日本維新の会が第1回の総会を開き、綱領を発表した。驚いたのは、綱領の第1に掲げた「日本を孤立と軽蔑の対象におとしめ、絶対平和という非現実的な共同幻想を押しつけた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる」という、一文である。
橋下徹はこれまで、様々な問題で乱暴に発言してきたが、これまでとは明らかに異なった文言と内容と言える。この文章は、脳梗塞で出席できなかった、石原慎太郎の発言・思想を取り入れたものである。
あの自民党内でも、右寄りの石破幹事長ですら「憲法が悪かったとは思っていない」と発言している。これは国民小学校に入学した途端に、太平洋戦争が勃発し、すっかりその時洗脳された石原慎太郎少年の、脳みそから絞り出された文章である。
あの戦争は仕掛けられたもの、うまくやれば勝てた戦争、だから石原はアメリカが大嫌いである。反米右翼の典型である。
良い戦争もなければ、悪い平和もない。2年まえの東日本大震災で死亡や行方不明は、2万人ほどである。しかも天災である。
先の戦争では、日本人は350万人ほど死亡している。東日本大震災の170倍もの人が亡くなっている。しかも人災である。人災なら防げたはずである。これは日本人だけの数字であり、アジアとアメリカなどの人たちは、推定で3000万人亡くなっている。
いかに戦争がむごいものか、死者数を比べるだけで解る。戦後平和憲法を持つがゆえに、安心して日本と交渉し国際的信頼を得ているのである。維新の会の言う、国家の蘇生とは軍事国家の建設のことである。これは、国家予算の半分以上を軍事予算が占める、北朝鮮の強盛大国の思想と同じである。
石原を迎え入れ、太陽の党という立ち枯れた老人たちを受け入れたことで、維新の会は変質し反米右翼の党になった。安倍の時でしか憲法を変えられないと内外を鼓舞し、いまさら選挙の争点に平和憲法の破壊を持ち込もうとしているのである。