半透明記録

もやもや日記

『さいはての島へ』

2006年08月17日 | 読書日記ーファンタジー
ル=グイン作 清水真砂子訳(岩波書店)

《あらすじ》
魔法の館の長としてアースシーをおさめる大賢人ゲド。災いの源を断つため、若いアレン王子をともなって最果ての地におもむき、死の国の境界で死力を尽くして戦う。


《この一文》
”「無垢には悪に立ち向かう力はないが、」ハイタカは少々皮肉をこめて言った。「しかし、善を守り、それを支える力はある。」”




明日、劇場版『ゲド戦記』を観にいくにあたって、第三巻を読み直しました。2回くらいは読んでいるはずなのに、冒頭のアレンと大賢人が噴水の間で出会う場面のほかはきれいさっぱり忘れていました。どうしてこれほどまでに忘れてしまえるのか、私の頭はいったいどうなっているのやら。でも、もう忘れないで済むと思います。書物は読むべき時に読めば、二度と忘れることはできません。私には今がようやく読み時だったというわけです。

さて、感想を書いておこうと思いましたが、暑くて頭が働きませぬ…。映画を観たあとでまとめましょう。

とりあえず、この『ゲド戦記』の初期三部作は必読の傑作シリーズです。人間の抱える問題を、さりげなく面白く描き出すル=グインという人は、ただものではありません。生きる上でなんらかの疑問を持つような人は、これらを読めばどこかに得られるところがあるのではないでしょうか。私にとっては第一巻「影とのたたかい」が忘れ得ぬ物語となりました。
実を言うと、この三部作に続く第四巻「帰還」は、今のところ私には面白いと思えません。本当は明日の映画鑑賞に備えてこれも読んでおこうとは思ったのですが、何となく読む気になれず。しかし、いつの日か読み返したなら、その時はもっと分かるようになっているだろうとも思います。何度も繰り返し読んでみることが必要です。そして、何度も読みたくなるものこそが名作であると言えましょう。それは何度読んでも飽きず、常に新鮮であり続けるものであることは、私が最近になってようやく知ることができた書物の秘密です。文学って素晴らしい。いえ、絵や音楽やその他のさまざまなことも。人間の精神活動というのは、まったく。

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2 コメント

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後だしで申し訳ない (ドッペル)
2006-08-19 21:02:10
 実は昨日、こちらの記事を読みまして、たぶん怒りの記事がアップされるのではと思っていました。

この映画は観ていないのですけど、某映画批評サイトの酷評で十分その駄目加減は知っていました。

 その批評サイトのどれよりもntmymさんの酷評?が優れていましたよ←変なほめ方ですが。

 

 ところで、ゲドの裏で、ひっそりとアニメ「時をかける少女」が公開されていて大好評だそうです。ご存知のとおり筒井康隆原作ですがntmymさんは、こういった種類の作品はお好きでしょうか?
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お気になさらず~ (ntmym)
2006-08-19 22:16:12
ドッペルさん、こんばんは~!



私は、べつに怒ってないんですよ(←よく言う…)。てへ。観終わった直後はつい燃え上がってしまいましたが、いま冷静になってくるとちょっと酷く言い過ぎたかなと反省してます;

私はほんとに批評は苦手なんですよ…。でもおほめくださって嬉しいですわ。



そうそう、「時をかける少女」!

私も観たいなーと思ってたんですが、まだやってますかね? 昔の実写版を観たことはありますが内容はすっかり忘れました。先日、友人から粗筋を聞きまして、「え? そんなんだっけ?」と新たに興味がわいたところでした。かなり面白そうな物語ですよね~。こういうの好きです!
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