温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

五色温泉 五色の湯旅館

2011年08月22日 | 長野県

温泉ファンにはお馴染みの有名な温泉宿。信州秘湯会のリーダー的な存在でもあるこのお宿は、既に多くの方によって賞賛されており、あるいは詳しく紹介されていますから、何度か立ち寄り入浴で訪れただけの私がいまさら能書きを垂れても意味がありませんが、個人的な入湯記録として僭越ながら書かせていただきます。


玄関前には「沢かにのから揚げここは奥しなの」と篆刻された苔むした句碑があります。竹山という号はこの宿のご主人の俳号なんだそうです。山奥の鄙びた宿の質素な情景が思い起こされます。


浴室は玄関を入って左手に進み、階段を下りてゆきます。途中、いまどき珍しい瓶コーラの自動販売機が設置されており、お風呂上りに飲むと最高に美味い。瓶の王冠をグイっと開ける瞬間が何とも言えません。

 
(右(下)サムネイルはクリックで拡大) 
階段は途中で分岐しており、画面前方へ進むと内湯、手前側へ折り返すと露天風呂につながっています。構内地図も貼ってあるので無問題。まずは内湯から。


いろいろな額縁で飾られた階段を下りてゆくと…

 
内湯前に到着。昔ながらの湯屋風情たっぷりですね。脱衣所は超コンパクトで、左右シンメトリに造られた棚しかありません。

 
木のほぼ正方形の浴槽。カランはありません。洗い場はスノコ状の板敷きで、それぞれの板は浴槽から放射状に広がる形状になっています。バスクリンを入れたような綺麗な黄緑色に強く濁るお湯には、白い羽根状の湯華がたくさん浮遊しており、また湯中では白いコロイドが無数に見られ、黒いコロイドも少々混ざっています。これらのコロイドのコンディション、温度、光の反射の違いによって、お湯はこの日のような黄緑色以外にも、いろんな色に変化するんでしょうね。五色温泉の名前の由来であります。浴室に漂う強い硫化水素臭にクレゾールを彷彿とさせる消毒液のような刺激臭(無論薬品ではなく泉質由来)が混ざって匂い、口に含むと硫黄味(やや砂消しゴム的な味も含む)+石膏味+強い苦み&渋みが感じられます。特に苦みと渋みは口腔にしぶとく残ります。
湯口から投入されるお湯はかなり熱く、そのままでは入れなかったのですが、ちょっと加水して湯もみしたら、すぐに入れるようになりました。


硫黄のお湯っていいですね。何とも言えない心地でじっくり湯に浸かり、ふと高い天井を見上げると、柱や梁が立派なこと! この雰囲気に包まれながら、いつまでも浸かっていたいなぁ。


 
続いて露天へ。トンネル状の通路を進んでいきます。途中硫黄の鉱床らしき岩を迂回。

 
屋外に出ると、ポツンと小さな脱衣小屋が建っています。脱衣小屋というより納屋みたいな質素なものですね。
露天風呂は混浴でして、この小屋も男女共用ですが、この小屋の右手には女性専用の露天と小屋もあるので心配ご無用。
なおトンネル通路から屋外へ出てステップを下りた通路左脇下には、小さな源泉井と思しきコンクリ製の枡があり、そこからホースが何本も出ていました。

 

松川に開けた渓谷の露天風呂は開放感抜群。内湯とは全く異なるお湯で、黒いホースがかなり熱い源泉が投入され、冷ますための水も一緒に注がれています。浴槽のお湯は川へ向かってしっかりオーバーフロー。
お湯はほぼ無色透明ですが、暗いグレーの湯華が湯中でたくさん舞い、そして沈殿し、湯船足を入れるとブワっと舞い上がって、たちまち灰色に濁ります。ツンと鼻孔を刺激するような硫化水素臭と軟式テニスボールのような臭いが混ざって匂い、口に含むとやはり軟式テニスボール的な味、そして石膏味、さらに遅れて苦みが感じられ、渋みがしぶとく舌に残ります。目の前が川ですから、夏などはお湯で火照った体を川に入ってクールダウンさせたら気持ちよさそうですが、危険防止の観点でしょうか、川に入るな、という注意書きが露天風呂のまわりにはたくさん見られました。
私が余計なことを申し上げると却って泥を塗りそうな気がするので、もうこれ以上は何も書きません。内湯露天ともにいい湯です。


内湯:五色の湯源泉
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉(硫化水素型)
60.9℃ pH7.0 湧出量不明(掘削自噴) 溶存物質1063mg/kg 成分総計1169mg/kg (遊離硫化水素48.0mg) 加水加温循環消毒なし

露天:五色温泉元湯
単純硫黄温泉 57.5℃ pH7.7 57.2L/min(自然湧出) 溶存物質981.6mg/kg 成分総計1013mg/kg 
加水加温循環消毒なし

長野県上高井郡高山村大字奥山田3682-6  地図 
026-242-2500
ホームページ

10:00~16:00(受付は15:00まで)
500円
内湯にシャンプー類あり、他の備品なし

私の好み:★★★
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七味温泉 (渓山亭)恵の湯

2011年08月21日 | 長野県
※残念ながら閉館しました。

 
七味温泉の旅館「渓山亭」が運営する2009年にオープンしたばかりの新しい入浴施設です。一応「渓山亭」の別館的な位置づけのようですが、日帰り入浴施設としての機能も大いに有しており、週末はこの施設を目当てに七味を訪れるお客さんも多いんだとか。
七味温泉の旅館はみな松川の橋を越えたところに位置していますが、この「恵の湯」は橋の手前を右に曲がり、閉館してしまった牧泉館の方へ向かう道の途中にあります。特に大きな看板などはありませんが、広い駐車場や新しめの木造建築が目立つのですぐにわかるはず。受付(料金支払い用の小窓あり)のある棟には休憩室を兼ねた食堂が設けられています。この日はなぜかお客さんの姿が無く、係のおじさんが私の方へやってきたので、私はこのおじさんに直接料金を手渡しました。初めての訪問である旨を告げるとおじさんは「必ず足やお尻に硫化鉄が付着して黒くなりますけど、洗えば落ちますから心配しないでください」と説明するや否や、「ちょっと待ってて」と口にして小走りにお風呂の方へ向かい、お風呂のコンディションをチェックしてから戻ってきて、「外気温の関係で今日はもしかしたらちょっと熱く感じるかもしれないけど、その時は言ってください」と教えてくれました。
その後入浴中にわかったのですが、このおじさんは実にこまめに湯加減をチェックし、その都度バルブの開き具合を調整して、お客さんに常にベストコンディションのお湯を提供しようと心掛けているのです。おじさんの努力に感謝しながら男湯の暖簾が掛かっている小屋へと向かいます。


脱衣小屋へと向かう途中で、さっそくこれから入る露天風呂が姿を見せてくれました。いい雰囲気ですね。期待が持てます。

 
簡素ながらもシックで落ち着いた色調にまとめられた脱衣室。畳敷きなので素足でも快適です。また室内には温泉を利用した床暖房が設置されています。天井が低いため、吊ってあるぼんぼりのような照明器具に頭をぶつけがちで、実際に一部が丸く凹んでいました。

 
脱衣小屋の建物には内湯が付帯しています。オープン当初は無かったそうですが、後から増設したんだとか。石造りの四角い浴槽には白濁したお湯が張られています。夏など屋外の方が快適な時季だとあまり利用機会は無いかもしれませんが、冬の厳寒期にはこの内湯が大活躍しそうですね。なお洗い場にはシャワー付き混合栓が3基(2基だったかな?記憶が曖昧…)。

