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Glenn Gould "J.S.Bach Goldberg-Variationen"(その2

2007年04月01日 | 学習
55年盤と81年盤を聴き比べる。




先日のグールドとの衝撃的な出会いのあと、さっそくアマゾンにCDを注文していたものが届きました。私がここまでハマるのは珍しい。恐るべしグールド。
(先日の感激爆発記事はこちら↓
 Glenn Gould "J.S.Bach Goldberg-Variationen" )

さて、両者はいずれもグールドによるバッハの "ゴルトベルク変奏曲"です。グールドのデビュー作と遺作が同じ曲であるというのは、不思議なことですね。この最初と最後の演奏を聴き比べてみると、素人の私にも分かることと言えば、同じ曲であるのは確かながら、これらはまるで違うように聴こえるということでしょうか。

まずスピードが違います。55年盤は本当に速い! 超絶速度です。両者の再生時間を単純に比べても10分以上の差が出ています。そして55年盤は(若いころの演奏だということを私が知っているせいかもしれませんが)沸き立つような高揚感を与えられるところがありました。盛り上がりますね。これからの季節には良い感じかもしれません。何となく。

それに対し、81年盤(こちらが私が初めて聴いたグールドの演奏)は、もっと落ち着いた演奏です。慎重に慎重に演奏されている感じがします。55年盤に比べてゆったりとしているのですが、やはり盛り上がります。個人的には、これは秋に聴くと何かとんでもないことになりそうな予感。秋は私の精神が最高潮に敏感・活発となる季節です。今度の秋が楽しみです。


あらためて81年盤を聴き直してみると、私がこのあいだあんなにも泣いてしまった理由がちょっと明らかになってきました。《第25変奏》の途中から《第30変奏》までは猛烈に盛り上がっていくわけですが、そのあとの《アリア》への落差は、とても耐えられないほどに急激なものです。私はそういうのに弱い。それにこのあたりは、「もうそろそろこれで終わりです」という感じが非常にします(これも最晩年の演奏であることを私が知っているせいかもしれませんが)。もはや最初の《アリア》とは別物のようです。うう。


そして2枚を比べて聴いてみて何よりも感動的だったのは、こんな風に同じ対象に向かってひたすらに取り組んだ人が存在したという事実でしょうか。何かに情熱を燃やしてそのために生きた人の姿は、私にはとても美しく映ります。他の分野でも、私はどうしてもそういう人物に憧れてしまうのでした。彼らは自分の興味や欲求に従って生きたつもりだったかもしれなくても、結局は人類のために生きたことになっている。素晴らしい人生に栄光あれ。


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ところで、CDに付いていた解説文も結構熱くて面白かったです。やっぱりカリスマだったんですね、グールドは。