昨日も寒かった。。。
肌を刺すような寒さ。
寒さには弱いのだが、師走のこの何とも言えない空気感は好き(笑)
さて、先月末まで東京国立博物館で「禅~心をかたちに」と銘された特別展が開催されていました。
行かれた方もいらっしゃるのではないかと思うのですが、すごい人出でしたねぇ・・・人気の程が伺えます。
三禅宗である臨済宗・曹洞宗・黄檗宗(おうばく)やその周辺の文化関連の作品が多数展示されていました。
掛けモノ、彫刻、焼き物などなど。
展覧会では、通常準備されている出品目録という一覧表を見ながら展示を巡りますが、その一覧の作品ごとに【指定】という欄があります。
そこには、ちょいちょい耳にする国宝だとか重要文化財などという区分けが記載されている訳です。
本日は、そのあたりの堅めのお話。。。
まず、指定(もしくは認定)の根拠となる法律関係を時系列に並べます。
<関連する法律>
1950年以前:旧法(古社寺保存法、国宝保存法)において、国が「国宝」(旧国宝)を指定。
旧法(重要美術品等ノ保存ニ関スル法律)。日本国外への古美術品の流出防止を主目的とした認定制度。
***文化財保護法施行以前の旧法では「国宝」と「重要文化財」の区別はなく、国指定の有形文化財(美術工芸品および建造物)はすべて「国宝」。
1950年:新法(文化財保護法)施行。旧「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」は廃止。
国が指定した有形文化財を「重要文化財」。
***旧「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」によって認定された物件については、文化財保護法施行後も、
同法附則の規定に基づき、当分の間その認定効力を保つこととされている。
***重要美術品の認定が取消される要件
(1)重要美術品等認定物件が重要文化財に「格上げ」指定された場合
(2)重要美術品等認定物件の海外輸出が許可された場合
***旧法(古社寺保存法、国宝保存法)における「国宝」(旧国宝)と新法(文化財保護法)における「重要文化財」は国が指定した有形文化財という点で同等のもの。
1996年:文化財保護法改正。文化財登録制度が設立。主に建造物が対象。
2004年:文化財保護法改正。建造物以外の有形文化財も登録対象となり美術品が登録される。
2008年現在、旧「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」による認定の効力を有する物件は、6千数百件と推定。
ここから耳にすることの多い指定の中身の話。
大きく有形と無形に分けられますが、有形に絞って話を進めましょう。
①国宝(文部科学省):文化財保護法によって国が指定した有形文化財(重要文化財)のうち、世界文化の見地から価値の高いもので
たぐいない国民の宝たるものであると国(文部科学大臣)が指定したもの
建造物 223件(282棟)(2016年2月9日指定分まで)
美術工芸品 878件(2016年8月17日指定分まで)
(以下内訳)
絵画 160件
彫刻 131件
工芸品 253件
書跡・典籍 225件
古文書 60件
考古資料 46件
歴史資料 3件
こちらは大変有名な油滴天目茶碗(中国南宋時代12-13世紀 大阪市立一律東洋陶磁美術館所蔵)です。年明け2017年4月11日から開催される特別展『茶の湯』@東京国立博物館 平成館でも展示予定。
②重要(有形)文化財(文部科学省):通称、重文。日本に所在する建造物、美術工芸品、考古資料、歴史資料等の有形文化財のうち、歴史上・芸術上の
価値の高いもの、または学術的に価値の高いものとして文化財保護法に基づき、国(文部科学大臣)が指定した文化財。
③登録(有形)文化財(文部科学省):1996年の文化財保護法改正により創設された文化財登録制度に基づき、
文化財登録原簿に登録された有形文化財のことである。
登録対象は当初は建造物に限られていたが、2004年の文化財保護法改正により建造物以外の有形文化財も登録対象となっている。
④登録美術品(文化庁):登録美術品制度とは,重要文化財や国宝,その他,世界的に優れた美術品を国が登録し,登録した美術品を美術館において公開するものです。
また,登録美術品は,相続が発生した場合,他の美術品とは異なり,国債や不動産などと同じ順位で物納することが可能となります。個人などが申請可能。
⑤重要美術品:通称、重美。重要美術品(じゅうようびじゅつひん)は、文化財保護法施行以前、旧「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」に基づき
法律に基づいて認定され、官報に告示された物件を「重要美術品等認定物件」または「重要美術品」と称し、略して「重美」と称している。
その他にも、民族文化に関連したものもあります。
⑥重要(有形)民俗文化財(文部科学省)
⑦登録(有形)民俗文化財(文部科学省)
はじめに、大きく有形と無形に分けられます・・・と書きましたが、無形(作品としての形が無い)の文化財。
たとえば、正式には重要無形文化財と呼ばれる区分け、これがいわゆる「人間国宝」という事になります。
これはご存知の方は多いでしょうね。
ある作家個人が「人間国宝」に指定されますと、必然的に過去に当該作家が製作した作品類は一気に評価が高まるかも・・・フフフ。
至極当然ですが、人間国宝の作品=国宝・重文、ではありませんのであしからず。。。
さて、実際に決められる手順(手続き)としては、文化庁にて設置される文化審議会(現・宮田亮平 会長)により開催される同審議会文化財分科会の審議・議決により、文部科学大臣に答申されて決定されます。
ちなみに本年3月に答申された内容もプレスリリースされていますので、いつでも閲覧可能です。
(結果:4件の美術工芸品を国宝に、46件の美術工芸品を重要文化財に指定)
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/2016031101.pdf
文化審議会を構成する委員(任期1年)の名簿も公開されています。えっ、あの人も???
という発見もあるかも!
