脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

Respect

2009-03-13 | Weblog
HIという州は結構ボクシングクラブが存在している。
しかも日本にあるような、20坪から30坪規模のクラブではなく、ヴァレーボールの体育館ぐらいの大きさのジムがいくつもあるから驚きである。
だから結構試合が多い、人口もそこそこ多いし、競技者も多いのでHIトーナメントははっきり言って、日本の全日よりもレヴェルは上であろう。
ここでは日本の体育系のように、スポーツをそれだけというかたちでは競技しない、たいていの人間がボクシングだけではなく、野球やバスケットここではサーフィンなどのスポーツをかねているのが普通らしい。
話は試合のことであるが、ある時自分は、少しあぶない地域で試合をすることになった。ワイキキではないワではじまる地域である。
HIと言えば日本人が多く、日本人にはたいへん生活しやすい場所である。
がしかし場所が変わればぜんぜん違って、ピーターが言うには、そこは多くの人が生活保護みたいなものをうけて生活している貧しい地域である。
その地域に自分は試合をするためにジョージと行ったのだが、そこの選手たちが大きい音でRAN DMCAを聞きながらシャドウをする姿は、まるで映画の世界のようであった。
自分はあまりにも周りが異様で、自分に敵対心さえも覚えたのでジョージに「勝っていいのか」と不安そうに聞くと「You must break him(つぶしてやれ)」みたいなことを言ったが、その時のその状況では、ジョージのその発言は、たいへん無責任に思えた。
その試合で自分の試合の審判をつとめた男がいる。
ピータージュン?と言う中国系の男である。
試合は日本人の学生ということで多少注目された。
当時ここでは日本人と言えば、金持ちであるが、よわっちい民族、こんなカレッジボーイに負けてたまるかと、敵対心まるだしで、かなり気合が入っていたと思うが、案の定試合は壮絶なうちあいで、会場はかなり盛り上がった。
たぶん覚えている限りでは、かなりしんどい試合で、終わった後は両方ともエグゾーステッドであった。
その後自分は他の人間の試合もあるので、控え室のようなところで待機していたが、その時一人の男が近づいてきた。
ピータジュンである。
近づいて来て、彼は自分に手を差し伸べてきて握手も求め、そしてこう言った「Congratulations」その時自分は、審判に認められたことが非常にうれしかった。
しかも自分の試合をよく思ってくれたのか、あえてここまで握手をしに来てくれたのであるから、光栄である。
自分の体験で恐縮であるが、アメリカ人のコーチは、選手にたいへん敬意をはらってくれていることがわかる。そしてそれは審判とて同じ、だからこそ彼はあえてこうして自分に握手を求めにきてくれたのだ。
自分はむこうで競技して、縦の関係ではない、人と人とのつながり、関係と言うものを学んだ。
一生懸命そこで競技したものだからこそ分かる。どんな相手であれ、そこで出会いファイトしたのであればその相手に敬意をはらう。これがクーベルタンの言うスポーツマンシップである。
大切なのは相手に敬意をはらうことである。
これができない人間は競技者としては失格である。
以前ある高校の選手が、勝ったのに負けた選手がいる前で、監督にあんな試合をしてすいませんとあやまっていたのがいたと言うことを書いたが、まさにこういう例はいい例である。
大切なのは監督やコーチの前でいい子になることではない。
自分が対峙した相手に最大の敬意をはらうことである。
勝っても負けても、ともに向き合いファイトした人間として、敬意をはらうことが大事であり、ボクシングを大切にすることであろう。










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