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自治体が任期付弁護士職員を採用するメリット

2020年05月16日 | 地方自治体と法律
 自治体が任期付弁護士職員を採用するメリットについて、森博幸鹿児島市長小論がまとまっていましたので、紹介します(森博幸「職員の政策法務能力向上と任期付弁護士職員の活用」自治体法務 研究・2019年夏号)。

・鹿児島市の基本目標の一つは、「市民と行政が拓く協働と連携のまちづくり」であるが、そのために必要不可欠なものが職員の政策法務能力の向上である。
・地方自治体には、職員全体の立法、解釈運用、争訟の法務の能力を向上させ、それぞれの業務が適正に行われるだけの素地を固める必要がある。前例と同じというのは理由としては適切ではない。
・例えば、災害対策では、まちの再建過程で用地買収などの法的処理が課題となる。児童虐待への対応についても、様々な場面で専門的な知識や対応が必要になる。
・職員の政策法務能力の向上のための一つの方策として、鹿児島市では、平成26年度より弁護士資格を有する任期付職員を採用している。担当する業務は、法的課題への相談対応、行政不服審査制度の審理員審査、職員向け政策法務能力向上にかかる研修である。
・メリットは、①組織内に実務に通じた弁護士がいることにより、問題が生じた場合に、すぐに専門家としての意見を聴くことができること、②担当職員が、結論に至る検討過程も聴くことで当該業務を行うために必要な法的根拠や思考方法を習得することができ、職員の意識改革にもつながること、③組織の内部事情を把握した任期付職員が行うことで、現場のニーズに適合した研修が可能となったことである。

 キーワードは、「職員の政策法務能力の向上」です。地方分権により権限と責任をもった自治体はこの課題に取り組む必要があるでしょう。
 この目標を達成するためには、弁護士資格を有する任期付職員の採用は必須とはいえないかもしれませんが、上記小論で掲載されているメリットからすれば、当該職員の採用は職員の政策法務能力の向上の早道ではあるでしょう。
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