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作家ー雨宮処凛さんのインタビュー

2010-10-12 23:31:39 | 貧困と社会

革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす全国の会)ニュースに作家の雨宮処凛(かりん)さんの若者の雇用についてのインタビュー記事が掲載されていたので紹介します。

雨宮さんのプロフィールー1975年北海道生まれ。2000年、自伝「生き地獄天国」で作家デビュー、「反貧困ネットワーク」副代表、厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員、近著「なにもない旅、なにもしない旅」光文社720円



-非正規労働や失業問題での積極的な発言は、多くの若者を励ましていますね。

(昨年の)政権交代は不安定雇用や失業の問題も原動力になりました。真っ先に解決されるんじやないかとみんなが期待したけど、一年たっても状況は全然良くならない。失業期間がどんどん長期化し、当事者は疲弊しています。
 労働者派遣法改定案は抜け穴だらけで、ふさいでほしい穴が全然ふさがれていない。民主党は派遣労働の規制強化に反対する議員もいるし、一貫性が見えません。

-高校生は求人倍率がO・6倍台と、求職者2人に1つの求人しかない事態になっていますね。

 中高生と話すと、学費がない友だちがどんどん学校を辞めていく実態を目の当たりにして、お金のない家の子どもは高度な教育は受けられないし、正社員になれないということを知っている。「仕方ない」と受け入れていることを感じると、切ないです。

 ある大学で「将来自分がホームレスになると思うか」とアンケートを取ると、5人に1人が「思う」と答えました。少し上の世代が就活(就職活動)に失敗したとか、就活する経済的な余裕がないというだけで、ホームレスになるのを見ている。
 だから人をけ落としても勝ち残ろうと必死になる。ますます分断が広がるし、人と信頼関係が結べない。
つまずいた人に生きる価値がないという社会で、「助けて」とも言えない。苦しい社会なのに「適応できなければダメなんだ」と思わされてしまう。それは生きづらさや自殺の問題につながっていく気がします。最近インタビューした大学生は、「フリーターになるのが怖ろしくてしょうがないから、就活は命がけ」と言っていました。一年間、学校も行かずに就活する学生もいます。

就職だけじゃなく、留学したり、ボランティア活動をしたり、人生を豊かにするいろんな経験をしていい時期だと思うんですけど、できない。それはゆくゆくは社会的な損失になると思います。

-若い人に一番伝えたいことは。

 イス取りゲームと同じで正規雇用のイスの数は半分しかない。2人に1人しか座れない社会だから、若い人には「自分のせいではない」と言いたいですね。
 ほどほどに働いて、ほどほどに自分の時間を楽しむ生き方や働き方をしたい人も多いのに、それにはフリーターなどしかなくてホームレスになる可能性もある。

一部のお金持ちが労働者を使い捨てしたり、思うように生きられず一生はい上がれない人たちがいる。
 そういう社会に私は住みたくない。どういう働き方をしても安心して生きられる社会が一番いい。
 「働く」ことだけにとらわれ過ぎずに、人間の営みを中心とした考え方を基準にすれば、もう少しましになるのにと思います。

 去年の年末、キャバクラユニオンができました。就職難や学費のためにキャバクラで働く人はすごく多い。でも遅刻や欠勤すると罰金を取られるし、意味不明な天引きも多くて違法だらけなんです。
 そのなかで、組合員が増えています。「業界改善」や「罰金一掃」のスローガンを掲げてデモもやりました。こういう動きを始めている人たちはたくさんいます。

 政治は言わないと変わらないし、苦しい人はどんどん声をあげていくしかないと思います。
 リーマン・ショック以降、暮らしにカツカツになって「もうデモどころじゃない」、「一日でも多く日雇いで働かなくては」と、デモや集会に参加できない人も増えています。少しでも余力があり、この問題に心を痛めている人がどんどん声をあげて運動することが必要です。
 不安定雇用の人たちの運動が盛り上がった背景には、いまの異常な社会がつくられた原因を知って、それが怒りのパワーになったことがあります。原因を提示すると運動は広がると思います。
 
【聞き手・撮影 阿部悦子】