※この記事は2014年に訪問した際の様子を取り上げています。当施設は改築工事が行われており、2016年9月25日にリニューアルオープンの予定です。
奥会津に点在する名湯の一つである金山町の玉梨(八町)温泉では、2軒の旅館と3軒の入浴専用施設でお風呂に浸かることができますが、今回は後者の1軒である公営の「国民保養センター せせらぎ荘」へお邪魔することにしました。野尻川の左岸に位置しており、同じ左岸の川上には「旅館玉梨」が、川下には「玉梨温泉共同浴場」が、川に沿って間隔を空けながら並んでいます。
駐車場の一角に設置されている、頭に雪を載せたコンクリのタンクは、温泉の貯湯槽でしょうか。でも温泉をストックしていれば、タンク上の雪が融けていてもいいはずだけど…。
昭和40年代の役場や診療所のような雰囲気を醸し出している2階層の武骨な古い建物です。かつては宿泊営業もしていたようですが、運営上の都合でしょうか、平成25年4月から入浴のみの営業となっています。
訪問時、ホールには誰もおらず、ストーブのまわりには椅子がチューリップの花弁を描くように並べられていたのですが、古びたオレンジ色のビニールクロスが妙に鮮やかで、その色合いが却って室内の寒々しさを強調しているようでした。私が入館するとすぐに、このホールの左斜め前方にある事務室から職員のおばちゃんが出てきてくださったので、この方に料金を直接支払いました。
ホールの裏手には休憩用のお座敷もあるんですね。
事務室の脇では、タオルや石鹸などがラックの上で販売されていました。ダンボールに手書きされた値札がいい味を出しています。この販売品の上には昭和43年に撮影された当地のカラー写真が掲示されていました。現在よりも家の数が若干多いように見えますが、実際のところはどうなんでしょうか。
お座敷を横目にしながら廊下を進んでゆくと、突き当たりに浴室があるのですが、その手前には共用の流し台が設置されていて、ドライヤーもここに備え付けられています。お風呂は男女別の内湯が1つずつです。
男湯側は廊下と脱衣室を隔てる扉などがなく、構造的に廊下の手前側からは見えないようになっているものの、廊下に対しておもいっきり開けっぴろげになっていました。この記事を書きながら画像をよくみたら、ちゃんと引き戸が写っていますが、普段からこのように戸を開けたままにしているのでしょうか。ま、男ですから別に気にはなりませんし、むしろ戸を閉めると閉塞感にさいなまれるので、私としては開けたままの方が良いんですけどね。なお脱衣室には上中下3段のスチールロッカーが置かれていますが、施錠できるのは下段の一部のみで、多くはカギがありませんでした。
浴室はこぢんまりしていますが、ガラス窓の面積を大きく確保しているおかげで、室内は比較的明るく、それほど狭いとは感じませんでした。なお窓の外側には隣接する建物や温泉関係の設備が迫っているため、景色を楽しむことはできません。
洗い場には真湯が出るシャワー付き混合水栓が3基設置されているのですが、限られたスペースを有効に活用するためか、シャワーホルダーは窓側から立ち上がったSUSの鋼材に固定されており、これによって窓を目の前にした明るい場所でシャワーを浴びることができました。なおシャワーの傍らに置かれているバスケットにはシャンプー類が収められています。
四角形の浴槽は5~6人程度のキャパで、右奥の湯口ではまるで間欠泉のようにボコボコと音を響かせながらお湯が噴き上がっています。その湯口の周りは細かいトゲトゲがびっしりと覆っていました。
お湯はオロナミンCのような山吹色に濁り、やや緑色掛かっているようにも見え、浴槽の底がかろうじて目視できる程度の透明度を有しています。湯中では細かな赤い浮遊物が沢山舞っており、底にも沈殿していました。金気臭と少々の石膏臭が感じられました。そして口にすると、まずは旨味をもたらす程良い塩味と出汁味が効いてくるのですが、間髪入れずにそこへ強い金気味と石膏味、そして明瞭な炭酸味がミックスされ、結果的にはかなり不味い感覚が口腔に濃く広がりました。入浴中はこの手の温泉らしくギシギシと引っかかる浴感が得られます。なお炭酸味を有しているものの、入浴中の肌に気泡が付着するようなことはありませんでした。
浴槽を満たしたお湯は、槽内で立ち上がっているオーバーフロー管と、浴槽縁の切り欠けという二手に分かれて排出されています。切り欠けから溢れ出るお湯に関しては、長年に亘る石灰の分厚いこびりつきによって流路が刻まれており、またその流路周囲の床は年月の経過によってモスグリーンに変色していました。湯使いに関する館内表示は見当たりませんでしたが、おそらく完全掛け流しだろうと思われます。
とてもよく温まるお湯でして、湯上がりはいつまでも体の芯がポカポカし、コートを羽織ると汗が噴き出るほどでした。施設こそ古いものの、250円という廉価でシャワーや備え付けのシャンプー類が使え、しかも100%混じりっけのない本物のお湯がたっぷり掛け流されているのですから、利用価値は高いと言えそうですね。
町営源泉
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩温泉 45.9℃ pH6.4 294L/min(動力揚湯) 溶存物質3536mg/kg 成分総計3972mg/kg
Na+:790.8mg(69.29mval%), Mg++:66.6mg(11.04mval%), Ca++:179.9mg(18.08mval%), Fe++:1.7mg,
Cl-:669.8mg(39.29mval%), SO4--:488.4mg(21.15mval%), HCO3-:1159.2mg(39.51mval%),
H2SiO3:145.1mg, HBO2:8.9mg, CO2:436.0mg,
JR只見線・会津川口駅より会津バスの大芦(昭和温泉方面)行バスで「玉梨八町温泉」バス停下車、徒歩2~3分(バスは一日3往復のみ)
福島県大沼郡金山町大字玉梨字新板2049-1 地図
0241-54-2830
11:00~20:00(入館は19:30まで)
250円
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
奥会津に点在する名湯の一つである金山町の玉梨(八町)温泉では、2軒の旅館と3軒の入浴専用施設でお風呂に浸かることができますが、今回は後者の1軒である公営の「国民保養センター せせらぎ荘」へお邪魔することにしました。野尻川の左岸に位置しており、同じ左岸の川上には「旅館玉梨」が、川下には「玉梨温泉共同浴場」が、川に沿って間隔を空けながら並んでいます。
駐車場の一角に設置されている、頭に雪を載せたコンクリのタンクは、温泉の貯湯槽でしょうか。でも温泉をストックしていれば、タンク上の雪が融けていてもいいはずだけど…。
昭和40年代の役場や診療所のような雰囲気を醸し出している2階層の武骨な古い建物です。かつては宿泊営業もしていたようですが、運営上の都合でしょうか、平成25年4月から入浴のみの営業となっています。
訪問時、ホールには誰もおらず、ストーブのまわりには椅子がチューリップの花弁を描くように並べられていたのですが、古びたオレンジ色のビニールクロスが妙に鮮やかで、その色合いが却って室内の寒々しさを強調しているようでした。私が入館するとすぐに、このホールの左斜め前方にある事務室から職員のおばちゃんが出てきてくださったので、この方に料金を直接支払いました。
ホールの裏手には休憩用のお座敷もあるんですね。
事務室の脇では、タオルや石鹸などがラックの上で販売されていました。ダンボールに手書きされた値札がいい味を出しています。この販売品の上には昭和43年に撮影された当地のカラー写真が掲示されていました。現在よりも家の数が若干多いように見えますが、実際のところはどうなんでしょうか。
お座敷を横目にしながら廊下を進んでゆくと、突き当たりに浴室があるのですが、その手前には共用の流し台が設置されていて、ドライヤーもここに備え付けられています。お風呂は男女別の内湯が1つずつです。
