1010 Radio

ラジオから色んな情報が発信されるように、車いすの視点から情報や思いを発信。

パク・クネ氏の声明は事実を突いたが、時節にはかなっていなかった

2013-02-18 | ラジオ
韓国の新大統領に選ばれたパク・クネ氏は北朝鮮の核実験にコメントしたなかで、ソ連にも核兵器があったが、これによって国の崩壊を間逃れることは出来なかったと語った。
このパク・クネ氏の声明は、そうでなくても容易い間柄にない南北関係に、深刻な害を及ぼす恐れがある。
北朝鮮が今直面している問題はまさに、ソ連がその昔崩壊へと向かう理由となったものと同じだ。ところが北朝鮮ではこの問題はより深刻な形で現れている。というのもこの国はソ連の経済モデルを借用したものの、同時にそれを最大限厳格化したからだ。
北朝鮮のエンジニアたちは人工衛星を地球の軌道に乗せ、核弾頭を作ることに成功したにも関わらず、この国の一人当たりの平均収入はあまりにも低く、モザンビークやガーナのそれとほぼ同じとなっている。

ということはパク・クネ氏は事実を突いてしまったわけだ。核兵器はソ連を救わなかったし、北朝鮮をも救うことは出来ない。遅かれ早かれ北朝鮮の体制もまた、慢性的な貧困に苦しむ国民の怒りが爆発し、経済非効率がきわまった挙句、その犠牲となることだろう。
問題は別のところにある。それを今、大統領就任式を数日後に控え、これから北との関係を立て直さねばならないはずのパク・クネ氏に、言う必要があったのかということだ。
この発言が北朝鮮に否定的反応を呼び起こしたことは疑う余地もない。ソ連政権の堅牢さに確固とした自信を持っていた70年代のソ連指導部とは異なり、 北朝鮮の政治家たちは一番の脅威は外からのものではなく、国内の抑圧された、民から発せられるものだということをよくよく理解している。
彼らにとってはソ連、東欧の共産体制の崩壊は悪夢だ。パク・クネ氏のこの発言は北にとっては、韓国政権が北の革命的気運を拡大させ、現体制の不安定化を招こうとしている前兆だと捉えられかねられない。

おそらく韓国の政治家たちも、北朝鮮の民主革命に異議は唱えないだろう。ところが非効率的な運営のために破綻した北 の責任を引き受けるはめになるため、誰も事をせいて行おうとはしない。それよりは現在の分断状況に甘んじ、予測不可能な体制を隣人に持つほうがいいわけだ。パク・クネ氏の声明に類する発言は、耳には心地よくなく危険度も高いものだ。

朴槿恵〈パク・クネ〉の挑戦 - ムクゲの花が咲くとき
クリエーター情報なし
中央公論新社

2月16日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル