南斗屋のブログ

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委任契約書を作成せず弁護士に懲戒

2008年09月16日 | 未分類
日本弁護士会連合会が発行している「自由と正義」という月刊誌には、弁護士の懲戒処分が公告されます。

 2008年8月号では、交通事故関係の事件で懲戒処分(戒告)を弁護士が受けていたケースがありました。

 処分の理由によると、弁護士は家族4人が交通事故の被害にあった事件を受任し、
1 着手金として200万円を受領しましたが、委任契約書の作成をしなかった
2 また、自賠責保険の被害者請求をし、5300万円余りの支払いを受けたのですが、依頼者の了解なく、530万を自賠責保険請求手続として受領した。
というものです。

 1については、委任契約書を弁護士が作成しなかったということが、問題となっています。
弁護士会の規定には、委任契約書を作成しなければならないことになっています(弁護士の報酬に関する規程)。
弁護士の1の行為は、この規程に違反するとされています。

 委任契約もしていないのですから、弁護士報酬も決まっていないのに、530万円の報酬をとったことも問題で、処分理由では「自賠責保険請求手続の報酬としてはきわめて高額であること。」とも指摘されています。

 自賠責保険請求手続の弁護士報酬は、自賠責の支払金額の2%程度が目安とされていますから、自賠責の支払金額が5300万円であれば、106万円程度が目安になるはずです。それを400万円以上も上回る弁護士報酬を受領したことが問題となっているわけです。

 委任契約書は、弁護士が作成しなければならないにもかかわらず、契約書が作成されていない例は、ときどき見受けられます。弁護士に依頼している方で委任契約書が作成されていないという方は、是非きちっとした委任契約書を作成するよう要請して下さい。

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