むかしむかしのお話です。
あるところに猿まわしの一座がありました。あるとき、一座に飼われていた一匹の猿が、自分のまらをいじると気持ちいいということに気づきました。ひまさえあればまらをいじっていると、まわりの猿たちも「おいおい、おまえなにやってるんだ」と気づきます。「いやな、まらをいじると気持ちがいいんだよ」「ほんとかよ、おれもやってみよう」「うほ、うほ。ほんとだ気持ちいいいいいいいい」
猿は社会性のある動物といいます。いちど流行すると、まらいじりの遊びは群れのなかに一気に広まり、一座の雄猿みんなが、朝となく夜となく、それこそ覚えたての猿のように一日中まらをいじるようになりました。いじって遊んでいるだけならよかったのですが、ごはんも食べず、寝るのも忘れ、ひたすらまらいじりに夢中になったあげく、死んでしまう猿もでてくる始末。
困ったのは猿まわしの親方です。芸の稽古もせず、客の前でまらいじりなんてはじめてしまったら、もうそこでは興行が打てません。まずいなあ……と考えて、猿たちにこう言いました。「これから、まらいじりは朝三回夜四回までだ。それ以上こすったらお仕置きだぞ」
まらいじりの味を覚えた猿たちは怒りました。「まらいじりの楽しみを奪うな」「飼い主の横暴だぞ」と口々にわめきたてます。リーダー格の猿などは『まらいじりの自由を』などと書いた旗をつくったりしてデモ行進でもしそうな勢いです。デモ行進の最中にほかの通行人の前でまらいじりなんかはじめて、公衆の面前で白いものでも発射しまくってしまったら、もうこの街には住めません。
あせった親方は猿たちと交渉をしました。「朝三回では少ないのか?」と親方がたずねると、猿たちは「せっかく朝だちしてるのに三回でやめてしまってはもったいない」と言います。「それでは朝四回、夜三回ではどうだ? これ以上はゆずれない」「しかたない。それで手を打とう」 こうして交渉がまとまりました。
それからというもの、親方公認となったこともあり、猿たちは嬉々としてまらいじりに励むようになりました。しかし畜生のあさましさ。夜三回のまらいじりではどうにも物足りず、ついついずるをして、半分ほど多くこすってしまうそうです。情け深い親方は「半分くらいならしかたない」と夜三回半のまらいじりを黙認して、猿たちは朝四回、夜三回半のまらいじりが日課となったとか。
『三こすり半』の『半』はここからきている、というお話でした。
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