京呉服わき ごふくや日記

着物って楽しい!
呉服屋の女将の独り言?楽しいことや裏話、思うままに・・・

着物を譲る、伝える、受け継ぐこと

2010-06-07 13:57:51 | 仕事
今朝、お店の前でご年配のお客様が立ち止まって何か考えていらっしゃる・・

お話をうかがってみると、
来年成人式のお孫さまのお振袖のことをお考え中のご様子。

娘さんに当たるお母様のお振袖をお孫さまに着せたいのだが
身長が違うので寸法を直さないと着られそうになく・・・と。


最近、お母様の振袖を成人式にお召になる方も多く
毎年、お直しやお手入れ、コーディネートのご相談を何件も受けます。

商売気のないことですが、とてもいいことだと思います

たとえ寸法が合わなくても解いて仕立て直せば立派に着ることできるのは
着物ならではです。

もうひとつ私がお母様の着物をお勧めする理由として
品質のこと。
我が家にも多少パンフレットや案内が送ってきましたが
最近のセットで特典いっぱいでいくらの振袖、
それで良しと割り切ればそれはそれなのですが、
私たちからみれば「これが振袖?」と悲しくなるようなもの・・


それに比べれば、ちょうど母親世代が私の年代で
価格だけを落とした作っている今と比べれば、
そのころ作られた振袖はちゃんと作られていたので生地や染も上質な物がおおいです。

ちゃんとお手入れをして、小物など色合わせをし直すと素敵な一揃えになります。


そして、先日お預かりしたのは、赤ちゃんのお宮参りのお着物。
お父様のお宮参りで使われたものを、しまいっぱなしで出してみたらシミが・・・と。

貸衣装などもお考えのようでしたが、
お父様の物をお子さんがまた使うという事のほうが、
少々シミがとりきれなくて残っても、ずっと素敵なことではないかと
思いました。

新しいものが売れないと、私たちは困るのですが
お家で代々、着物を譲ってお召いただくことはとてもすばらしいことだと思いますし
そういう良さも私たちは伝えていきたいと思います。



余談ですが・・

お母様やおばあちゃまのお着物を受け継いでいくのはいいことですが
接客していて、遭遇する悩み・・。

お着物が好きで、たくさん持っていらっしゃると
着なくなった着物をどなたかに差し上げたいと思われる方は少なくありません。

その場合、寸法と好みがあえばいいのですが・・・

必ずしもそうではない場合も多く
いただいた場合、せっかくだからお直ししてでも着なくては・・と負担になる場合もあります。

たいてい、差し上げたい方もいただく方も「いい方」がほとんどですから
これがまた難しい・・

頂いてとてもうれしいと喜ばれる場合もありますが
せっかくいただいたお着物、シミ抜きやお直しに意外にかかってしまったり
合わせる帯に困ったり・・ということもあり
客観的な立場から言わせていただくと正直なところ、頂ただかなかったほうがよかったかな・・
という場合も時にはあるのです。



着物に限らず、こういうことはよくありますね。

頂く場合には、趣味に合わないなどと思った時は、上手にお断りする
ことも必要ですし
差し上げるときは、間柄にもよりますが、お相手のことをよ~く考えて
いただけると、ホントに喜んでいただけると思います。

参考までに・・・









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