 
脱衣所へ入る前にもちょこっと拝見しましたが、露天風呂は実に爽快な雰囲気です。お風呂は松川に向かって開けており、開放的な空間の中で白樺や楓の木がいい塩梅の間隔で植えられ、また対岸の山を借景することによって、全体的に爽やかな景観を作り出しています。夏は木々の緑、お湯の白、そして空の青がトリコロールを為し、また秋にはその3色のうち緑が紅葉の赤へ、冬には真っ白なモノトーンへとそれぞれ変化し、四季折々の美しさが楽しめることでしょう。

 
湯口は竹筒と岩の2か所があり、竹筒から出てくるものは素手で触れるとやけどするほどの激熱で、一方の岩から流されるものは44~5℃まで下がっていましたが、おじさん曰く、岩からのお湯は床暖房で熱交換されて(つまり冷まされて)いるから、その温度になっているんだよ、とのこと。加温加水循環消毒は無く、投入されて浴槽に張られたお湯は、湯口と反対側にある湯面スレスレの位置に口をあけた塩ビ管から排湯されていきます。
やや灰色がかった乳白色に濁るお湯は、この日の青い空を映していたためか青みも帯びていて、とっても綺麗な色合いです。砂消しゴムのような匂いと、硫化水素から刺激を除いたようなマイルドな硫黄臭、そして砂消しゴム的な硫黄味+石膏味+口腔内に残るハッキリとした苦み・渋みが感じられます。強めのギシギシ浴感の中に弱いスベスベ感も含んでいるようでした。そしておじさんが言っていたように、本当にお尻や足の裏が真っ黒に染まります。私の足の裏をお見せして大変恐縮ですが、ご覧のとおり真っ黒です。白濁のお湯と足裏の黒というギャップが面白いですね。

 
露天風呂の傍には熱湯が注がれている鉢が置かれています。何に用いるのかよくわかりませんが、おじさん曰く、このお湯も床暖房と同じ源泉を引いていて、こちらは屋外の敷石を暖めているんだけれども、距離が短いから熱いままなんだそうです。同じ源泉だというのに、こちらのお湯は白濁しておらず、寧ろ黒っぽいですね。館内に掲示されている分析表にも記されていますが、このお湯ははじめのうちは無色透明なのですが、外気に触れたり冷めたりすると白濁するようです(全国の白濁する温泉も大抵の場合は同様です…)。

雰囲気といい、お湯の質といい、おじさんの温泉に対する愛着といい、実にすばらしい露天風呂でした。温泉ファンのみならず、白濁な温泉をご希望の女性にもおすすめです。なお真っ黒に染まった足裏は、ボディーソープでゴシゴシ洗えば大体落とせます(若干残りますが、数日で消えちゃいます)。今度は紅葉の時期に再訪したいなぁ。


七味温泉第2号井戸
単純温泉 62.5℃ pH6.6 150L/min(動力揚湯) 溶存物質826.4mg/kg 成分総計852.4mg/kg
カルシウムイオン131.0mg/kg(59.08mval%)、硫酸イオン446.0mg/kg(84.45mval%)

長野県上高井郡高山村七味  地図
026-242-2921(渓山亭)
ホームページ 

※残念ながら閉館しました。
10:00~17:00
500円
シャンプー類あり、他の備品類は無し

私の好み:★★★
コメント (6)
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七味温泉 山王荘

2011年08月21日 | 長野県

紅葉の名所として知られている信州の七味温泉は、お湯の質と秘湯感が素晴らしく、私も何度か足を運んでいます。ここには3軒ほどの旅館があり、その一番奥に位置しているのが今回記事にする「山王荘」です。


目の前の崖上には源泉があって、そこから道路へお湯が勿体ないほどたくさん溢れ出ています。

 
駐車場にはアツアツの源泉を引いた湯汲み場があって、自由に持ち帰って良いんだそうです。お湯からは硫黄のいい匂いが漂ってきます。コップが置かれているので飲泉も可。火傷には十分注意を。

 
広くヤケにガランとしたロビー。フロント台には「お風呂のお客様へ 席をはずして居ます 料金を入れてお入りください 係より」と書かれた紙とともに、ペン立てらしきものが置かれていました。ここのフロントは人がいない時間帯が多いらしく、入浴客はここにお金を納めて勝手に入っていいようですが…

