温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

玉梨温泉共同浴場 2013年12月再訪

2014年04月12日 | 福島県
 
野尻川に架かる弁天橋の上から川の下流側を眺めてみますと、川の右岸には前回記事で取り上げた八町温泉共同浴場「亀の湯」や旅館「恵比寿屋」が、左岸には今回スポットライトを当てる「玉梨温泉共同浴場」が視界に入ってきます。一方この橋から川上側を望めば、左岸に「旅館玉梨」や前々回記事の「せせらぎ荘」が間隔を空けながら並んでいます。このように弁天橋の上で360度ぐるっと見回すと、橋を中心にして玉梨八町温泉のささやかな温泉郷が形成されていることが把握できるとともに、橋の中央を中心とした半径100メートル以内の狭いエリアに、共同浴場や入浴専用施設が3つも存在していることもわかります。金山町は福島県屈指の過疎地域であり、しかも玉梨八町温泉周辺には人家が数えるほどしかありませんが、にもかかわらず共同浴場の密度がこれほどまで高いのですから、実に不思議で興味深いことでもあります。


 
さて今回は弁天橋すぐ傍の左岸に佇む「玉梨温泉共同浴場」を訪れます。拙ブログでは2回目の登場ですが、私個人としてはもう4~5回は訪れているかと思います。なお前回記事はこちらです。私はここを訪れる度に、以前と変わらぬ佇まいを保ってくれていることに安堵します。入口ドアの脇には「亀の湯」と同様に協力金に関する新しいプレートが掲示されていました。



湯小屋の目の前には玉梨温泉の源泉があるのですが、この日は役場職員の方が源泉井の蓋を開けて、何やら調査をしていました。


 
湯小屋に入った正面の壁に料金箱が括り付けられていますので、まずはこちらへ200円を納めます。「亀の湯」と異なりこちらは脱衣室も浴室も男女別ですから、混浴が苦手な方は「亀の湯」ではなくこちらの方が宜しいかと思います。


 
入口傍には「ゆき湯」のスタンプがぶら下がっていましたが、確か今年度のゆき湯スタンプラリーの対象施設にこの共同浴場は含まれていなかったはず…。こぢんまりとした脱衣室は3人同時利用が精一杯で、4人以上だと窮屈さを感じる狭さですが、壁に扇風機が設置されているのはありがたく、特に夏のクールダウンには大いに役立つでしょう。


 
浴室も至ってシンプルであり、3人サイズの浴槽がひとつあるばかり。壁にはオフホワイトの化成品の防滴壁材が貼られており、温泉成分の付着によってコンクリ打ちっぱなしの浴槽や床は赤茶色に染まっています。でも無機質な浴室に彩りを添えるべく、浴室の角には造花が飾り付けられていました。なお一応洗い場にはシャワーも1本あるのですが、水しか出ません。


 
湯口からはトポトポと音を立てながら混じりっけのない源泉が注がれており、浴槽の大きさに対して供給量が多く、浴槽縁からは惜しげも無くどんどんお湯が捨てられています。湯口のお湯を手にとってテイスティングしてみますと、適度に塩味が効いた出汁味に、鉄錆び的な金気味と清涼感のあるほろ苦み、そして炭酸味が感じられました。

なお、画像を見ますと湯船の表面に膜が張っているのがお分かりいただけるかと思います。これは私の訪問前、長い時間にわたって利用客が来なかったことを示している現象でありますが、この膜からは油の匂いがせず、指先で触れると膜が割れちゃいましたので、これは油が浮いているのではなくて、鉄バクテリアによる鉄の酸化皮膜が浮いているのでしょうね。まさかこのお風呂でこんな立派な膜に出会えるとは想像だにしませんでした。

源泉が目の前にあるためか、玉梨温泉の他のお風呂よりも湯船の濁り方が弱く、若干赤みを帯びて見える程度であり、赤い浮遊物もあまり見られず、ほとんど無色透明に近い状態でした。お湯の濁りや湯の華は、温泉成分の劣化や空気接触などによって現れるものですから、この手の濁りやすい泉質でありながら透明度が高いということは、それだけお湯が新鮮であるという証左でもあるのです。実際にお湯に浸かってみますと、肌に伝わるフレッシュ感は極上であり、熱さに逆上せて湯船から出ようと思っても後ろ髪を引かれて出られなくなってしまうほどの魔力を発揮していました。しかも加水なしの完全掛け流しなのに絶妙な湯加減なのですから、これぞ自然の恵みと言わずして何と申しましょうか。掛け値なしで素晴らしいお風呂ですね。


町営源泉
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩温泉 45.9℃ pH6.4 294L/min(動力揚湯) 溶存物質3536mg/kg 成分総計3972mg/kg
Na+:790.8mg(69.29mval%), Mg++:66.6mg(11.04mval%), Ca++:179.9mg(18.08mval%), Fe++:1.7mg,
Cl-:669.8mg(39.29mval%), SO4--:488.4mg(21.15mval%), HCO3-:1159.2mg(39.51mval%),
H2SiO3:145.1mg, CO2:436.0mg,

JR只見線・会津川口駅より会津バスの大芦(昭和温泉方面)行バスで「玉梨八町温泉」バス停下車、徒歩2~3分(バスは一日3往復のみ)
福島県大沼郡金山町大字玉梨字湯ノ上2781  地図

入浴時間は特に定めなし(清掃時間を除く)
協力金200円以上
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする