決算特別委員会の質疑で来年度、国民健康保険料の賦課方式がかわり、大幅な値上げになる人が生まれるため、質問に立ちました。以下のその要旨です。
◎針谷=いま雇用破壊と景気低迷に加え円高による影響など、区民生活の困難は増すばかりである。国民健康保険料は、高齢者や自営業者、失業者など生活困窮者が加入者の大半を占めているにもかかわらず、毎年引き上げられ、今年度は4月からは、均等割が2,700円アップし、一人あたり平均6,223円と5年ぶりの大幅な値上げとした。
その結果、保険料を支払えず、4割近くが滞納している深刻な状況で、必要な医療を受けられないという事態が生まれている。
そのうえ、区長会は、来年度から国民健康保険制度の賦課方式を「旧ただし書き」に移行させることを決定した。
この「旧ただし書き」方式では、公的年金控除の必要経費と基礎控除は認められているものの、扶養控除をはじめとした各種控除については控除されないため、障害者をかかえる世帯をはじめ、多人数の世帯ほど大きな負担増となる。右表の例での計算で間違いないか。
●答弁=間違いありません。
◎針谷=「旧ただし書き」方式に移行した場合に、また、足立区で負担増となる世帯は何%か。
●答弁=特別区全体では2割が上がる。足立区での試算はしていない。
◎針谷=国保料は前年度の所得で計算するのだから足立区の推計ができるはず、計算できないというのは23区で「試算は公表しない」とでも申し合わせているのか。
●答弁=申し合わせはないが試算できない。
旧ただし書き方式への移行に伴って、保険料があがる世帯のイメージ
赤い部分が値上げになる世帯ー低所得者の多人数世帯ほど値上げになる
板橋区の場合、加入世帯の31.9%の世帯が負担増になり、2万2076世帯、34460人が値上となる。影響のない世帯は37%、2人以上の世帯のうち、68.7%の世帯が負担増となると試算されており、4人以上の世帯で保険料が減額となる世帯は皆無である。(板橋区国保運営協議会資料) |
◎針谷=足立区の世帯数で試算すれば私でもできる。私としては試算してあるが、区は情報を積極的に公表すべきだが区民部長の答弁を求める。
●区民部長答弁=できる範囲で試算して示していく。
国保の「広域化」は後期高齢者医療の「姥捨て山医療」を残し、
さらなる保険料の値上げを狙うもの
◎針谷=国民健康保険制度の「広域化」は、年齢で高齢者を差別する後期高齢者制度の核心部分を残し、財界がねらう事業主の負担軽減・廃止を狙った医療保険制度の「一元化」の布石であるとともに、行政の財政支援をやめさせることでさらなる保険料の大幅値上げ、強引な保険料徴収や給付の抑制、住民無視の組織運営をもたらす危険の強いものであると思う。区長会は緊急申し入れを行ったが、どんな内容なのか。
●答弁=財源保障の確保と制度に不備があるので、見直しすべきであるという要望です。
◎針谷=厚生労働省は9月13日、国保の患者負担の減免について新基準を示す通知をだし、低所得者、収入激減者などに適応できるよう国民健康保険料の徴収猶予及び減免の規定の基準をさらにひろげた。
国保の減免制度が拡充へ
【減免基準の内容】収入の減少の認定に当たっては、次の各号のいずれも該当する世帯を対象に含むものとする。
①入院療養を受ける被保険者の属する世帯、②世帯主及び当該世帯に属する被保険者の収入及び当該組合員の世帯に属する被保険者の収入が生活保護法以下、③かつ、預貯金が生活保護基準の3箇月以下である世帯。
【減免期間】一部負担金の減免期間は、3カ月を標準とすること。ただし、3か月までに期間を制限するものではない。なお、療養に要する期間が長期に及ぶ場合は、被保険者の生活実態に留意しつつ、必要に応じ、生活保護の相談等適切な福祉施策の利用が可能となるよう、生活保護担当など福祉部局との連携を図ること。としているが、区としてどんな減免制度を検討しているのか。
●答弁=23区課長会で基準等検討していく。
国保証の取り上げで命を落とすことがないように
◎針谷=短期保険証・資格証明書発行について聞く。区は10月に資格証明書の発行を再開した。資格証明書については、真に払えるのに払わないものに発行すると国会答弁もあるが対応はどうか。資格証明書発行世帯は何世帯か。
●答弁=10月は630世帯に資格証を発行。悪質な滞納者かどうか納付交渉の機会を確保するためにおこなう。
◎針谷=毎年のようにあがる保険料に悲鳴があがっている。保険証の取り上げ、資格証の発行に切り替えは、憲法25条の生存権を危うくする結果になりかねないものである。保険料を上げないためには、この間削られてきた国庫負担を計画的に増やすこと。都区制度改革の際に負担金から補助金に変えられ大幅に削られた東京の支出金もふやすことを求めて質問を終わる。