 
私はいままで2度訪問していますが、2回とも宿のご主人が出てきて下さり、浴室へのルートやお湯の入り方など、愛想よく丁寧に教えてくれました。お風呂へはフロントから廊下を歩いて、旧館と思しき建物へと向かいます。


建物は古めですが、さすが旅館だけあって脱衣所は綺麗で良く手入れされています。

 
浴室に入った途端、硫黄の香りに包まれます。洗い場にはシャワー付き混合栓が7基設置され、水栓金具は硫化して黒く変色しています。

 
この画像の撮影時は私が一番風呂だったのか、内湯浴槽の湯面には石膏らしき膜が張っていました。こういうのを見ると興奮しちゃいます。お湯は加温加水循環消毒無しの完全掛け流し。浴槽はタイル貼りですが縁は木で作られ、その縁にあけられた2つの穴からお湯が排湯されています。
少々翠色を帯びつつ強く白濁したお湯からは、硫化水素型の硫黄泉らしいお馴染みの匂いが香ってきますが、鼻孔をツンと突くような刺激はあまり強くありません。口に含むと、硫黄味と石膏味、そして遅れながらもはっきり感じられしっかり後に残る苦みを有しています。湯中には羽毛のような白い湯の花が舞い、黒い羽根状の湯の花も少々混じっています。石膏の影響によりギシギシと肌に引っかかる浴感。丁度よい湯加減です。


湯口には鯉2匹を浮き彫りにした黒いお皿が置かれ、そこに源泉が落とされています。お湯の流路では白い羽毛状の湯の花がユラユラしていますが、お皿全体には石膏の白い析出がビッシリこびりつき、その上に黄色い硫黄が付着していて、なんだか凄いことになっています。

 
内湯から屋外に出て階段を下りると露天風呂です。源泉が滝状に落とされている露天風呂の湯口の岩は、薄い黄色を帯びた白色に完全にコーティングされていました。
渓流沿いなので川のせせらぎの音が聞こえますし、川からのそよ風も吹いてくるのでとっても爽快ですが、木が繁って視界を遮っているため、さほど眺望が得られるわけではありません。またお風呂の上にもまるで屋根のように枝が覆いかぶさっています。このように全体的に木に覆われた野趣溢れる露天風呂には、自然の仲間たちも湯あみに集まってくるのか、湯面には虫やら花やらいろんなものが浮かんでいました。湯面の広さや湯口の位置などに影響されるのか、露天風呂のお湯は場所によって湯加減にムラがあり、個人的には内湯の方が気に入りました。でも紅葉の時期になれば、露天風呂がまるごと紅葉に包まれるんでしょうね。
ここには夏にしか訪れたことが無いので、今度は是非紅葉の時期を狙ってみたいと思います。


牧新七味温泉(分湯槽)
単純硫黄温泉(硫化水素型) 46.3℃ pH6.3 湧出量不明 溶存物質808.7mg/kgkg 成分総計876.0mg/kg
カルシウムイオン146.2mg/kg(67.10mval%)、硫酸イオン353.4mg/kg(67.58mval%)、遊離二酸化炭素51.4mg/kg 遊離硫化水素15.6mg

新七味(分湯槽)
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉
71.4℃ pH7.1 150L/min 溶存物質1695.9mg/kg 成分総計1857.2mg/kg
ナトリウムイオン127.1mg/kg(23.81mval%)、カルシウムイオン298.2mg/kg(64.06mval%)、塩素イオン262.2mg/kg(31.79mval%)、硫酸イオン570.4mg/kg(51.03mval%)、遊離二酸化炭素135.8mg/kg 遊離硫化水素24.1mg

長野県上高井郡高山村奥山田七味2974-53  地図
0262-42-2627

日帰り入浴8:00~20:00 10:00~18:00
500円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (4)
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濃溝温泉 千寿の湯 (そして久留里線のキハ30)

