アイスランドの温泉といえば、世界最大の露天風呂「ブルーラグーン」が超有名ですが、北アイスランドにもこれに勝るとも劣らない立派な観光客向けの露天風呂があると聞き、行ってみることにしました。その名もミーヴァトン・ネイチャーバス(Myvatn Nature Baths)。実にストレートなネーミングです。なおアイスランド語では"Jarðböðin við Mývatn"と表記するんだそうでして(私にゃ読めませんけど…)、道路の標識もこの現地語で表記されていますから、自分で行かれる方はそのことを念頭に置かれるとよいかと思います。
場所はミーヴァトン湖畔の観光拠点レイキャフリーズ(Reykjahlíð)から1号線を東進し、約2.7km進んだら丁字路を右折、未舗装の路地を南下してゆけば、その突き当たりが目的地です。1号線の丁字路には上に出したロゴがプリントされた小さな標識が立っていますので、それを見逃さないように。レイキャフリーズから大した距離じゃありませんから、当地の宿泊施設などで自転車を借りてサイクリングしても良いかと思います。
不毛な溶岩地形の丘の上に位置するこの露天風呂は、2004年6月に開業した比較的新しい施設で、界隈では屈指の観光名所になっており、訪問時にも駐車場にはたくさんの車がとまっていました。ガラスを多用した建物は明るく開放的で、内部にはカフェテリアも併設されています。
駐車場と露天風呂の境には、このような円形の源泉施設があり、熱湯を湧出させながら、濛々と白い湯気を上げていました。地下2500mから汲み上げているんだそうです。
(↑クリックで拡大)
レセプションで料金を支払うとコインを1枚受け取ります。このコインを手にして更衣室へ。
なおレセプション前にはお土産が陳列されていますが、品揃えはそんなに多くありません。でもその中で注目すべきは、無料でもらえる日本語リーフレット。紙面ではこの温泉に関する説明が述べられています。アイスランドでは滅多に日本語を目にしないため、とっても貴重な存在です。ここで記されている内容を要約してみると…
・湯温は36~40℃で安定。
・含有ミネラルが温泉内の不衛生なバクテリアや藻の発生を生育を妨げるので、衛生管理のために化学的な薬剤を使う必要がないのが自慢。
・主要ミネラルを含んでいるので薬効がある。硫黄分を含んだ源泉は喘息や老人性の疾患に良いとされており、ある種の微量元素は肌の疾患に効き目あり。
・湧出口は3か所あり、それぞれ常時50人ほどの客が楽しめる。いずれも地下から垂直に湧出する清潔で汚染されていない源泉である。
・ミーヴァトンの人々は10世紀の植民開始当初より、健康管理と増進のために温泉浴に親しんできた。
・含有ミネラルが温泉内の不衛生なバクテリアや藻の発生を生育を妨げるので、衛生管理のために化学的な薬剤を使う必要がないのが自慢。
・主要ミネラルを含んでいるので薬効がある。硫黄分を含んだ源泉は喘息や老人性の疾患に良いとされており、ある種の微量元素は肌の疾患に効き目あり。
・湧出口は3か所あり、それぞれ常時50人ほどの客が楽しめる。いずれも地下から垂直に湧出する清潔で汚染されていない源泉である。
・ミーヴァトンの人々は10世紀の植民開始当初より、健康管理と増進のために温泉浴に親しんできた。
などなど。ご覧いただければわかりますが、外国によくある不自然な日本語ではなく、ちゃんとした言葉使いですので読みやすく、また簡潔にまとめられているので、入浴前に一読すると、理解を深めながら湯あみすることができるかと思います。
男女別の更衣室は、まず入口で靴を脱いでから室内へ。客の多さの割にはスペースが狭く、ロッカーは自分の好きな場所を使うことができるのですが、この時はほぼすべてが使用中でして、私はかろうじて残りのひとつを確保することができましたが、後客はロッカーが使えずに途方に暮れていました。なお受付でもらったコインはロッカーの施錠の際に使用します。ロッカー扉の裏にある投入口にコインを入れることにより、鍵が回せる(施錠可能な)状態になります。鍵を開けると返却口にコインが戻ってきますので、何度でも施錠と開錠が可能。帰るときは返却口にコインを置きっぱなしにしておけば、係員さんが定期的に回収してくれます(コインは置きっぱなしにしておいて、という注意書きがあります)。
