南斗屋のブログ

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最近の成年後見人制度の動向

2013年10月03日 | 成年後見
成年後見人とはよく聞く言葉だが、どんなものだろうか。
金子宰慶弁護士に聞いた。

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― そもそも成年後見とはどういうものですか?
「交通事故の被害者の関係でいいますと,高次脳機能障害や遷延性意識障害で自分自身では判断能力がないという状態になると,損害賠償の請求を自分の意思でやっているとはいえないのではないかということで,成年後見人がつくことが必要になるんです。」

― 成年後見人には誰がなるのですか?
「家族がなることがほとんどですが,家族ではない第三者,例えば,弁護士とか司法書士等がつくこともあります。」

― 成年後見人が横領したという記事を時々見ますが・・・
「そうなのです。成年後見人が被成年後見人の財産を横領したという記事が散見されます。業務上横領罪という犯罪になり,実刑になる場合もあるのですが,後を断ちません。」

― 何か防ぐ手段がないのでしょうか?
「成年後見人を監督するのは家庭裁判所なので,裁判所は対策を講じています。
 預貯金等の流動資産が3000万円以上ある場合は,弁護士等の専門職を成年後見人にしたり,家族が成年後見人となる場合でも,成年後見監督人として弁護士を付けたりという対策をとっています。」

― 被害者やその家族がそれまで関わったことのない弁護士が成年後見人になったりするのですか?
「そのような場合もありえます。ご家族にとっては,被害者の介護などでも大変なのに,これまでの事情がわからない弁護士とも連絡をとったり,報告をしたりしなければならず,心理的に負担に感じられる方もいます。」

― 何とかなりませんか?
「当事務所の弁護士が後見の申立段階から関与している場合には,できるだけご家族を成年後見人とするように裁判所に要請をします。ご家族が成年後見人となっても,監督人が付けられる場合がありますが,そのときは監督人との間の連絡役を当事務所の弁護士が行い,スムースに事が運ぶようにしています。
 裁判所が横領を防止しようと対策を取るのも理解できますが,大半の家族は純粋に被害者の為を思っています。行き過ぎた裁判所の対策はこのような被害者家族を傷つけるものですが,それには被害者家族の味方となる弁護士が必要です。」



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