温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

アイスランド ロイガルヴァトン(Laugarvatn) 温泉プール FONTANA

2011年08月09日 | アイスランド
レイキャヴィクから日帰りで有名観光地を周遊できる超定番ルート「ゴールデンサークル」上にある湖畔の町ロイガルヴァトン(Laugarvatn)に今年(2011年)6月、新しい温泉温浴施設"FONTANA"がオープンしました。この開業したばかり施設にさっそく訪れてみました。

 
公式サイトには場所に関する詳しい説明がなく、付近にも特に看板が出ていなかったので、一体どこにあるのかしらと町をウロウロしていたら、湖畔に画像のような低くて平べったい建物を発見。敷地内には"FONTANA"と記された旗がはためいていたので、ここが目的地なんだと確信し、車を駐車場に止めて、中へ入ってみました。入口にすら施設名は表示されていないので、結構わかりにくいかもしれません。


エントランスホールは軽食コーナーを兼ねており、ここでランチをとることもできます。道路からは低い建物のように見えましたが、それは道路より一段低いレベルに建てられているからであって、館内は天井が高く、ガラスを多用していることもあって、明るく開放感があってきれいです。受付で料金を支払うとロッカーの鍵が渡されるので、それを手にして男女別の更衣室へ。なおタオルや水着のレンタルもあります。

 
ちなみにエントランスホールのゲート付近にはこんな模型が展示されていました。以前はこのような素朴な小屋が当地に存在しており、湖畔に湧く温泉の蒸気を利用した天然のスチームバスを楽しんでいたようです。

 
中央の姿見や洗面台を囲むように円形にロッカーが配置された更衣室。オープンしてまだ2か月も経っていませんから、当然ながらとっても綺麗。ロッカーは受付でもらった鍵に記されている番号のものを使います。
更衣室の隣にはシャワー室がありますから、利用者はプールへ入る前に全裸になって全身をくまなく洗い、それから水着を着用しましょう。更衣室とシャワー室は一体となっており、全裸での移動が可能。ここを含めアイスランドのプールや温浴施設に共通して言えることなのですが、シャワー室と更衣室の間には足ふきマットやスノコなどが無いため、更衣室の床はいつもビショビショ。私が利用した時は、係員のお兄さんが水切りワイパーで懸命に脱衣所の水を排出していました。


プールはすべて屋外です。湖畔に立地しているため、とっても眺めがよく、気持ち良いです。

 
温泉水を利用したプール槽は3つあり、なかでも目を引くのが、敷地を横切るかのような長さを有するこの槽。深さは場所によって変化しますが、基本的には浅めにつくられており、子供が遊んでも危なくないような構造です。湯温は34℃と表示されていますが、実際にはもうちょっと低かった気がします。


細長い槽より湖畔側には、長方形でやや小さいながらも深く作られているプールがありました。その深さは1.15mあり、泳いでも問題ない構造ですが、長さが足りないので、しっかり泳ぎたい人には物足りないでしょうね。温度は32℃と表示されており、たしかにその位の温度でした。この時の外気温は12℃でしたから、このプールに入ってから外に出ると、めちゃくちゃ寒いんですよ…。

 
外が寒いのにわざわざぬるいお湯に浸かって風邪をひくような真似はしたくない、という御仁にはこちらのホットタブをどうぞ。半円形の浴槽には39~40℃のお湯が張られており、これでも日本人にはぬるめですが、体を温めるには何とかなるかと思います。他のプールよりちょっと高い位置に設けられているために眺めが若干良く、しかも外気温が低い日だったため、多くのお客さんはこのホットタブに集中していました。

さて肝心のお湯の質ですが、施設側の説明によれば天然の温泉(おそらく造成泉)を使用しているとのことでして、無色透明で微タマゴ臭と微塩味が感じられるのですが、それをはるかに上回っていたのが、温泉ファンの憎き天敵である塩素臭でした。かなり塩素臭が強いのです。またお湯は間違いなく循環されているでしょう。浴感にもこれといった特徴はなく、このお湯は本当に温泉なの?と疑いたくなるほどでした。正直なところ、このお湯にはガッカリです。

