土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

願成就院、憧れの運慶仏に会う。

2017年08月17日 | 静岡の古寺巡り





(2017.08.14訪問)


伊豆の修善寺から浄蓮の滝と天城峠を見に行こうとウチの奥さんが云うので、これは幸いと行ってきました。
例により盆休みの三日前くらいにいきなり云うので、修善寺温泉の2~3ホテル候補で最初にかけた電話で一発決定。
「ホテル取れたぜ」「いつ」「14日」「あッそう」それでオシマイ、あとは出発のみ。





▼今夜ここに泊まります。修善寺温泉「鬼の栖」というホテルです。







かねてから、伊豆の願成就院と云う名のお寺を是非訪ねたいと常々思っていたところ、いい具合にこの盆休み実現したんです。
新東名高速を長泉沼津インターで下り、下田街道を南下、修善寺手前伊豆の国市に願成就院があるんです。「ホテル着の前に一軒寄
るとこがある」と奥さんには一言お断りをして運慶作国宝五体に会いに行きました。






▼さすが運慶、この睨みを見たか!

 





[ 願成就院 ]
●山号 天守君山 (てんしゅくんざん)
●寺号 願成就院 (がんじょうじゅいん)
●宗派 高野山真言宗 (こうやさんしんごんしゅう)
●創建 文治五年 (1189年)
●開基 北條時政 (ほうじょうときまさ)
●本尊 阿彌陀如来坐像
▲静岡県伊豆の国市寺家83-1 電話 055-949-7676
▲拝観料 400円 ご朱印300円
▲時間 9:00~17:00
▲伊豆箱根鉄道「韮山駅」「伊豆長岡駅」徒歩15分。 
 国道136号線沿い三島・修善寺間の中間地点。





▼切り妻、桟瓦葺きの簡素な山門。今日程ドキドキして山門を潜ったのは初めてです。







願成就院縁起 (願成就院HPから抄出)
この地で源氏再興の旗揚げをし鎌倉幕府を開いた源頼朝の奥州藤原氏征討の戦勝を祈願して、幕府初代執権で北條政子の父、北條時
政が建立し「願成就院」と称したことに始まります。幕府の事蹟を伝える歴史書には、三代執権北條泰時の頃までの様子が詳しく記
されています。時政が建立した大御堂と南塔、二代執権北條義時が亡父時政供養として建立した南新御堂、三代執権北條泰時による
北條御堂と北塔の建立など、堂塔伽藍の造営は北條氏三代にわたります。貞応元年「定額寺」とする宣旨が朝廷よりくだされ、この
地に守山を借景として、中之島のある大きな池を配した「浄土様式」の壮大な寺院が北條氏の氏寺として造営されていました。





            ▼寺号木札。

       





▼山門から大御堂が見えます。

      





▼左に石仏が集められています。







▼六地蔵もいます。







            ▼左の細道を行くと開基北條時政の墓。
             北條時政 (1138〜1215年) 平安後期~鎌倉時代の武将。



保延四年生まれ、北条政子の父。鎌倉幕府初代執権。政子と結婚した源頼朝の挙兵をたすけて幕府創設に寄与。文治元年京都で守護
地頭設置の勅許をえる。頼朝の死後二代将軍源頼家を廃して源実朝を擁立し実権をにぎる。さらに後妻の娘婿平賀朝雅を将軍にしよ
うとして失敗、伊豆に退隠した。建保三年一月六日没、七十八歳。





▼鐘楼。境内唯一朱の建物。







            ▼参道左右に建つ大石灯籠。







            ▼境内東端に空海さん修行像。







            ▼十三重石塔。







さていよいよ運慶さん作、五体の国宝仏に会います。

▼大御堂。このお堂に五体の国宝仏が祀られています。
 一歩堂内へ、思わず声を上げてしまいました。こりゃ凄いワ、今思うと、須弥壇前を行ったり来たり何度往復したことか。







