そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

やったふり外交の北方領土の問題点

2018-11-16 | 国際・政治

安倍晋三がマタマタ期待感を持たせる、やっている振り外交を展開している。1956年の日ソ共同宣言に立ち戻り交渉を加速すると言った。この共同宣言は日本の終戦後の権利や立場などの戦後処理に加えて、歯舞・色丹の引き渡しを前提として、日ソ平和条約の締結をするというものである。
ソ日共同宣言は、1956年12月8日に日本と当時のソビエト連邦によって批准された条約だが、1960年に日本が日米安全保障条約を締結されたのを受け、ソ連は島の引き渡しに関する義務を取り消し今日至っている。東西冷戦のさなかの出来事である。アメリカのダレスの強行姿勢を受けてのことである。
これに最も近づいたのが、ソビエト崩壊直後の1992年にロシアが二島返還と残りの二島は継続協議とするといった酔っ払いのエリチンが示した案である。これに対して日本の官僚が頼りない民主党の細川護熙首相を差し置いて、4島返還の原則を曲げるべきでないと蹴飛ばした経過がある。
四島一括返還の原則は日本の官僚が決めた、戦後処理の過ちを隠蔽する返還原則である。日本では終戦を8月15日と決めているが、これはポツダム宣言を受諾したと国民に知らせた日である。日本が占領した国は解放された日、戦争が終わった日とされている。しかし多くの国は、東京湾のミズリー号で日本が調印した9月2日を対日戦勝記念日としている。
狡猾なスターリンの奸計に載せられたのが、日本の官僚(軍部)である。戦闘放棄の指令を、とりわけソビエトに関係する地域には明確に示さなかったのである。8月7日に平和条約を一方的に破棄して宣戦布告したスターリンは、8月15日から9月2日までの間を巧みに利用した。日本と戦闘状態のソビエトは満州に、樺太に、千島に侵攻して占拠した。卑怯で狡猾であるが、敗戦の通知をソビエトにしなかった官僚の失態である。8月15日を終戦の日にしているのは、その隠ぺいの工作品である。ソビエトの正当性に疑義は残るが、一定の根拠を持っている。
しかし、歯舞・色丹に侵攻してきたのは9月4日、5日である。歯舞・色丹は根室の行政区であり北海道の一部である。歯舞・色丹についてはソビエトが権利を主張する根拠がない。歯舞・色丹はソビエト・ロシアが占拠する理由も根拠もなく、ましてや戦争には関係ない”終戦後”の出来事なのである。ソビエト・ロシアがこの二島を返還に勿体をつけられて返還しようとするのには、日本が終戦の経緯を曖昧にしたためである。
本来であれば千島全島の領有権について歴史を客観的に紐解き、先住民の権利も考慮して検討するべきなのである。遥か彼方からやってきたロシア人に権利が生じるには拭えない違和感がある。日本では官僚が国後択捉は千島でないと決めつけているので、4島返還を譲らないのである。今まで何度も出ては消えたを繰り返してきた、2+アルファや2+2などの案を、政治家の人事権を強大にした安倍晋三がどこまで抑え込んだかが、今後の展開のポイントになるであろう。

スターリンに劣らぬ狡猾なプーチンは、今回も安倍晋三の記者会見を受けて、ロシアはアメリカの傀儡政権状態にある日本にアメリカの関係を理由に何らかの条件を出してくるであろう。金をせびるくらいならともかく、国後・択捉の領有権を認めろとか、歯舞・色丹を渡すが主権はロシアにあるとか、日本が認められないような条件を提示してくるだろう。日本のメディアは大喜びではしゃいでいるが、山口の時も同じである。とりわけNHKの官邸お抱え記者の女性は、安倍晋三を持ち上げて満面の笑みで報告している。
結局は、破たんの原因を条件をのめない日本に押し付けて、領土問題を終結するという事になるのが落ちである。それでいて経済団体の圧に従い経済活動だけはやるとして、領土問題は継続交渉という決着で国内を納得させるプーチンの思うままで落着である。
コメント (1)
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