お隣さんの玄関先に、高さが3m近くになる木があり、沢山の赤い実が成っていた。 このお宅からはいつもお花を頂いているが、今回もあげるから好きなだけ切ることを許された。 丁度、今月の墓参りを明日予定していたので、では是非にと家内が頂いてきた。
これ何の木?と言うから、よく見たら私の「花写真鑑」にまだ記載のない花(以下”新種”という)であり、考え込んでしまった。 お隣とは当団地に入って以来のお付き合い、この木があることも承知しており、何が今更”新種”と大きな疑問を抱いた。
改めて、根元を見ると、太い親木の脇から「曾孫(ひこ)生え」が生えており、正しく木の葉は「ヒイラギ」そのものであるが、親木の大部分は丁度「イヌツゲ」のように葉が円くなっているので、「ヒイラギ」を接木したもので台木が大きくなったものと思った。
しかし地面をよく見ると、親木から500mmくらい離れた場所にも「ヒイラギ」が高さ800mm位に育っており、その根は親木の根に繋がり、「ヒイラギ」のヒコバエであると断定した、よって、挿木の台木から芽吹いたものでないことになる。
言い換えれば、この木全体が「ヒイラギ」でなければ、辻褄が合わない。 説明が付かないのである。 家主に聞けば、寄せ植えを買って、その中の「ヒイラギ」だけを植えたのだという。 接木をするほどの大きさではなかったから、その考えは完全に否定された。
そこで調べた。 最初は「ヒイラギ」という考えはなく、あくまでも”新種”として調べたが、いくら調べてもその名前は見つからない。 そのうちに、私が持つ「身近な樹木」と称する主婦の友社の図鑑の「ヒイラギ」の記事の端に次の一行の記述を見付けた。
そこには「老木になると葉の鋸葉がまるくなる。そのころのほうが沢山の花をつけやすくなる。」とだけ書いてあった。 本当かなあ!といささか疑問を持ちながら、ネットで調べて見たら、それが事実と認められる記述が多々あった。
そこで、改めてお隣さんを訪ね、よくよく見てみると、葉の鋸の目が縮小したものがあった。(下の写真) 円くなったのが”老人”ならば、これは中年、壮年かと思った。
さらに、周りを探すと、上記よりも更にお年を召した葉を見付けた。もう殆ど円くなっている、(下の写真)いわば初老の段階かと思わせる。 年を取ると、人間が円くなると言うが、「ヒイラギ」はそうなれと私に告げて居るのかも知れない。
「ヒイラギ」はソロバンの玉に使うなど、家具に適した木であり、田舎の我が家にも植えられていたし、当団地に入った時最初に植えた木々にも入っていた。 そしてその木が大きく成るにつれ庭の中核を成していた。
しかし、庭の掃除の際、落ち葉の棘が痛いので、木を切れとの圧力が次第に増してきたし、狭い庭では他の木が大きくなってきたので、間引きの意味もあり、涙を飲み込んで、根元から伐採したものであった。
このように余りにも昔からなじみも深く愛着のある木でありながら、「花写真鑑」には未登録であったが、この際実の写真が手に入ったので、極めて遅まきながら”新種”登録第1386号としたのであった。
以上
「ヒイラギ」と言えば子供でも、葉がギザギザと言う事を知っています。この記事を読んでヒイラギも大きくなるとそのギザギザが消えて、丸くなると知りました。「人間と同じ」と言う解説には感心してしまいました。
「ヒイラギ」は老木になると、葉が円くなることを知りました。
私も老人の仲間に入ったつもりですが、果たして円くなってるだろうかと考えると、ちょっと恥ずかしく思えます。 本当に円くなるにはまだまだ時間がかかるかも知れません。
「花写真館」には未登録とありますがこれは花ではなく木だから対象外ではないのですか?
例外的に花がつかない植物がありますが、大概は花を付けます。 この「ヒイラギ」も当然花は付くので、来年開花時に撮らせて頂く予約をして、取り敢えず実と葉で書きましたが、これは言い訳に過ぎません。
収録数を増やすためばかりではありませんが、実や葉や茎のみで”新種”扱いしてますので、”植物写真鑑”とすべきかも知れませんねー!。
ただ、取り敢えず、葉や実で登録しても、花の写真が入手できた時点で、看板となる写真は花の写真に変えています。 但し、「マンリョウ」などのように、実が中心で、花なんぞ見たことがないというのは、実を前面に出すようにする場合があります。