部に使われた技法なのでした。

 そう言われても「なんのこっちゃ?」、 「意味不明!」と言われそうだから、もう少し書き足します。

 写真のスダレを構成する竹ひごは 5 mm 間隔の隙間が出来るように編まれています。 そして僕がモワレ縞と呼ぶパターンはそれよりも間隔が広い縞模様の事なのですが、 詳細に写真をみるとそのシマ模様1本の間隔の間には竹ひごが4~5本並んで納まっているのが判るでしょうか。これを応用すると・・・ 狭い間隔で並べた目盛線の幅よりも大きなサイズの検出器をつかっても微細な目盛り線一本いっぽんの動きを検出出来るのです。

 ところで写真では網戸と竹ひごで発生したモワレ縞はどことなくボヤッとした物です。 しかし等間隔なパターンを透明なガラス板に金属薄膜のエッチングの様な手法で描画したた物を適度な角度で交差させて発生するモワレ縞の場合、 縞の見え方も良く、 モワレ縞を検出する素子から良好な電気信号を得る事が可能となり、 大きな凹面鏡を首振り扇風機の如く左右に振らせた際の振り角度を微細に検出する検出手段になるのでした。

 今のサーモカメラではスマホのカメラと同様に小さな二次元的な撮像素子を使用していますから、 「光学系を機械的に振り回して二次元情報を得る」 そんな旧式な方法は採用していません。 「しかし天文学の世界では電波望遠鏡なんかとてつもない大型の凹面鏡に相当するパラボラアンテナ使っています。 そしてX/Y二軸の内、 一つの軸は地球の自転を利用して、 もう一つの軸の分だけ機械的にスキャンして、 宇宙の中を2次元的にスキャンしたのと同様な情報を得たりしています・・・」 とさ。  最後の電波望遠鏡がらみの部分は受け売り話です。
コメント