半透明記録

もやもや日記

行動は言葉よりも強い

2007年01月28日 | もやもや日記
BS1で先週の夜に放送されていた「イラン 大統領になりたかった男」というのを見ました。イランで、貧しい階級出身のおじいさんで、もう3度も大統領選に出馬していますが、まだ当選を果していない人のドキュメンタリーです。

はっきりと言って、心が洗われました。その人は、とても単純で素直な思想の持ち主で、全ての考えの根幹となるのはイスラムの教えなのですが、それはもう心から人々の暮らしが良くなるような政治を行いたいという一心で、地道に選挙活動を続けています。彼のそういう意志に対して、しかし、周囲の反応は冷ややかであったりもします。「誠実なだけではやっていけない」という意見もありました。それはそうかもしれない。でも、ほんとうにそうなんだろうか。一方で、投票権を持つ人々は、「いつも当選する候補者に票を入れているのに、一向に物事がよくならない」と嘆いてもいるのです。微妙な問題ですね。

この大統領を目指すおじいさんは、もう70歳を過ぎているようですが、25年間かけて受験して、ようやく大学に通えるようになり、その番組制作当時にはめでたく3年生になったところでした。なんとすばらしい精神力でしょうか。こういう人には300年くらい生きてほしいものです。美しい人です。

今日の記事のタイトルは、この大統領候補の一言です。私も色々と考えてみることはするけれども、実際に行動に移すまでに至ることは少ないです。そういうところを、反省したい。切実にそう感じました。このところ、私に物を考えさせようとして、色々な刺激が与えられるようになっています。私に求められている行動とは、どういうものでしょうか。いずれ行動を起こすべき時が来るのでしょう。もう来ているのかもしれません。しかし、ほんのささいな行動でも、それを起こそうと思ったら、結構な気力がいるものですね。少しでも美しい人になりたいものです。


ところで、この「イラン 大統領になりたかった男」という番組は、制作もイランの人によるもののようでしたが、私と一緒に見ていたK氏ともども、アッバス・キアロスタミの映画『桜桃の味』を思い出しました。あの独特の感じはキアロスタミ氏特有のものなのかと思っていたのですが、もしかしたらイラン特有のものなのかもしれません。とにかく、ノン・フィクションとはとても思えないような、まるで役者のように印象的な人々(とくにおじいさんの奥さんの存在感が強烈)、セットのような風景(とにかく何もない平原にぼつんと廃墟があって、そこで昼食を摂ったりする)、静かに動きまわる羊やロバの顔つきさえ何か今にも話し出しそう。

うーむ、面白かったです。とても。

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