▼中央 阿弥陀如来坐像 (国宝)。像高142.0cm、寄木造り、彫眼 。文治二年 (1186年) 造像。
 圧倒的な量感が凄い、安定感と云うか安心感が沸々と湧き出る感じ。残念なことに五体中一番破損度が酷く、特に前方で組む説法
 印の指の破損はお気の毒な感じがします。お顔と体躯の安定感はさすが運慶。



            (阿弥陀如来坐像写真は願成就院HPからお借りしました)





▼最も見たかったのがこの毘沙門天立像 (国宝)。向って右側。像高148.2cm、寄木造り、玉眼 。文治二年 (1186年) 造像。
 この毘沙門さん、毘沙門天像のスタンダードと云ってもいいでしょう。この精悍な顔つきを見て下さい緊張感が漲っています。い
 つも思うんですが、こういった戦士像の甲冑のデザインや全体の造形、細部のディテールデザインにいたるまでやはり運慶さんた
 だ一人の制作なのかナ。



            (毘沙門天写真は願成就院HPからお借りしました)





▼不動明王三尊像(国宝)。寄木造り、玉眼 。文治二年 (1186年) 造像。
 不動明王 像高137.2cm、右、矜羯羅童子 像高74.4cm、左、制吒迦童子 像高83.5cm。
 きかん気の制吒迦童子と少しすっトボケた矜羯羅童子を両脇に不動明王の眼光鋭い念怒の形相は煩悩を断ち切ってくれる大迫力を
 いやが上にも感じます。それにしても二童子の対照的な表情や動きには恐れ入りました。



                  (不動明王三尊像写真は願成就院HPからお借りしました)

五体の像に磁力を感じるように、正面、斜めからと右に行ったり左に行ったり、、とことん拝見とばかりジックリ運慶さんの技に見
惚れました。 ※各お像の像高表示は、願成就院のホームページとパンフレットとで違いがあるため、このブログではホームページ
の数字を採用しています。





▼放生池。













▼本堂です。檀家さんだけにしか入堂は許されないそうで、茅葺きの大きな建物です。寛政元年(1789年)建立。







            ▼本尊阿弥陀如来坐像。像高86.8cm 玉眼、鎌倉前期、作者不詳



            (本尊写真は願成就院HPからお借りしました)





▼本堂。







▼境内です。







▼ご朱印です。これぞご朱印の筆跡、上手い!







願成就院はごくごく小さいお寺です。言っちゃ失礼ですが、こんな小さなお寺に運慶仏が五体も? ホントかいなという思いと期待
ワクワクで山門を潜りました。サラッと境内を巡り、運慶仏を祀る大御堂に一歩入ったインパクトが凄い、いつも写真で見るしかな
く是非会いたかった五体が目の前の須弥壇に並んでいるんです。あのイヤラシいネットとかガラスのガードがなく目の前に祀られて
いるんです。ブラボーな祀り方に敬意を表し、納得の運慶仏拝観の願成就院でした。伊豆まで来た甲斐がありました。

これにて願成就院 オ シ マ イ
次に訪ねるのは修善寺の「修禅寺」です。





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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
運慶五体 (越後美人)
2017-08-17 16:48:21
さすがに安定感があって素晴らしいですね。
特に毘沙門天立像、これこれ、これです!
以前に何かの雑誌に載っていて、憧れていた像です。

五体共に、運慶作の仏像がガードなしで見られるのは嬉しいですね。
本当にブラボーな祀り方ですね!

奥様の一言から、思わず願いが叶って良かったでしたね(^_-)-☆
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毘沙門天像の素晴らしさ (hidepon)
2017-08-17 23:37:56
越後美人さん、こんばんは。いつもありがとうございます。

思わぬチャンスで念願が叶いました。奥さんさまさまです。
願成就院はホントに小さなお寺なんですが、運慶仏は光り輝いてます。
越後美人さんも云われるように、特に毘沙門天像の素晴らしさベリーグーグーです。
これを越える天部像は他にあるでしょうか。
運慶さんて凄い人ですネ。
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