温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

日光湯元温泉 休暇村日光湯元

2014年04月16日 | 栃木県
 
前回に引き続き日光湯元温泉を巡ってまいります。今回は湯ノ湖の湖畔に位置しスキー場からも近い「休暇村日光湯元」で日帰り入浴です。ひと昔前まで公共のお宿と行ったら「安かろう○かろう」が相場でしたが、最近はそんな固定概念を180度覆してくれる綺麗で立派な施設が増えましたね。今回の「休暇村日光湯元」もその典型でして、名前を聞いた時には鉄筋コンクリの武骨な建物を想像していましたが、実際に現地へ赴いて施設の目の前に立つと、そこには周囲の環境に調和する北欧的のシックで小洒落てた建物が湖畔の木々の中に佇んでおり、これが本当に休暇村なのかと驚いてしまいました。


 
ロビーはいかにも当代風のデザインでして、2階層分が吹き抜けになっており、大きなガラス窓からふんだんに外光が降り注いでいるので、明るさと開放感は文句なし。訪問した日は連休中だったので、この宿に泊まってスキーを楽しむお客さんで大賑わいでした。フロントの方の対応も良く、混雑しているにもかかわらず日帰り入浴を快く受け入れてくださいました。そのフロントで料金を支払い、ロビー右手に伸びる通路を歩き、和室棟の手前にある階段で下のフロアへと向かいます。


 
階段を下りてすぐのところにあるドアを開けて浴室へ。
脱衣室はそこそこ広く、洗面台が2or3台設置されており、室内の左右には木目の無料ロッカーが設けられていています。ロッカーに木目の化粧を施してインテリアデザインに温かみをもたらしている点は評価したいところです。


 
さて、着替えを済ませて浴室に入りますと・・・あれれ? オイラの眼が突然白内障を患っちゃったのかと勘違いしてしまうほど、室内には濃厚な湯気が立ち込めており、視界が全く効きません。気分は完全に「メガネクリンビュー」の橘家圓蔵(円内の画像)状態。心のなかで私は頻りに「メガネ曇っちゃった」というセリフを呟いておりました…。試しに画像を一枚撮ってみましたが(上画像)、中央にボンヤリ白く写っているのはガラス窓、その下で微かに見える円弧は浴槽の縁であり、それ以外は全く写っておりません。画像だからこうなってしまうのではなく、肉眼でもほとんど同様で、大袈裟じゃなくて本当に何も見えなかったんです。この日の日光湯元の外気温はマイナス10℃でしたので、外気温とお湯の気温差がこのような状態を招いてしまったのでしょうけど、それにしてもこの湯気篭もりはすごかった。換気に関しては改善の余地がありそうですね。


 
利用客が結構いらっしゃったのに視界がほぼゼロですから、一歩動く度に他のお客さんと出合い頭に衝突してしまう危険性があります。そんな状況下で足元と前方を警戒しつつ、恐る恐る浴槽へ接近してみたら、縁と湯口が辛うじて目視できました。トゲトゲの析出がこびりついた湯口からは、日光湯元らしい白濁の硫黄泉が注がれており、温泉成分のコーティングいよってアイボリー色に染まった湯船は、絶妙な湯加減がキープされていました。ま、真っ白な湯気の中で湯船に浸かるというのも、なんだか幻想的で面白い体験ですから、これはこれで良いんですけどね。なお室内にはシャワー付き混合水栓が8基設けられており、浴槽は上述の主浴槽の他、室内右奥に小さな真湯槽もあります。また館内表示によれば循環・消毒の無い掛け流しの湯使いなんだそうです。


 
一方、露天風呂は当然ながら湯気篭りなんてありませんから、視界良好。氷点下2桁の冷え込みだけれども、曇った内湯を避けてこちらへやってくるお客さんもたくさんいらっしゃいました。5~6人サイズの扇型をした浴槽の上には部分的に屋根掛けされており、この下に入れば雪を避ける事もできます。


 
周囲を塀で囲まれているので、眼前に広がっているはずの湯ノ湖を眺めることはできませんが、塀までの間にはそれなりの距離があり、ちょっとした洋風のガーデンのようになっていて、奥日光の自然に抱かれながら気持ちよく湯浴みすることができました。周囲の木々は針葉樹もあれば落葉広葉樹もありましたので、冬は雪見風呂、春から初夏にかけては新緑、秋は紅葉といったように、四季によって観られる景色は変わるのでしょうね。


 

薄い黄色の硫黄がこびりついた湯口からは50℃はあると思しき熱いお湯が注がれており、浴槽のお湯はエメラルドグリーンを帯びた暗い山吹色に濁っています。浴槽の縁は元々黒い材質だったと推測されますが、温泉成分がびっしりこびりつくことによってアイボリー色にコーティングされていました。おそらく放流式の湯使いであると思われます。
湯口のお湯を口に含んでみますと、典型的なイオウ由来のタマゴ的な味および匂いとともに、清涼感を伴う苦味が感じられましたが、当地の他の施設に供給されているお湯とは若干異なり、全体的に知覚がマイルドであり、口腔内に残るような痺れや苦味は弱く、湯船に体を沈めても穏やかでやさしい浴感が全身を包んでくれました。館内表示によれば、冬季の露天風呂は源泉のままだと相当冷めてしまうために沸かし湯を投入して温度を維持しているんだそうでして、私が入った時には体感で41~2℃でしたが、この真湯の投入によって源泉が有する個性が薄まってしまうのか、あるいはそもそもそのような知覚的特徴を有する源泉なのか、その辺りは鈍感な私にはよくわかりません。また同じく館内表示によれば、内湯・露天風呂ともに5・6号源泉混合泉を使用しているそうですが、館内掲示されている分析表は1・2・3・4・5・6・7号混合泉のものであり、どっちが正しいのかわかりません。わからないことが多いこちらのお風呂ですが、ま、そんな小難しいことはどこかにうっちゃっておきましょう。
奥日光の自然に抱かれた爽快なロケーション露天風呂で、日光湯元温泉らしいイオウの濁り湯を堪能できますので、当地に数あるお宿の中でどこにしようか迷った場合、こちらをチョイスしておけば間違いはないでしょうね。


奥日光開発(株)5・6号森林管理署源泉混合泉
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 61.4℃
完全放流式(冬季の外気温が低い期間はお湯で温度調整)

※参考までに掲示されている分析表のデータも掲載しておきます。
奥日光開発(株)1・2・3・4・5・6・7号森林管理署源泉混合泉 
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 70.3℃ pH6.6 溶存物質1.411g/kg 成分総計1.558g/kg
H+:0.0mg, Na+:167.6mg, Ca++:181.5mg, Mg++:5.7mg, Mn++:3mg,
Cl-:125.0mg, HS-:11.9mg, SO4--:467.4mg, HCO3-:285.9mg, S2O3--:0.6mg,
H2SiO3:111.8mg, CO2:115.1mg, H2S:32.3mg,
(平成20年5月26日)

日光駅(東武・JR)から東武バスの湯元温泉行で終点下車、徒歩3~4分程度
栃木県日光市湯元温泉  地図
0288-62-2421
ホームページ

日帰り入浴12:00~16:00(受付15:00まで)
872円(2014年4月以降の料金)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント
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