2011年08月19日 | 東京都・埼玉県・千葉県
 
上総亀山「参温泉」の3軒目です。1軒目「七里川温泉」と2軒目「亀山温泉ホテル」については各ページをご参照あれ。
笹川湖上流の県道沿いには清水渓流広場というちょっとした公園が設けられており、そこには3軒のペンションのような建物が建っています。いずれも「濃溝温泉千寿の湯」の関連施設で、県道に最も近い棟(上画像)は宿泊棟、その隣は食堂、そして一番奥の川岸に接した建物が温泉棟となっています。県道沿いの電光看板には「源泉かけ流し」と表示されており、「日帰り入浴できます」とプリントされた幟もはためいているので、どんなお湯なのか、入ってみることにしました。

 
こちらが温泉棟です。玄関前にはボートを転用した足湯が設置されていましたが、訪問時は空っぽでした。
東京近郊の日帰り入浴施設らしからぬ、こじんまりとしたアットホームな造りです。館内には食堂を兼ねた休憩室があります。


建物自体が小さめなので脱衣所も狭いのですが、手入れはよく行き届いていて清潔です。室内には冷水タンクと紙コップが用意され、湯上りの水分補給には最適。こういう細かな配慮はありがたいですね。

 
お風呂は内湯のみで、民宿のお風呂みたいなシンプルな造りです。洗い場のカランはシャワー付き混合栓が4基設置されており、浴槽は1つで4~5人サイズでしょうか。窓からは自然あふれる笹川湖最上流の景色が望めるんだそうですが、あいにく訪問時はすでに日が暮れており、景色を楽しむことはできませんでした。

 
木製の湯口(お湯が出るところだけステンレス)から出てくるお湯は、浴槽の縁に這わせてある樋を流れながら浴槽へと注がれていきます。樋の途中には穴があけられており、そこからもお湯が注がれます。そしてその浴槽に張られたお湯は縁から静かにオーバーフローしていきます。湯口の木箱にはバルブが内蔵されていますが、客が操作することはNGのようです。湯口直下に置かれた温度計は40℃を指していました。

お湯は微かに紅茶色を帯びた透明で、まるやかながら明瞭なタマゴ臭とタマゴ味、そして重曹味とほろ苦さが感じられます。またモール臭に似て非なる香ばしい匂いも仄かに漂っていました。弱いながらもはっきりとした重曹泉的なツルスベ浴感があり、お湯に体を沈めてじっとしていると肌にゆっくり気泡が付着します。
源泉温度が低いので加温されていますが、程ほどの温度に抑えられているため、いくらでも長湯できそうな実に気持ち良い湯加減でした(熱いお湯が好きな方には物足りないかも)。ぬるめの重曹泉は私の好みのストライクゾーンど真ん中なので、この時もじっくり長湯させていただきました。また先客の方は、何度も入ったり出たりを繰り返すことにより、やはり長湯を楽しんでいらっしゃいました。
源泉湧出量が限られている上に加温もしているのに、常時放流式の湯使いを実現させているのは立派だと思います。個人的には気に入りました。房総の鉱泉は個性的で奥が深いんですね。


温泉法上の温泉(冷鉱泉)(温泉法第2条別表の重炭酸そうだの項による)(温泉法別表では何故か重炭酸ソーダ(炭酸水素ナトリウムの別称)のソーダが「そうだ」と平仮名表記されています)
15.7℃ pH8.5 22L/min(自然湧出) 溶存物質0.763g/kg 成分総計0.763g/kg
ナトリウムイオン198.4mg/kg(89.52mval%)、塩素イオン75.6mg/kg(21.58mval%)、炭酸水素イオン350.8mg/kg(58.26mval%)
加温あり、加水・循環・消毒については記載無いがおそらく該当なしと思われる

JR久留里線・上総亀山駅から君津市コミュニティーバスの香木原行に乗車し「清水渓流広場」バス停下車すぐ(所要約12~16分、200円)
千葉県君津市笹1954-17  地図
0439-39-3791