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/about/meibo.html
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肌を刺すような寒さ。
寒さには弱いのだが、師走のこの何とも言えない空気感は好き(笑)
さて、先月末まで東京国立博物館で「禅~心をかたちに」と銘された特別展が開催されていました。
行かれた方もいらっしゃるのではないかと思うのですが、すごい人出でしたねぇ・・・人気の程が伺えます。
三禅宗である臨済宗・曹洞宗・黄檗宗(おうばく)やその周辺の文化関連の作品が多数展示されていました。
掛けモノ、彫刻、焼き物などなど。
展覧会では、通常準備されている出品目録という一覧表を見ながら展示を巡りますが、その一覧の作品ごとに【指定】という欄があります。
そこには、ちょいちょい耳にする国宝だとか重要文化財などという区分けが記載されている訳です。
本日は、そのあたりの堅めのお話。。。
まず、指定(もしくは認定)の根拠となる法律関係を時系列に並べます。
<関連する法律>
1950年以前:旧法(古社寺保存法、国宝保存法)において、国が「国宝」(旧国宝)を指定。
旧法(重要美術品等ノ保存ニ関スル法律)。日本国外への古美術品の流出防止を主目的とした認定制度。
***文化財保護法施行以前の旧法では「国宝」と「重要文化財」の区別はなく、国指定の有形文化財(美術工芸品および建造物)はすべて「国宝」。
1950年:新法(文化財保護法)施行。旧「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」は廃止。
国が指定した有形文化財を「重要文化財」。
***旧「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」によって認定された物件については、文化財保護法施行後も、
同法附則の規定に基づき、当分の間その認定効力を保つこととされている。
***重要美術品の認定が取消される要件
(1)重要美術品等認定物件が重要文化財に「格上げ」指定された場合
(2)重要美術品等認定物件の海外輸出が許可された場合
***旧法(古社寺保存法、国宝保存法)における「国宝」(旧国宝)と新法(文化財保護法)における「重要文化財」は国が指定した有形文化財という点で同等のもの。
1996年:文化財保護法改正。文化財登録制度が設立。主に建造物が対象。
2004年:文化財保護法改正。建造物以外の有形文化財も登録対象となり美術品が登録される。
2008年現在、旧「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」による認定の効力を有する物件は、6千数百件と推定。
ここから耳にすることの多い指定の中身の話。
大きく有形と無形に分けられますが、有形に絞って話を進めましょう。
①国宝(文部科学省):文化財保護法によって国が指定した有形文化財(重要文化財)のうち、世界文化の見地から価値の高いもので
たぐいない国民の宝たるものであると国(文部科学大臣)が指定したもの
建造物 223件(282棟)(2016年2月9日指定分まで)
美術工芸品 878件(2016年8月17日指定分まで)
(以下内訳)
絵画 160件
彫刻 131件
工芸品 253件
書跡・典籍 225件
古文書 60件
考古資料 46件
歴史資料 3件
こちらは大変有名な油滴天目茶碗(中国南宋時代12-13世紀 大阪市立一律東洋陶磁美術館所蔵)です。年明け2017年4月11日から開催される特別展『茶の湯』@東京国立博物館 平成館でも展示予定。
②重要(有形)文化財(文部科学省):通称、重文。日本に所在する建造物、美術工芸品、考古資料、歴史資料等の有形文化財のうち、歴史上・芸術上の
価値の高いもの、または学術的に価値の高いものとして文化財保護法に基づき、国(文部科学大臣)が指定した文化財。
③登録(有形)文化財(文部科学省):1996年の文化財保護法改正により創設された文化財登録制度に基づき、
文化財登録原簿に登録された有形文化財のことである。
登録対象は当初は建造物に限られていたが、2004年の文化財保護法改正により建造物以外の有形文化財も登録対象となっている。
④登録美術品(文化庁):登録美術品制度とは,重要文化財や国宝,その他,世界的に優れた美術品を国が登録し,登録した美術品を美術館において公開するものです。
また,登録美術品は,相続が発生した場合,他の美術品とは異なり,国債や不動産などと同じ順位で物納することが可能となります。個人などが申請可能。
⑤重要美術品:通称、重美。重要美術品(じゅうようびじゅつひん)は、文化財保護法施行以前、旧「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」に基づき
法律に基づいて認定され、官報に告示された物件を「重要美術品等認定物件」または「重要美術品」と称し、略して「重美」と称している。
その他にも、民族文化に関連したものもあります。
⑥重要(有形)民俗文化財(文部科学省)
⑦登録(有形)民俗文化財(文部科学省)
はじめに、大きく有形と無形に分けられます・・・と書きましたが、無形(作品としての形が無い)の文化財。
たとえば、正式には重要無形文化財と呼ばれる区分け、これがいわゆる「人間国宝」という事になります。
これはご存知の方は多いでしょうね。
ある作家個人が「人間国宝」に指定されますと、必然的に過去に当該作家が製作した作品類は一気に評価が高まるかも・・・フフフ。
至極当然ですが、人間国宝の作品=国宝・重文、ではありませんのであしからず。。。
さて、実際に決められる手順(手続き)としては、文化庁にて設置される文化審議会(現・宮田亮平 会長)により開催される同審議会文化財分科会の審議・議決により、文部科学大臣に答申されて決定されます。
ちなみに本年3月に答申された内容もプレスリリースされていますので、いつでも閲覧可能です。
(結果:4件の美術工芸品を国宝に、46件の美術工芸品を重要文化財に指定)
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/2016031101.pdf
文化審議会を構成する委員(任期1年)の名簿も公開されています。えっ、あの人も???
という発見もあるかも!
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/about/meibo.html
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