マイケル・ジャクソンは最高に成功したエンターティナーであるとギネスは認定したそうです。ギネスが言っても言わなくてもマイケルは卓越した歌い手であり、踊り手でした。そして彼自身最高のエンターティナーのひとりでした。そのマイケルが「最高のエンターティナーは語り手だ」と生前語ったそうです。
マイケルは歌だけの紹介だったプロモーションビデオをはじめてストーリー仕立てにしたアーティストで、その後のプロモを文字通り”劇的に変えた”のです。1982年、リリースした"スリラー"は、14分にも及ぶホラー映画風のショートフィルムであり、マイケル本人がスターリングをしました。特殊メイクによるマイケルの狼男やゾンビが話題となり、彼の演技、ダンスがともに高く評価され1億5000万ドルを売り上げるヒットになりました。マイケルもまた”ストーリーテラー”だったのです。
マイケルのいう最高のエンターティナーである”語り手=ストーリーテラー”とは、もちろん、本をそっくり丸のまま暗記して語るという語り手ではないと思います。独創のあたらしい世界をつくる語り手、わざと力で観客を自分の構築した世界に惹きこみ、笑わせ、驚かせ、泣かせ.....感動させる”語り手”です。
大きな場でも、ちいさな場でも 語り手はたったひとりで 身ひとつで ものがたり世界を綾なし織り成す.....その声でいざなう。ときに轟かせ、ときに愛撫するように、風のようにひそやかにふれるように........そのような語り手になりたいとは思いませんか? 語り手としてのまことのステータスは世間的な地位でなく名でなく、巷のひとびとの心を一瞬でも満たし震わせ 生きる力を呼び起こさせることではないでしょうか?
わたしは もうひとつのことばを 思い出します。 ....いい語りってのはね、語ったひとの名前は忘れちゃう.....ただものがたりだけがね、残るんだよ.......だれかのこころに遠い春の日の野の花の香りのようにふとよみがえるような語りを一期一会のそのときにできたら.......窓の外の朝焼けの空、白い月を仰ぎながら祈りをこめて思います。

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