  
お湯は期待外れでしたが、落胆した私のハートを癒してくれたのがこのスチームバス。こちらは正真正銘、地熱による温泉蒸気がそのまま引かれて室内に放出されており、地熱の恵みを存分に堪能することができます。スチームバスは3室並んでおり、お好きな部屋を利用できます。施設側の説明によれば室温は40~50℃であるとのこと。
室内には常にボコボコという蒸気の噴出音が響き、足元や腰掛の下から白い蒸気が立ち上っています。一応室内の床や腰掛には黒いゴムシートが敷かれていますが、たまに気まぐれな蒸気がお尻を直撃することがあり、これが結構熱いので、利用の際には入口傍に用意されているマットを使ったほうがいいかと思います。室内には仄かに硫化水素のような匂いが漂っていましたが、これはれっきとした温泉由来のものかもしれませんし、あるいは床などに敷かれている黒いゴムシートから発せられている匂いである可能性も捨てきれません。
このサウナ棟にはこれらのスチームバスの他、深くて小さなプールに面したところにはフィンランド式の高温サウナ(80~90℃)も一室設けられています。

 
プールの隣には熱湯が湧き出る源泉井があり、プールからも見ることができます。プールやスチームバスで使われているお湯や蒸気はここから引っ張っているのでしょうね。

レイキャヴィク・エクスカーション社ではさっそくこのFONTANAとゴールデンサークルを組み合わせたツアーを今夏から催行開始させており(SRE74 The Golden Circle & Fontana Steam Bath)、湖畔の風光明媚な立地も手伝って、今後はゴールデンサークルの新たな観光名所として名を馳せるのかもしれませんが、率直な感想を申し上げれば、時間があれば立ち寄っても良いのでは?という程度のもので、温泉とはいえ所詮はプールと蒸し風呂だけですから、ブルーラグーン、ミーヴァトン・ネイチャーバスのような広い露天風呂を期待すると、その想像を裏切られてしまうことになるでしょう。温浴槽(プール)はいずれも使い勝手が中途半端なので、地熱蒸気のスチームバスをメインにした施設なんだと考えると良いかと思います。私のような蒸し風呂が好きな方や、お子さんを安全に温水プールで遊ばせたいという方には、もってこいな施設でしょう(12歳以下は無料ですし)。


所在地 Hverabraut 1 Laugarvatn  地図
電話 +354-486-1400
ホームページ

5月15日~9月30日→11:00~21:30
10月1日~5月14日→14:00~20:30
(終了時間はいずれも最終受付時間)

大人2100KR、13~16歳1050KR、12歳以下無料
タオル貸出・水着貸出:各500KR
ロッカー・ドライヤー・シャンプーあり
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アイスランド ロイガルヴァトン(Laugarvatn)付近  Farmhotel EfstiDalur

2011年08月09日 | アイスランド
アイスランドの夏は絶好の観光シーズンだけあって、宿泊施設はどこもかしこも高い料金設定となっており、ただでさえ物価が高い国なので予算をやりくりするのが結構大変です。そこで今回の旅行では、ファーム・ホリディ、すなわち農家民宿を利用することにより、一般的なホテルより宿泊費を少しでも安くあげ、かつ普通のホテルでは味わえないアイスランド独特の雰囲気にちょっとだけでも触れられたらいいなと考え、実際に何箇所かで利用してみました。なお国内のファーム・ホリディは各施設によって組織・運営されている"Icelandic Farm holidays"で検索および予約することができます。私もここを利用しました。

今回取り上げるのは、ロイガルヴァトン(Laugarvatn)から東へ数キロ離れた小高い丘の上に建つ牧場兼一軒宿の"Farmhotel EfstiDalur"です。ゲイシール・セルフォス・シリグヴェトリル国立公園など、アイスランドの超定番観光地を結ぶ「ゴールデンサークル」のルート上に位置しているので、立地の良さは抜群。そして温泉好きの私にとって何より重要なのが…

↑このマーク。上述の"Icelandic Farm holidays"をはじめ、観光地図や道路標識など、アイスランド国内で統一して用いられているマークなのですが、これはホットタブ、つまり温浴槽がその施設に設けられているよ、という意味でして、大抵の場合このホットタブには温泉が引湯されています。従ってファーム・ホリディの選定に当たって、私は特にこのマークの有無を重要視しました。"Farmhotel EfstiDalur"は好立地である上にホットタブも完備されているので、これはもう選ぶしかないと決め、ネット経由で予約したのでありました。


 
37号線道路沿いのちょっと小高い丘の上に建つこのお宿。37号線から100~200mほど砂利道を上がり、畜舎の手前を左に曲がった先に駐車場があります。レセプションのある本棟の2階にはレストラン、1階にはゲストハウス(客室)が配され、離れにはロッジ棟が建てられていました。本棟の入口前には鶏が何羽も戯れており、とっても長閑な雰囲気です。

