南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

2016年赤い本

2016年02月09日 | 未分類
2016年の「赤い本」が2月5日に発売になりました。
2015年版は2800円でしたが、200円値上がりして3000円。
上下巻のセットというスタイルには変更ありません。

下巻は交通部の部総括裁判官による東京地裁民事交通訴訟の実情という好例の講演のほか、損害賠償額の算定に関する裁判官の講演が掲載されています。
3講演が行われており、演題は次のとおりです。

①時間的、場所的に近接しない複数の事故により同一部位を受傷した場合における民法719条1項後段の適用可否等
②後部座席シートベルト、チャイルドシート不装着の場合における過失相殺等
③入院付添費について

東京地裁交通部の交通事故訴訟数ですが、平成26年に新しく受け付けた数は1891件で前年(平成25年)の1844件から微増。平成20年度(1370件)と比較すると38%の増加となっています。
交通事故の発生件数自体は減っていますが、それにも関わらず東京地裁の新受件数は増えています。
森冨裁判官はこの原因について、
「経済情勢、権利意識の変化、弁護士費用特約の存在、高次脳機能障害の有無等の複雑困難な問題点を含む事件の増加」をあげていますが、「経済情勢」というのがどのような意味あいでいっているのかよくわかりません。

気前よく払っていた任意保険会社が払い渋りで支払わなくなった、対応もよくないということで訴訟になるケースは確かにあるので、そうであれば納得ですが、経済情勢という抽象的な言葉でまとめられてもどうかなと思います。
「権利意識の変化」というのも弁護士サイドからすると疑問で、日本人は裁判をするというのは基本的に嫌がる傾向にあり、どうしてもやらざるを得ないとき以外は裁判にはなりません。

弁護士費用特約があってもそれは同じで、できるだけ裁判は避けたいと思うのが日本人です。
そんなことを考えておりますと、「交通事故訴訟件数の増加傾向は今後も続く」との森冨裁判官の話しをそのまま受け止めてよいかどうか。事故の発生件数自体が減っている以上、早晩裁判の件数も減ってくるのではないかと考えております。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 依頼した弁護士と連絡がとれ... | トップ | 成年後見の使い勝手の悪さ »
最新の画像もっと見る