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「ポプラ社小説大賞? 読んだ俺たちがもらうべきだぜ!」

2010-12-26 09:18:11 | ニュース



今やポプラ社が何と言おうと、
同社の小説大賞に選ばれた水嶋ヒロの文壇デビュー(笑)作「KAGEROU」が、
何のやらせもなく純粋に大賞に選ばれた作品とは、もはや誰も思っていないでしょう。


だいたい、最初に2000万の賞金を辞退した受賞者が、
ペンネームで応募していたタレントだった、って時点で既に宣伝っぽかったワケです。

その後、次々にニュースに報道されるどれもこれもが、
いかにもPR会社か広告会社が企画したようなストーリー臭さがムンムンしています。
そのどれもこれもが突っ込みどころに事欠きません。


・2000万の賞金を辞退した

それ自体は一見潔く見えるんですが、動機がわかりません。
たぶん、ポプラ社は最初から賞金なんて出す気はなかったのでしょう。
だって、次回からは大賞をとったとしても賞金は200万円になるのでしょう?


・作者がタレントだって後からわかった

それをバラしたら、せっかくペンネームで応募したのが台無しじゃないですか。
賞金を辞退したのを後悔して、せめて自身のネームバリューを武器に販売数を伸ばし、
印税をがっぽり稼こうとでもしたのでしょうか。


・作品のウリが、「水嶋ヒロ処女作品」になっている

ま、これはしょうがないですかね。
「ポプラ社小説大賞」よりは、「2000万円を辞退した水嶋ヒロ」のほうが宣伝にはなります。
おかげで、書店ではこの作品が凄くプッシュされた売り場になってますね。
やっぱり、コレありきだったんだなと疑わせるのに十分です。


・500万円(分のポプラ社の在庫本)を奄美大島に寄付した

これもまた唐突な行動です。
しかも寄付ってのが、いかにもPR会社が考える企画っぽいです。
500万円の原資は辞退した賞金なんですと。
原資っつっても、ポプラ社の本ですから、全く水嶋ヒロ本人の意思を感じません。


・映画化のオファーが舞い込んだ

作品が世に出て評価を得る前に映画化がオファーされるなんて、チリの鉱山落盤事故もビックリですよ。
良心的に解釈すれば、話題作にはとにかく先にツバつけとけ!ってことかもしれませんが。
ま、最初から企画にあったってことですよね。


週刊ポストの1/1,7号に掲載された記事によると、
広告会社と出版プロデューサーがこの舞台を用意したということですが、
真偽はともかく、ほぼほぼそんなところだろうなという印象は自分も持っています。


そんなカンジで、壮大な出版プロモーションが展開されておりますが。
そういった意味では、作品の評価はともかく、セールス的には大成功でしょう。

作品がタコでも、話題作りと宣伝がうまくいけば売れることを証明した、
マーケティングにおいては顕著なモデルケースになりました。

ま、映画や音楽などのプロモーションではどれも似たようなものですけど、
今回は「小説大賞」から舞台に巻き込んだことでなかなか大がかりな仕掛けではないでしょうか。

ポプラ社も、、、 よくやったというか、、
なんと言われようが、売れたもの勝ちですからねえ。


さて、売る舞台は大袈裟に用意されたものの、中身は酷いという評判がもっぱらの「KAGEROU」、
これを買う消費者のモチベーションってどんなものなんでしょうね?


 「きゃー! ヒロくんだから」

といった、ヒロくんファンや芸能ファンから、


 「大賞作品だから!」
 「賞金2000万の価値ある小説とはどんな凄いのか」

といった、賞を獲るだけの内容に期待する人もいれば、(いるの?)


 「タレントがどんだけの本を書けるのか」
 「とりあえず話題になってるから」

といった、ミーハーな興味本位の人もいれば、


 「どんだけひどいのか」

といった、「やっばひどかった」というエクスペリエンスを持ちたい人まで。

文学作品に対する関心を、様々な角度から獲得することに成功してますね。

ま、動機はどうあれ、こうしてセールスに貢献した購入者からすれば、
イギリスの作家、ニック・ホーンビィ風に言うと、


 「ポプラ社小説大賞? 読んだ俺たちがもらうべきだぜ!」


みたいなカンジでしょうかね。
自分は読んでませんけど。


ただポプラ社は、この賞に応募した作家には失礼なことをしましたね。
今後、同社は制作者からの信用を失い、次回以降の賞金を2000万から200万に下げたとしても、
この「小説大賞」自体、もう成り立たなくなることもあるんじゃないでしょうか。

児童書のイメージが大きい同社がまさか、オオカミ少年のようにウソを突き通して、
最後には誰からも信用されなくなるなんて末路に陥ったりしませんかねえ。

そんな「大賞」作品の評価がココまで低いと、大賞の権威ってやつもぶち壊しですし、
そうした評価はポプラ社全体に及びかねませんね。

え、逆に、コレで大賞を獲れるんだ!ってことで、
作家の卵たちの創作意欲を掻き立て、出版界を活性化させられるかも、ですって?
なるほど・・ ポプラ社は自身を犠牲にすることで業界に貢献するんですか。。。


水嶋ヒロの「KAGEROU」はポプラ社小説大賞の第5回目の大賞受賞作品で、
大賞受賞は1回目以来のことで、その間は該当作品がなかったということですが、
どうせならこの際、「第一回大賞受賞作品!」ってのを
今更なんですけど大々的に売り出したらどうでしょうね、ポプラ社さん?