eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

eラーニングとは、教育革命

2008-06-23 11:52:10 | eLearning
eラーニングは、教育にどのような変化をもたらすものでしょうか。

革命的な変化の一つは、教室における教育の結果である成績の正規分布を破壊することです。どんなに優秀な先生が、どんなにすばらしい授業をおこなっても、集団に対する働きかけである以上、成績の正規分布を押し上げることはできても、分布そのものをかえることはできません。

eラーニングは、個別教育です。集団に対する個別教育です。

したがって、eラーニングは、この成績の正規分布そのものをかえる力があります。成績が低い学習者と高い学習者など、学習の成績に応じて個別に指導することができる。正規分布のグラフが、好成績のところに集中するグラフにかわることもありえます。

たとえば、資格試験の合格率を上げる教育があるとしましょう。教室の教育では、全員に同じことを同じスピードで教える以上、教育の時間を増やしたり、教育方法を工夫したりしながら、全員の底上げをはかることになります。

もし、eラーニングで資格試験の合格意率を上げようとすれば、合格ラインぎりぎりのところにいる学習者や、ひと頑張りが必要な学習者に個別指導をすることができます。わたしたちのeラーニングで、数百人の内定者に対してIT系資格の合格保障の契約を企業に提供することもあります。これは、個別指導のeラーニングだからできることであって、教室型では不可能に近いでしょう。

「おちこぼれは、教室でうまれた。」ということばも象徴的です。個別教育におちこぼれはありません。

このeラーニングの教育革命は、LMSとコースを用意して、さあ自由に勉強してくださいというのでは実現できません。そのような形では、自分で学習する人たちとその成績も正規分布してしまいます。eラーニングを、その本来の姿である個別教育として実施して、はじめて教育革命になります。

このeラーニングの教育革命は、学習者の学習プロセスそのものが決定的に重要なのです。学習プロセスの設計と指導・援助がかぎです。その意味で、ラーニング・デザインが重要なのです。

余談ですが、最近の教室の教育は、成績が正規分布しなくなったことも新しい特徴です。低いところと高い所に二つの山があったり、あるいは、もっとイレギュラーに分布したり。となると、授業のすすめようがなくなります。正規分布していれば、成績が下から3分の1あたりの学習者をターゲットに授業をすすめれば、大多数の理解をえることができたのですが、正規分布がなくなると、ターゲットとすべき多数を占める学習層がなくなってしまいます。

多様化の時代に、集合教育そのものも、おおきな困難に直面しつつあります。