ポストのなかに一枚のはがき
元戦争孤児Tさんの訃報でした。享年90歳
両親をあいついで失い9歳で親戚に預けられ いじめをうけながら
懸命に生きていた少年は 真夜中 隣の部屋から漏れる声に
凍る思いをしました。
「野郎っこを売り飛ばそうと思うんだよ」「そりゃぁいい そりゃあいい」
農家に売られた少年は 朝早く起きて 火をおこし 冷たい水で
洗濯をし 昼間は赤ん坊を背負って 子守りをしました。
学校へ行きたくて行きたくて 窓の下で授業を聴いているのを
見かねた先生が 教室へ入れてくれたのですが 級友のいじめで
長くはつづかなかったそうです。
忘れられないのは 逃げ出して 遠くまで 歩いたあげく
駅員さんにみつかって その若い駅員さんにお弁当をもらったこと
たきつけを拾いにいかされ を知らないおばあさんにおはぎをもらったこと
大事にだいじに持って帰り ふとんの中で食べたその味が忘れられない
と Tさんは言いました。
戦争孤児の方 におはなしをうかがって感じるのは 身体がちいさいこと
それから 疑り深いこと なんどもなんどもいじめられたり
騙されたからでしょうか...... けれども 深く付き合ううちにほんとうの
ふところの深さ あたたかさを見せてくださいます。
Tさんは 親方のところで十数年苦労したあと 独立して
工務店を立ち上げました。Tさんは ご両親のお位牌を肌身離さず持って
いました。立派な家を建て 仏壇をつくり お位牌を納めるまで.....
ご冥福を祈ります。大事なでもつらいお話を聞かせていただき
ありがとうございました。
ガザでも もう6000人ちかい 子どもたちが無辜の死を遂げています。
戦争で いちばん辛い目にあうのは 決まって子どもたちです。
死なないまでも けがをしないまでも
おとなの気持ちが荒んでしまうので そのとばっちりも子どもにくる
太平洋戦争後 いじめをうけたり 狂ったりした子どもが大勢 いたのです。
たったひとりで生きていかなくてはならなかった子どもも......
二度と 子どもたちがつらい目にあわないよう 語りつづけたく思います。
もういちど ありがとう 岩さん さようなら.......