裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

重力波の番外編

2016年02月25日 09時02分51秒 | サイエンス・ガクジュツ的な
光を観測するのが「目をこらす」って作業なら、重力波の観測は「耳をすます」と例えられるんだ。
これによって、見えないものの実像がくっきりと立ち上がってくるんだね。
重力波が最初にとらえたのがブラックホールだったってのは、示唆的だ。
ブラックホールは、光まで閉じ込めちゃう不思議天体だから、光による観測はできないんだ。
ブラックホールは、すごい重力を持ってる。
すごい重力ってのは、つまり「体重が重くなる」ってことだよ。
地球の三倍の重力を持つ天体にきみが立ってるとすると、きみの体重は三倍になる。
ものすごく体が重くなるんだ。
ジャンプしてみると、地球上の3分の1の高さにしか飛び上がれない(精密に計算したらそうじゃないかもしれないけど)。
その天体で、地球上と同じだけ飛び上がるには、きみは「三倍のスピードでジャンプする」ことが必要だ。
もっと重力が強い天体にいったら、もっと速いスピードで飛びあがらなきゃいけない。
もっともっとものすごく重力が強い天体で飛び上ろうとしたら、もっともっとものすごく速いスピードが必要だ。
じゃ、光のスピード(つまり、この世界の最高速だ)を使わないと飛び上がることができないような天体があるとしたら?
そして、光のスピードをもってしても飛び上がれないような天体が。
そこでは、光も脱出できない、ってことになる。
光まで飲み込み、閉じ込めてしまう天体・・・それがブラックホールだよ。
そいつは決して光を出さないんで、どんな光観測装置を用いても、見ることができないんだ。
そこで、重力波観測装置の出番、となったわけね。
この観測装置は、前の章でも書いたように、最終的にはビッグバンの姿を明らかにしたいんだ。
ところが、ビッグバンの光ってのは、すでに観測されてるんだよ。
「宇宙マイクロ波背景放射」ってんだけど、要するに、ビッグバンのときにばらまかれた凄まじい光が、137億年たった今、どうなってますか?って話。
その頃の宇宙はとても小さくて(ただの点だった)、まったく均一に光はばらまかれたわけだから、宇宙が大きく引き伸ばされた今日でも、光は薄まってまんべんなく宇宙中に存在しつづけてるはずだ。
光は薄まると、電波になるんだって。
そんなビッグバンの名残の電波が、本当にこの現代の宇宙を満たしてたんだ。
「宇宙」の「背景」に「放射」されてるから、「宇宙背景放射」だよ。
そいつをついにレーダーで(たまたま)とらえた二人の人物は、ノーベル賞をもらったんだ。
この世界が生まれたときの光が、今もこの宇宙を満たしてるなんて、すごいよね。
この観測によって、ビッグバン理論は証明され、本当に世界が点から誕生したってことが裏づけられたんだ。
重力波でビッグバンをのぞいたら、どんな絵づらが立ち上がってくるのかね?
たのしみすぎ~。

おしまい、たぶん。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
コメント
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