リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

演劇ファンの芝居批評会

2023年08月06日 | 日々の風の吹くまま
8月4日(金曜日)。☀。三連休の前日。子供たちの夏休みの間に家族でどこかへ行ける三連休を作るための、「BCデイ」という目的不明の三連休。どっと人が動き始める日で、国境では三連休じゃないアメリカに遊びに行く車の列が、今日の午後にはもう待ち時間1時間半。暑い中を、いくつもあるゲートのレーンに車ごと並んで、1台が通過するごとに少し前進。そんなのを1時間半もやってたら、どれだけのガソリンを燃やすことやら。でも、窓から見えるガソリンスタンドでは、きのうはリットル200円以上していたのが、今日は193円。ま、ガソリン代の上がり下がりは、いくつものゲームを同時にやっているようなもので、結局は運しだいというところだけど。

きのうのPlay Clubは楽しかったな。今回はシーズン最後の4作(『Rubaboo』、『The Legend of Georgia McBride』、『Beautiful』、『Million Dollar Quartet』 )で、2作はまだ上演中。そのうち、カナダの先住民とヨーロッパ人の混血民族であるメティスの文化を歌でつづった『Rubaboo』は、メディアの評は良かったけど、クラブのメンバーからは厳しい評が続出。どうやら元々学校などでメティスの伝統と文化を教える目的で制作されたものをベースとしてるらしくて、「プロバガンダ臭が強くて、演劇としてのおもしろ味がないために、記憶に残らなかった」と言うのがにわか評論家たちの結論。ワタシもタイトルの「Rubaboo」(メティスのごった煮料理)の意味合いを今いち理解しきれなくて、思い出せるのは何度か繰り返された「世界はあまりにも大きくて初めも終わりもわからない輪である」というメティスの世界観のようなせりふだけ。これはワタシの宇宙観に通じるところがあったから理屈抜きで記憶に残ったんだと思う。

後の3作のうち、最後2作の『Beautiful』はソングライターのキャロル・キングの若き頃を描いた伝記的なミュージカルで、『Million Dollar Quarter』も、「1956年12月4日、サン・レコードのスタジオで偶然顔を合わせたエルヴィス・プレスリー、カール・パーキンス、ジェリー・リー・ルイス、ジョニー・キャッシュの4人のスターがジャム・セッションをやった」という実話をベースにした、いわゆる「ジュークボックス・ミュージカル」なので、あっさり全員一致で星5つ。特に後者はArts Clubで数年前に上演したのを新しいキャストで再演したもので、前回はストーリー性を重視していたのが、今回は音楽に軸を移して、ロックンロールのコンサートのように仕立てていたので、まだ生まれてもいなかった若い世代の観客も熱狂するほどのエネルギーが溢れていて、今シーズン最大のヒット作だった」という点でみんなの意見が一致。

ワタシが4作中で一番好きだった『The Legend of Georgia McBride』は、フロリダの観光地のしがないキャバレーでエルヴィスのものまねをやっていたケイシーがオーナーがドラァグショーに替えることにしたために失業し、家に帰ると妻に妊娠を告げられ、大家からは追い立てられて万事休すという始まりで、オーナーに頼み込んでバーで働かせてもらっていたら、ドラァグクィーンのひとりが酔いつぶれて出演不能になり、代役として無理やり衣装を着せられてステージに押し出され、思いがけず人気者になってしまうと言う話。普通の男だったケイシーが二流ながらプライドのあるドラァグクィーンたちとの交流を通じて、自分のことや、夫婦愛、人間愛を学びながら、パフォーマンスアーティストとしての才能を開花させ、最初は嫌悪感を隠せなかった妻の尊敬を取り戻す過程を描いていて、ジーパンにTシャツ姿で楽屋に入って来たあまり冴えない若者ケイシーが、メイク係がメイクアップをしている間にハイヒールを履き、かつらをかぶり、パッド入りのブラジャーをつけ、キラキラのドレスを着て、妖艶な「ジョージア」に早変わりするシーンは強烈に印象的。(ケイシーを演じた役者は初めてのドラァグクィーン役だったそう。)観る人を笑わせ、ほろりとさせながら、「人間」の奥の深さを垣間見せてくれる心やさしい作品で、全員一致で☆☆☆☆☆。うん、演劇はほんとに奥が深い・・・。




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