温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

中標津温泉 中標津保養所温泉旅館

2014年04月02日 | 北海道

中標津の住宅街の外れに建つ「中標津保養所温泉旅館」へ立ち寄り、日帰り入浴してまいりました。一般的に温泉旅館たるもの、その名称や屋号には、経営者にまつわる固有名詞、宿のイメージに則した抽象名詞、あるいは旅情に相応しい形容語句を含めるものですが、こちらの場合は中標津という地名以外は「保養所温泉旅館」という極めて非装飾的且つ実用的な語句が並んでおり、役所関係あるいは企業団体の福利厚生施設を思わせる響きが伝わってきますが、その名称とは裏腹にごくごく普通の宿泊施設として一般宿泊客を受け入れているばかりでなく、外来入浴や食堂も積極的に営業しております。私が駐車場に車を止めた夜7時頃には、一日の汗を流すべく、地元の方が次々とやってきて入浴利用していました。


 
カウンターは食堂の受付も兼ねているためか、帳場まわりは宿泊関係の料金表の他に食堂メニューが掲示されており、またお土産が陳列されていたり、冷蔵庫や自販機が並んでいたりと、結構賑やかな雰囲気です。そんな玄関まわりには、太平洋炭礦から寄贈された石炭が展示されていました。



 
食堂のメニューはラーメン・そば・カレー・定食類等いかにも大衆食堂的なラインナップであり、品数も豊富ですね。ちなみに食堂の名前は「○ほ食堂」というんだそうです。「○ほ」とは言わずもがな「保養所」の略なのでしょう。食堂内では手酌でグラスにビールを注ぎながら、美味そうにラーメンを啜る風呂あがりのおじさんがいらっしゃいましたが、そんな食堂の脇を抜けて浴室へと向かいます。なお別料金で岩盤浴も利用できるそうです。


 
脱衣室はそこそこ広く、洗面台が2台設置されていました。その洗面台には無料で使えるドライヤーが備え付けられているのですが、吸い込み口を見ると、マジックで「○ホ」と書かれていました。食堂の名前と同じ意味でしょうけど、この「○ホ」は単なる宿の略号というより、ちゃんとした屋号のように思えます。


 
浴室は体育館を彷彿とさせる広さがあり、床や浴槽・腰部などはタイル貼りとなっています。そして大きな窓が並んでいる下には大きさの異なる相似の浴槽が1つずつ据えられています。両浴槽ともタイル貼りで縁には黒御影石が用いられ、四角形の4つの頂点のうち一つをカットして五角形にしたものを、線対称に向かい合わせにしています。


 
洗い場には単水栓のカランとシャワーのペアが8組、そして立って使うシャワーが2基設置されています。シャワー・カランともに単水栓ですので温度調節はできず、吐出されるのは源泉のお湯のみです。


 
2つある浴槽のうち、大きな方には加水された温泉が注がれており、放流式の湯使いとなっています。20人以上同時に入っても余裕がありそうな容量を有しており、にもかかわらずお湯の投入量は豊富でして、浴槽縁の切り欠けから床へと溢れ出ているオーバーフローは、排水口の上で渦を巻いていました。


 
これは大きな浴槽の湯口でして、ちゃんと「源泉(加水)」と記されたプレートが表示されていました。投入口のところに見られる青いものは、砂利が詰められたネットでして、おそらくこれでお湯(あるいは地下水)をポンプアップした際に紛れ込んでくる砂利などの不純物を濾し取っているのでしょう。とはいえその網目は粗いために細かなものはすり抜けてしまい、湯口付近には茶色い細かな湯の華らしき物が沈殿していました。なお加水されているとはいえ、湯加減は42℃くらいでして、源泉温度は50℃弱ですから、加水量はさほど多くはないものと思われます。


 
一方、小さな浴槽は非加水槽でして、ステップ部分を除けば4人サイズといったところ。角に設けられた湯口の中には砂利が敷かれており、その下からお湯が噴き上げられています。大きな浴槽ではネットで固形物をキャッチしてましたが、こちらでは砂利を通過させることによって同様の効果が果たされているのでしょう。加水されていない完全掛け流しであり、50℃弱の源泉を直接投入しているため、かなり熱い湯加減(44~5℃)となっていました。



露天風呂は池を望む造りとなっており、浴槽の7割近くは屋根掛けされていますが、池に向かって視界が広がっているため、なかなか開放的な環境です。


 
石板敷きの湯船のキャパは12~13人といった感じ。池側の浴槽隅にちょこんと突き出た岩の湯口より投入された温泉は、手前側のステップより排湯され、男女両露天風呂の仕切りの下を流れて、奥の池へと落とされているようです。私が露天で湯浴みしながら池を眺めていると、池畔から湯気が上がっていたのですが、これは排湯によるものかと思われます。なお露天に関して加水の有無は不明ですが、外気に冷やされてしまうためか、しっかりとした投入量がありながらも、湯船の温度は40~41℃でした。熱いお湯が好きな方には物足りないかもしれませんが、この位の湯加減ですとじっくり長湯ができますので、むしろ私にとってはありがたい温度でした。

さてこちらのお湯に関してですが、見た目は無色透明で、口にすると甘塩味が感じられ、湯面からは化石海水型の温泉によくある仄かなアブラ臭(臭素臭的な匂い)が嗅ぎ取れました。また入浴すると食塩泉らしい若干の引っ掛かりが混在するツルスベ浴感もはっきりと得られ、湯上がりもいつまでも温まりが持続しました。なお、こうしたお湯の知覚は近隣の温泉施設でも確認できますので、中標津の標準的な温泉と言うこともできそうですが、いずれにせよ良いお湯であることは間違いありません。



湯上がりにはご当地の「なかしべつ牛乳」を一気飲み。70円也。火照った体に冷えた牛乳を流し込む快感は言葉に言い表せないものがありますね。あぁ美味いぜ!


東中温泉
ナトリウム-塩化物温泉 49.8℃ pH8.6 湧出量記載なし(動力揚湯) 溶存物質2.193g/kg 成分総計2.199g/kg
Na+:745.4mg(95.13mval%),
Cl-:1012mg(86.46mval%), SO4--:123.7mg(7.82mval%), HCO3-:69.9mg(3.48mval%), CO3--:18.9mg(1.91mval%),
H2SiO3:154.6mg, HBO2:22.4mg,

阿寒バスの中標津市内循環線で「保養所前」バス停下車すぐ(市内循環線の時刻表は中標津町公式HP内の「交通」ページ内から当該リンク先を参照のこと)
北海道標津郡中標津町東20条北8丁目4  地図
0153-72-0368
ホームページ

日帰り入浴6:30~22:00
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント
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