男湯側は廊下と脱衣室を隔てる扉などがなく、構造的に廊下の手前側からは見えないようになっているものの、廊下に対しておもいっきり開けっぴろげになっていました。この記事を書きながら画像をよくみたら、ちゃんと引き戸が写っていますが、普段からこのように戸を開けたままにしているのでしょうか。ま、男ですから別に気にはなりませんし、むしろ戸を閉めると閉塞感にさいなまれるので、私としては開けたままの方が良いんですけどね。なお脱衣室には上中下3段のスチールロッカーが置かれていますが、施錠できるのは下段の一部のみで、多くはカギがありませんでした。
浴室はこぢんまりしていますが、ガラス窓の面積を大きく確保しているおかげで、室内は比較的明るく、それほど狭いとは感じませんでした。なお窓の外側には隣接する建物や温泉関係の設備が迫っているため、景色を楽しむことはできません。
洗い場には真湯が出るシャワー付き混合水栓が3基設置されているのですが、限られたスペースを有効に活用するためか、シャワーホルダーは窓側から立ち上がったSUSの鋼材に固定されており、これによって窓を目の前にした明るい場所でシャワーを浴びることができました。なおシャワーの傍らに置かれているバスケットにはシャンプー類が収められています。
四角形の浴槽は5~6人程度のキャパで、右奥の湯口ではまるで間欠泉のようにボコボコと音を響かせながらお湯が噴き上がっています。その湯口の周りは細かいトゲトゲがびっしりと覆っていました。
お湯はオロナミンCのような山吹色に濁り、やや緑色掛かっているようにも見え、浴槽の底がかろうじて目視できる程度の透明度を有しています。湯中では細かな赤い浮遊物が沢山舞っており、底にも沈殿していました。金気臭と少々の石膏臭が感じられました。そして口にすると、まずは旨味をもたらす程良い塩味と出汁味が効いてくるのですが、間髪入れずにそこへ強い金気味と石膏味、そして明瞭な炭酸味がミックスされ、結果的にはかなり不味い感覚が口腔に濃く広がりました。入浴中はこの手の温泉らしくギシギシと引っかかる浴感が得られます。なお炭酸味を有しているものの、入浴中の肌に気泡が付着するようなことはありませんでした。
浴槽を満たしたお湯は、槽内で立ち上がっているオーバーフロー管と、浴槽縁の切り欠けという二手に分かれて排出されています。切り欠けから溢れ出るお湯に関しては、長年に亘る石灰の分厚いこびりつきによって流路が刻まれており、またその流路周囲の床は年月の経過によってモスグリーンに変色していました。湯使いに関する館内表示は見当たりませんでしたが、おそらく完全掛け流しだろうと思われます。
とてもよく温まるお湯でして、湯上がりはいつまでも体の芯がポカポカし、コートを羽織ると汗が噴き出るほどでした。施設こそ古いものの、250円という廉価でシャワーや備え付けのシャンプー類が使え、しかも100%混じりっけのない本物のお湯がたっぷり掛け流されているのですから、利用価値は高いと言えそうですね。
町営源泉
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩温泉 45.9℃ pH6.4 294L/min(動力揚湯) 溶存物質3536mg/kg 成分総計3972mg/kg
Na+:790.8mg(69.29mval%), Mg++:66.6mg(11.04mval%), Ca++:179.9mg(18.08mval%), Fe++:1.7mg,
Cl-:669.8mg(39.29mval%), SO4--:488.4mg(21.15mval%), HCO3-:1159.2mg(39.51mval%),
H2SiO3:145.1mg, HBO2:8.9mg, CO2:436.0mg,
JR只見線・会津川口駅より会津バスの大芦(昭和温泉方面)行バスで「玉梨八町温泉」バス停下車、徒歩2~3分(バスは一日3往復のみ)
福島県大沼郡金山町大字玉梨字新板2049-1 地図
0241-54-2830
11:00~20:00(入館は19:30まで)
250円
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5