交通事故からうつ病となったという被害者の主張を認めた裁判例がありました。
(大阪地裁 H17,6,6 自保ジャーナル1623号16頁)
この被害者は頭部を打ちましたが、CT検査では脳内出血はなく、意識は明瞭でした。
しかし、事故の1週間後ころから、頭痛が続く、胸が痛く、首が重たい感じになる、夜寝つけないなどの症状がではじめ、うつ病であると診断されました。
加害者側は、被害者のうつ病と交通事故との因果関係を争いましたが、裁判所は因果関係を認めました。
その理由としては
① うつ病の発症に、交通事故等の外因が原因として発生することがあるのは、精神科領域でコンセンスとなっている。
② 被害者には、既往症や娘が突然死した等の事情があるが、これらが被害者の心理的負担になっていたとは認められない、ことがあげられています。
もっとも、裁判所は本件事故が重大な事故ではなく、通常であれば比較的早く治ることができたはずであることを重視し、
被害者が本件事故を原因として、うつ病になったことはかなり特殊な事例である
→被害者の心因的要素が相当影響している
と考え、被害者は加害者に損害の60%しか請求できないとしました。
このように、被害者の後遺症に被害者側の影響が相当あるという場合、請求を減額することがあり、これを専門用語では 寄与度減額(きよどげんがく) といいます。
ところで、このケースでは労働能力喪失率表は9級相当の35%を認めました。
従前は、うつ病でも14級程度の労働能力喪失率表しか認めなかったことからすれば、後遺障害の状態から14級よりも上の等級を認めるようになったことは注目できます。
もっとも、この裁判例が労働能力喪失を認めた期間は、うつ病が時間の経過と共に回復する症状であることから「5年」にすぎません。これがよいのかどうかは議論のあるところでしょうが、14級よりも上の等級を認め、期間をくぎる、寄与度減額をするという手法が裁判例では取られます。
(大阪地裁 H17,6,6 自保ジャーナル1623号16頁)
この被害者は頭部を打ちましたが、CT検査では脳内出血はなく、意識は明瞭でした。
しかし、事故の1週間後ころから、頭痛が続く、胸が痛く、首が重たい感じになる、夜寝つけないなどの症状がではじめ、うつ病であると診断されました。
加害者側は、被害者のうつ病と交通事故との因果関係を争いましたが、裁判所は因果関係を認めました。
その理由としては
① うつ病の発症に、交通事故等の外因が原因として発生することがあるのは、精神科領域でコンセンスとなっている。
② 被害者には、既往症や娘が突然死した等の事情があるが、これらが被害者の心理的負担になっていたとは認められない、ことがあげられています。
もっとも、裁判所は本件事故が重大な事故ではなく、通常であれば比較的早く治ることができたはずであることを重視し、
被害者が本件事故を原因として、うつ病になったことはかなり特殊な事例である
→被害者の心因的要素が相当影響している
と考え、被害者は加害者に損害の60%しか請求できないとしました。
このように、被害者の後遺症に被害者側の影響が相当あるという場合、請求を減額することがあり、これを専門用語では 寄与度減額(きよどげんがく) といいます。
ところで、このケースでは労働能力喪失率表は9級相当の35%を認めました。
従前は、うつ病でも14級程度の労働能力喪失率表しか認めなかったことからすれば、後遺障害の状態から14級よりも上の等級を認めるようになったことは注目できます。
もっとも、この裁判例が労働能力喪失を認めた期間は、うつ病が時間の経過と共に回復する症状であることから「5年」にすぎません。これがよいのかどうかは議論のあるところでしょうが、14級よりも上の等級を認め、期間をくぎる、寄与度減額をするという手法が裁判例では取られます。