京呉服わき ごふくや日記

着物って楽しい!
呉服屋の女将の独り言?楽しいことや裏話、思うままに・・・

観光地のレンタル着物から・・考えさせられます

2016-05-01 17:04:24 | ひとりごと
連休は、いつも店の周りが静かです

皆さんお出かけになっていらっしゃるのかな~なんて思いながら・・・
たまたまネットで見かけた気になった記事。

最近、私もとても気になっていること・・・。
ちょうど連休であちこちの観光地で、たぶん見かけられる光景だと思います。


その記事は台湾人の作家さんが書かれた記事を紹介するものでした。
作家さんは、京都で見かけた大勢の和服姿の女性たちが、景観を損ねていると嘆き
その女性たちが台湾からの観光客で、
和服の着方も歩き方も知らない、着ているものもひどく
悲しさや気恥ずかしさを感じた・・と。


私も最近 浅草に行った時に見かけるレンタル着物で街を歩く観光客の方々を見て
同じような事を考えていましたので、この記事は大変興味を持ちました。

更に、読み進めると
「私が見た和服の観光客には、まったく日本の美に対する自覚がない。
彼女たちは粗製乱造された和服とも言えないような和服をきて
優雅でもなければ美観を損なうひどい歩き方だった」
そして、同じ台湾人として考えさせられるという内容でした。
(私が、省略してここで紹介してしまうことはよくないと思いますが)


そして、この台湾人の作家さんの事を紹介した後、こんなことも書かれていました。

「日本人から、こういう意見が出るのならともかく、「同胞」から批判が出たのは考えさせられる。
文章に書かれている『粗雑な和服』を作ったのも、それをレンタルすることを考えたのも日本人でしょ。
日本文化に興味を持つ観光客を責めるのではなく、日本人が考えるべきことがあるのではないか」


これを読んで、まったくその通りだと思いました。


私が、最近浅草で見かける観光客の方々の着物姿。
安っぽいポリエステルの着物に、同じような半巾帯。
足元を見れば、私はそれを足袋とは言いたくない七五三で子供が履くような
足袋の形をしたソックスのようなものに、ウレタンの底の草履。
冬場には、寸法もあってなくゾロっと格好の悪い羽織を着て。

見かけるたびに、「それを着物と思ってほしくない」と叫びたくなります。
今回の記事を読んで、今まで、こういう場で呉服屋の女将という立場で言ってはいけない
と我慢していた思いを、吐き出したくなってしまいました。
ちょっと毒づきます、お許しください。



記事にもあるように、観光客の皆さんが、せっかくだから日本を着物を着て楽しみたい
と思うのは当然です。
そして、安く気軽に着物を着てもらいレンタルすることを商売にするなら
手入れの簡単な最低ラインのポリエステルの着物一式・・となるのも頷けます。


京都や浅草のみならず、鎌倉や、あちこちの観光地に広がってきたようですが
しっとりした歴史ある街並みからは、浮くような気がします。
そして、海外の観光客だけならまだしも、日本人までが・・・・・


あのケバケバした安っぽいものが着物だと思われるのは、とっても私はイヤ
日本人として、着物を扱っているものとして。


記事にも書かれていたように、その着物を作り着せているのは日本人なのです。

これと同じことを、私はずいぶん前にも感じていてブログに書いたように思います。
成人式の男性の羽織袴姿です。
赤や白、金色?のケバケバした着物を揃えて着ている姿をみて
私は着る人達も理解できませんが、それをレンタルする業者、作る業者がいる・・
売れれば何でもありなのか・・・悲しく思います。



ちょっと話が飛びますが・・
4月の上旬のことでした。
大きな公園に出かけたとき、浴衣?を着た若い女性を見かけました。

気になるので
そっと近づいて見ると、やはり中国か韓国の方のようです。
この時期の公園に浴衣・・違和感があったのですが
更に、気になったのは、台湾の作家さんのおっしゃるようにその着方や歩き方でした。
自分で着られたのか、日本人の知り合いに着せてもらったかは分かりませんが
申し訳ないですが、着方がグスグスなため
強い風が吹いて、太ももまで裾がめくれ上がっても平気な様子は、
見ていて気分の良いものではありませんでした。

日本の「着物」を着ることを楽しんでくださるのはうれしいですが
そばにいる日本人の誰かが、分かっていない外国の方に
もう少し、教えてあげてくれないものか・・・
正直な気持ちでした。


もう一つ私が心配するのは
そうして外国の方が着ている「着物」や着方を、
日本人が見慣れてしまったりマネしてしまうようにならないか・・
ということ。

日本のことを私たちが、ちゃんと伝えていかなければ・・・



おりしも、オリンピックの新しいエンブレムも決まり話題になっています。
「市松」と「藍」という日本を感じるものに決まり、
和の世界ではよく知られている「市松」や「藍」を広く大勢の方が興味を持ってくださり、
そこから発展してオリンピックを機に「日本」をもっと大切にしていく流れに
なって欲しいと願います。


心の中にあることを、吐き出してしまい長文になってしまいました。
反論やご批判、また気分を悪くなさった方もあるかと思いますが
着物を扱うものの一つの意見として、お聞きいただければ嬉しいです。



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コメント (22)
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