 
レセプション前のウッドデッキにはお目当てのホットタブが設置されています。使用していない時はお湯が冷めないように蓋が閉じられていますが、宿泊客は蓋を開けて自由に利用することができます(確認していませんが、日帰り利用はおそらく不可でしょう)。ホットタブからは果てしない緑の大平原が一望でき、とっても爽快です。(画像には写っていませんが)草原の奥では白い湯気が上がっていましたが、これはおそらくこの界隈で生活や農作業に用いるための地熱採取所でしょう。


今回私が宛がわれたのはレセプション直下(1階)にあるダブルベッドの部屋。こんなデカいベッドを一人占めするなんて、ちょっと贅沢ですね。いかにもヨーロッパの田舎らしい、可愛らしく牧歌的な内装です。室内にはお湯が出る洗面器が設けられています。客室内では無料でWi-Fiが利用できます(レセプションでパスワードを教えてもらってください)。
なおトイレやシャワーは共用で各2室ありました。アメニティ類(シャンプーなど)やドライヤーは見当たらなかったので、各自で持参した方がよろしいかと思います。

 

いきなりお風呂に入ってもよいのですが、花より団子、まずは腹ごしらえから。この宿のように、街から離れた宿泊施設には大抵の場合レストランが併設されており、農家民宿の場合はその農家(畜産農家)で生産された食材をいただくことができます。この晩はマッシュルームスープ、ビーフステーキ、そしてチョコレートケーキを注文しました。食堂内はかわいらしい小物が並べられ、窓からも眺望も抜群。遠くにロイガルヴァトン湖が望めました。食器はIKEAで統一。

 
お腹一杯になったところで、いざホットタブへ。これも宿泊者の共用ですから、水着着用は必須です。八角形の浴槽は、4~5人サイズ(5人だと窮屈かも)、中央の底から温泉水が供給され、湯面に位置する横穴から排水されていきます。おそらく掛け流し。無色透明で明瞭なタマゴ臭が感じられます。明らかにアルカリ性のお湯でして、ヌルヌルツルツルスベスベの気持ちよい浴感です。お湯の中には白い小さな浮遊物がちらほら待っていました。
私が入ろうとした時には還暦近いと思われるデンマーク人夫婦が既に入浴して寛いでいたので、この夫婦に挨拶した上で一緒に入らせていただくことに。

 
私が日本人だとわかると「津波は恐ろしかったでしょう」とそのご夫婦は先日の大震災のことを心配してくださり、一方で私の片言の英語も何とか通じて、旅の四方山話をさせていただいたのですが、そのご夫婦はなんだかんだで2時間近く入浴しつづけていたかと思われます。湯温が37.6℃という不感温度帯だったので、いくらでも長湯できちゃうのです。かくいう私も同じくらい長湯してしまいました。曇天だったものの遠くまで景色が見晴らせ、しかもお湯の浴感が良いので、本当に夢心地なのです。私が写っている画像は件の夫婦が撮ってくださったのですが、時刻はなんと夜11時。高緯度&7月下旬なので、夜中でもボンヤリ明るいのです。


ここで当ブログでは初お目見えとなるpH測定器"佐藤計量器製作所SK-631PH"の登場です。実は旅行の数日前に秋葉原の総武線ガード下で購入したばかりでして、買ってから調整を兼ねて何度か使用しましたが、実践使用はこれが初めてです。さっそくホットタブのお湯を測ってみると、案の定、pH9.2というアルカリ性の数値を示しました。
なおこのお湯はシャワーや洗面台の蛇口からも出てきます。蛇口を捻れば温泉が出てくるんですから、羨ましいことこの上ありません。


翌朝は早々からしとしと雨が降り続いていたため、動物たちはみな畜舎へ戻ってしまい、敷地内は雨が地面を叩きつける音だけに支配されていましたが、そんな中で唯一客の心を和ませてくれたのが、玄関で雨宿りをしていたこのワンちゃん。とっても人懐こくておとなしく、ワンちゃんと接すると誰もが笑顔になっていました。

なお朝食は欧州標準のスタイルで、パン・ハム・チーズ・シリアルが用意されたバッフェですが、パンは焼き立てなのかとってもホカホカ、セルフで作るワッフル焼き器もあって、美味しくいただくことができました。夕食の配膳や朝食の食材補給、そしてレセプション対応など、あらゆる業務は農場の家族が担っています。家族経営ならではの温もりが嬉しい、とっても長閑な民宿でした。


Efstidalur 2, Laugarvatn  地図
+354-486-1186
ホームページ
"Icelandic Farm holidays"内の当施設紹介ページ
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