ロッカーのみならず、シャワーの数も少なく、シャワー前には全裸のお客さんが行列をなしていました。ロッカールームとシャワールームとの間は仕切りがなく床がフラットなので、ロッカールームの床はビショビショ。この国に限らずこうした状況は海外でよく遭遇しますが(台湾はその典型)、その点、入浴文化先進国の日本(やドイツ・オーストリア)はちゃんとしているなぁと感心させられます。
後で知ったのですが、さすがに施設側もこの混雑を放置しているわけではないようでして、メイン棟の下足場から一旦露天風呂側へ出た左側にも別棟のシャワールームが増設されており、そこでも着替えができるようです。
おお! 更衣室を出ると目の前には溶岩台地の上に青白く濁ったお湯を湛える広大な露天風呂が広がっていました。本当にデカい! お風呂だけで5000㎡もあるんだとか。露天風呂は3つあり、一番手前はちいさくて目立たず、あまりお客さんもいない模様。3つあるうちで一番湯温が高いため、日本人向きではありますが、欧米人にはちょっと熱すぎるみたいです。中央は36~7℃くらいの長湯向けで、ここにみなさん集中しています。見晴らしの良い奥の浴槽は、広さも一番の規模なのですが、ぬるすぎるためか、
↑左(上)画像は中央の浴槽から建物を撮った様子。画像ではほとんど移っていませんが、露天風呂のプールサイドには長方形のホットタブがあり、こちらにも白濁の温泉が引かれ、温度も40℃以上あるので、しっかり温まりたい人はこちらをどうぞ(でも結構小さくて、同時に10人入れるかどうか)。またサウナも完備。夏でも外気温度が15℃ありませんから、ホットタブやサウナなど、しっかり温まれる設備はありがたいです。
こちらは湯口。火傷しそうになる程かなり熱いお湯が大量に出てきますので、あまりこの付近には近寄らないように。常時熱いお湯が出ているわけではなく、熱かったりぬるかったりと、出てくるお湯の温度にはムラがありました。おそらく人為的に温度管理をすべく、そのような出方をしているのではないかと思います。
浴槽はコンクリや木材、石材などの建材で固められているわけではなく、単に溶岩の土地を掘ってお湯を貯めているだけ、といった感じで、これも敢えてそうすることによって自然な感じを醸し出しているんでしょう。従いまして、整備されていない湯口周りのプールサイドを裸足で歩くと、トゲトゲの溶岩が足の裏に刺さって歩きづらいんです(勿論脱衣所側のプールサイドは歩きやすく整備されていますよ)。また泉質由来のヌルヌルが底に付着しているため、けっこう滑りやすいので、その点もご注意を。
お湯は上述の通り、青白くきれいに濁っており、透明度は50~60cmといったところでしょうか。ツルツルスベスベ感がとても強い気持ち良い浴感で、リーフレットにも書かれていたように、たしかにお肌にはとっても良さそうです。湯面からは硫黄の香りが漂い、とりわけ湯口付近では刺激のある硫化水素臭が感じられます。口に含むと苦みが強く、いつまでも口腔内に残る苦さと渋みが印象的で、これに焦げたような味も若干加わります。
中央の露天の湯加減は先に述べたとおり不感温度帯である36~7℃くらいなので、いつまでも長湯していられます。本当に気持ち良い! 私も2時間ほど入りっぱなしでした。他のお客さんもじっとお湯に浸かって、瞑目しながら静かにリラックスしていました。不感温度帯のお湯は日本人にはぬるく感じてしまうかもしれませんが、この温度のお湯に長く使っていると、副交感神経が働き、精神・神経がリラックスするのみならず、身体の自己回復力も増進されるので、心身の健康にはとっても良いのです。余談ですが、日本人はお風呂が大好きですが、その割には熱いお湯を好む傾向にあり、熱いお湯は交感神経が働いてしまうので、心身の緊張状態を招いていることになります。日本人は温泉資源に恵まれていながら、それをうまく活用していないような気がしてなりません。
ま、私の余計な薀蓄と私見はともかく、このお風呂は本当に気持ちよく爽快でした。北アイスランド訪問の際には、入湯必須です。冬でも夜10時まで営業しているので、運が良ければ露天風呂に浸かりながらオーロラを鑑賞できるかもしれませんね。
6月1日~8月31日→9:00~24:00(最終受付23:30)
9月1日~5月31日→12:00~22:00(最終受付21:30)
大人2500kr、12~15歳1000kr、11歳以下無料
レンタルタオル・水着:各500kr
ホームページ
所在地: Jarðbaðshólar 地図
電話:+354-464-4411