10:00~21:00 火曜定休
800円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品はフロント預かり

私の好み:★★


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●おまけ 久留里線のキハ30


かつて関東圏では八高線や相模線で当たり前のように乗車できたキハ30・35ですが、いまではこの久留里線や譲渡先の関東鉄道で最後の活躍を見せるのみとなってしまいました。しかも関東鉄道では早々の引退が決定しており、久留里線でもキハE130への更新が予定されているため、その雄姿は過去帳入りしてします。そこで私のヘタクソな画像で申し訳ないのですが、キハ30の記憶をとどめておくため、その姿をここに残しておきたいと思います。下手な私に走行中の姿は撮影できないので、車両の部位に注目してみました。

 
上総亀山に停車中。

 
上総亀山はホーム有効長が短いため、3両以上つないでいる場合、ホームからはみだす車両はドアカット。
外吊り両開きのドアは日本では珍しい。

 
ドアを車内から見たところ。戸袋窓の上には「手をださぬよう」にという注意書きあり。


ドア開閉ボタン

 
ロングシートが並ぶ車内。冷房はないので、夏は窓を全開に。天井では扇風機がフル回転。車内には余計なものが無いのですっきりしています。


運転台。国鉄車両らしい大きな受話器や「タブレット再度確認」というシールが目を惹きます。


「キハ30 100」のプレート


昭和の通勤車両のシンボル、グロベン。

このような車両が2011年の今日まで現役であり続けていることは奇跡なのかもしれません。
コメント (2)
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亀山温泉 亀山温泉ホテル

2011年08月19日 | 東京都・埼玉県・千葉県
 
前回取り上げた七里川温泉から亀山地区の温泉をハシゴすべく、七里川温泉バス停(温泉から100mほど南)から君津市コミュニティーバス「風っ子号」に乗車。

 
バスは上総亀山駅前を経由し、周辺をグルグル廻りながら、ダム湖である亀山湖のダム上を通過。車窓からは湖畔に建つ「亀山温泉ホテル」が望めました。そして亀山湖バス停で下車。


いかにも昭和な感じの、やや草臥れた佇まいの外観。

 
天井の低い館内や置かれている什器類もやはり昭和な雰囲気ですが、古いながらもよくお手入れされています。湖を望むロビーは、平日に訪問したからか誰もおらず、とっても静かでした。フロントでは若主人が明るく対応してくれました。日帰り入浴1000円という料金設定にたじろぎながらも、野口英世さんを一枚渡して、お風呂へと向かいます。浴室はロビーを左に折れたところにあります。

 
ダム湖が築かれる以前にもここには亀山鉱泉が存在しており、その時の様子は写真に残されて館内に掲示されていました。

 
(右(下)サムネイルはクリックで拡大)
脱衣所は広くて大きな鏡があり、アメニティーも揃っていて非常によく手入れされており、清潔で気持ち良く使えました。外観からもわかるようにこのホテルは全体的に老朽化しているのですが、手入れを徹底したり小物を替えたり手作りのポスターを作ったりするなど、若主人や女将が自分たちのできる範囲で頑張って、建物の古さをカバーしようとしているんですね。ホ-ムページを見てもその努力が伝わってきます。若主人はご自身の温泉ソムリエとしての知識で亀山温泉の良さを解説しており、手作りポスターには温泉ソムリエ主催者の遠間氏が好んで使いそうな「三大美人泉質」という語句などが目立っていました。またフミン質(腐植質)についても強調されており、つまり亀山温泉はモール泉的な重曹泉だからお肌にとっても良いんですよ、ということを仰りたいようです。それでは実際にどんなお湯なのか、入ってみましょう。

 
浴室は亀山湖を望む展望風呂です。内湯のみで露天はありません。平日ゆえか、私一人でひたすら独占できました。
男湯はかなり広く、浴槽も湖岸に沿うような形を描いているとても大きなものですが、絶好の位置は男湯によって占められているため、位置から推測するに、女湯の展望は男湯と同等のものが得られるんでしょうか。古い施設は大抵お風呂の構造が男尊女卑だったりしますから、ちょっと心配です。


洗い場には古いシャワー付き混合栓が7基用意されています。


ガラス窓に面した大きな浴槽の他、出入口傍にはこのような半円形の小さな槽もありますが、大きな浴槽とお湯の質も温度も大して違いがありませんでした。


浴槽へ注がれるお湯は大きな岩から滝のように落とされています(岩の上には配湯用のVU管が丸見え…)。若主人ご自慢のお湯は典型的な黒湯で、透明度は40センチほどでしょうか、湯あみしているとまるでアメリカンコーヒーの中に浸かっているような気分です。黒っぽい浮遊物もちらほら見受けられます。館内表示によれば非加熱源泉と加温循環消毒したお湯を混合させているとのことですが、浴槽からのオーバーフローは全く見られませんでした。でもお湯が黒いので浴槽内の吸引口などは確認できず(どこかにあるはずですが…)、消毒の匂いなども全然気になりませんでした。
ゆで卵をスープにしたような、マイルドな塩味と弱い卵黄の味、そしてタマゴ臭とモール臭を足して2で割ったような匂いが感じられます。フミン質は含まれているものの、モール泉的な匂いはそんなに強くないかも。しかしながら、さすが黒湯だけあり、強いヌルヌルツルツルスベスベ感を有しており、お肌は魔法がかかったかのように忽ちスベスベになり、思わずウットリしちゃいました。湯加減もちょうど良い具合です。これで完全かけ流しだったら素晴らしいのですが、源泉温度が低くて加温が必要ですから贅沢は言えません。


この亀山温泉で私が声をあげて感動したのが源泉井です。湯上りに屋外の足湯の方へ歩いてゆくと…

 
そこには源泉井があるのですが、これが実に凄い! 大量の黒湯が音を立てながらものすごい勢いで自噴し、そこから溢れ出て惜しげもなくドバドバ捨てられているのです。千葉県にこんな温泉の源泉があったとは! 地熱資源に乏しい千葉県は温泉にも大して恵まれていないと勝手に思い込んでいたのですが、この源泉はそんな私の先入観を見事に覆してくれました。いままでの自分の無知を大いに恥じます。しかもこのお湯は持ち帰り自由というのですから、ありがたいではありませんか。

 
湯面には白い泡が立ち、流路には硫黄由来と思われる白い綿状の物が大量に付着していました。辺りにはお風呂で感じた(タマゴ臭+モール臭)÷2の匂いが強く漂っています。味も明瞭。ヌルツルスベ感も強力です。


源泉井の隣には無料の足湯がありますが、時間の関係か、この時はクローズされていました。

お風呂もさることながら、源泉井を見るだけでも私は十分満足できました。個人的にはこの自噴井だけでも観光名所として皆さんに紹介したいほどです。草臥れた施設をひたむきな努力によって、懸命に古さを払拭しようとする宿の姿勢も立派だと思います。一方で、1000円(JAF会員証提示で800円)という強気(というか焦燥感なのかも)の料金設定はちょっと疑問ですし、ホームページ上における「源泉100%掛け流し」という表現も、現実には循環併用なわけですから、この表記はちょっと紛らわしいかなと思います。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 26.2℃ 溶存物質2.70g/kg 成分総計2.70g/kg
ナトリウムイオン910.2mg/kg(87.64mval%)、塩素イオン899.2mg/kg(65.43mval%)、炭酸水素イオン717.6mg/kg(30.34mval%)、メタケイ酸84.6mg/kg、腐植質9.0mg/kg
加温・濾過循環・消毒あり

JR久留里線・上総亀山駅より徒歩10~12分、あるいは同駅より君津市コミュニティーバスの香木原行に乗車して亀山湖バス停下車すぐ
千葉県君津市豊田65  地図
0439-39-2121
ホームページ

日帰り入浴11:00~18:00
1000円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品はフロント預かり

私の好み:★★
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