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汚職対策の重要性を再び主張するメドヴェージェフ大統領

2008-12-20 | ラジオ
メドヴェージェフ大統領の提出した汚職対策の一連の法案は、今週にも
ロシア議会下院国家会議第3回で採択される可能性がある。
この法案は汚職対策の主要原則や、それを行う際の法基盤、組織基盤
を規定するものだ。
そして重要なことはこれが汚職対策というものを、初めて完全に網羅する
形で規定したということだ。

12月17日、下院は4つの法案を採択した。その内の一つは汚職対策に付
いての基本法案となっている。第2回議会でかなりの修正が加えられてい
る。
特に議員らの修正によって、役人が他の役人の汚職を内部告発する義務
があるとした条項は削除された。
ただし役人はどんな場合においても、自分が汚職行為に傾く傾向があった
場合、それを報告する義務があるという条項は残されたものの、内部告発
の義務が外されたことで、法案自体は多少(?)したものとなっている。

特に注意を感知せねばならないことは、今回6回でソフトな修正が加えられ
た法案に付いて、この汚職法案を作成した当の本人であるメドヴェージェフ
大統領は、賛成を示していないと言うことだ。
メドヴェージェフ大統領はすでに、議会が実際に存在する合意事項に対して
注意を怠っているとして不満を示している。
恐らく下院に向けてメドヴェージェフ大統領が、この様な公の形で批判を表
したのは初めてのことだ。
メドヴェージェフ大統領のこうした批判は理解できる。
と言うのも汚職との闘いは、大統領に就任した際に推し進めるプログラムの
一角として公約した、最優先事項のひとつとなっている。

あらゆることから判断すると下院議員らは、あまりに手厳しい汚職対策を推
し進めた場合、国内情勢が不安定化するのではないかとそれを恐れている
ようだ。
ロシア科学アカデミー社会学研究所(?)研究センター所長は、これに付いて
次の様に述べている。
「下院の措置は理解できる。下院としては危機の時期に、そうでなくても余
りの多くの問題が山積しているのに、これ以外にも政権が今、干しかけてい
る細枝を切り落とせば、それ自体が崩壊するのではないかと危惧しているの
だ。ただしこの様に事を検討するのであれば、そもそも汚職問題を触る必要
は無い。
大統領の立場はもちろんずっと世論に近いものであり、危機の時期であるか
らこそ社会を不安定化させないためにも、厳しい措置が必要だと考えている。
さもなければ全てがただ惰性で流れてしまうだろう。
ですからこの場合、大統領の主張する方が私は正しいと思う」
所長はこの様に述べている。

実際のところ議員らの(?)からすれば、ロシアにおける汚職は安定をもたらす要
因であるということになってしまう。
これはつまり汚職に手を染めている役人が余りにも多いために、もしその一部
だけでも洗うとなれば、残る人は誰もいなくなってしまうということなのだろう。
専門家らはこれに付いて汚職対策計画を緩和し、官僚たちが圧倒的優位を保
とうとしているとの見方を示している。
このことからメドヴェージェフ大統領が進める強硬な汚職対策は、非常に時期を
得たものとなっていることが再度明らかにされるだろう。

(?)は相変わらず不明瞭な発音で聴き取れず

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河上 和雄
講談社


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12月18日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル