リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2010年12月~その3

2010年12月31日 | 昔語り(2006~2013)
ターダッキンのバロティーヌ

12月21日。火曜日。公式の冬初日。じわ~っと湿っぽい典型的なバンクーバーの冬の日。正午を過ぎて、のんびりと起きて、しばらくだらだら。今日は久しぶりにイアンとバーバラが来るので、3時くらいからおもむろに今夜のディナーの準備にかかる。

今日のメニューはカレシが雑誌でレシピを見つけてご要望のカリフラワーのクリームスープの白トリュフオイル添えと「実験料理」。もっとも「実験」といっても、まったく新しい創作というわけではなくて、アメリカ南部の「ターダッキン」のバリエーション。この名前はターキー、ダック、チキンをつないだもので、数年前にナショナルジオグラフィックの記事で読んで以来、いちどは試してみたいと思っていたもの。アメリカで感謝祭の頃に作られるターダッキンは、詰め物をした骨抜きの鶏を丸ごと骨抜きした鴨の中に詰め、その鴨を骨抜きした七面鳥の中に詰めてローストするという豪快な料理。大きなものだと15キロぐらいになるそうで、ひと切れだけで6、7百カロリーはあるというからすごい。

一度は食べてみたいと思っても、何よりも丸ごと骨抜きの七面鳥も鴨も鶏もないからまず無理。ルイジアナ州の小さな町の「専門店」から取り寄せる手がないではないけど、2人しかいない我が家では小さい七面鳥1羽だけでも持て余すし、ひと皿食べただけでカロリー過剰になって年を越せずに人生が終わってしまいかねない。それでも一度は試してみたいと思いつつ、ある日思いついたのがバロティーヌにすること。三種類のとりを重ねて、中心にスタッフィングを入れて、くるくる巻いて焼けばいい!

そこで、七面鳥の胸肉を買ってきて、左右を3枚ずつに開いて縦に並べ、鴨の胸肉も同じように開いて七面鳥の上に重ね、鶏の胸肉も同様にして鴨の上に重ね、ラップをかぶせて叩いて平らにした。最後に作って冷ましておいたスタッフィング(玉ねぎ、セロリ、りんご、クルミ、パン粉、赤ワイン)を置いて、巻き寿司の要領で丸太のようにロールアップ。ひもで何ヵ所かざっと縛って、直径10センチ近い「ターダッキンのバロティーヌ」のできあがり。アルミホイルに包んで冷蔵庫でしばらく落ち着かせる・・・。

4時頃にイアンとバーバラが来て、カレシがイアンと政治談議をやっている間に、ワタシはバーバラと女同士のおしゃべりをしながらカリフラワーのスープ作り。メインがかなりの量になりそうなので、今日はスープとサラダだけのコース。カレシは野菜を大皿2枚に適当に並べて、最近「創作」したポン酢ドレッシングを添えて、サラダ担当を完了。タイミングを計ってターダッキンをオーブンに入れ、クレムフレッシュを落として、イクラをちょこんと乗せたファイロパイのミニカップを即席の前菜にして、バーバラの注文でカレシが作ったマティニでキッチンで立ったまま乾杯。この頃はキッチンでのもてなしがけっこう受けているという話で、グルメ料理を趣味にする人が増えて、ホームパーティでは料理をしながらグラスを片手にゲストとおしゃべり、という構図が発展してきたのかもしれない。(だから、宝くじが大当たりしたら、最新鋭の設備の広いキッチンと本格的なバーを作るつもりでいるんだけど・・・。)

それでもディナーはやっぱりきちんとセッティングしたダイニングテーブルの方がいい。おしゃべりに夢中のみんなを何とかテーブルに着かせて、ポタージュに仕上げたスープを小鉢に盛って、上にほんの少しの白トリュフオイルをたらりとかけ回して、食事の始まり。とろみにパン粉を使ったせいかほんのりとした甘みがあって、トリュフの香りがいい。カレシ特製のサラダの後は、いよいよメインのターダッキン。輪切りにして、カルヴァドスで味をつけたグレヴィーと蒸した野菜を添えてテーブルへ。

一番外側の七面鳥が少々ぱさついたけど、味はなかなか乙なもの。ぱさつかせずに仕上げる方法をバーバラとあれこれと論議。ホイルに包んだままで焼いた方がいいんじゃないかとか、最初にうんと高温で七面鳥の外側を焼いて密封してから低温でゆっくり焼いた方がいいかもしれないとか、ああでもない、こうでもない。カレシとイアンは男同士でああでもない、こうでもない。ときには2組の会話が交差してのおしゃべりは(いつものように)11時過ぎまで続いたのだった。

本年の営業は終了しました

水12月22日。曜日。今日も雨っぽい。今日は今年最後の掃除の日で、いつもだいたい正午過ぎにシーラとヴァルが来るので、目覚ましを午前11時50分にセットしておいた。もっとも近所で2軒の家が新築中なもので、9時とか10時ごろにハンマーやトラックの音で何となく目が覚めることが多い。平日でみんな仕事をしているんだし、いつもすぐにまた眠りに戻って、正午くらいに普通に目が覚めるから別に問題はないか。

トーストを食べ終わる頃に、シーラとヴァルがレクシーをお供にやって来た。レクシーはランチに好物のハンバーガーをもらってご満足らしく、ワタシの安楽椅子に飛び乗って、丸くなって昼寝。毎日がこんなんだったら、犬の暮らしも悪くないよなあ(ま、少なくとも犬にとっては)。オフィスの掃除が済むのを待って、今年最後の仕事にかかる。絶対に、ぜ~ったいにこれが最後と決めた仕事。格別に高級な文章という注文なんだけど、原稿にぜんぜん厳かな感じがないから、どうしたもんだろうなあ・・・。

家中の掃除が終わったところで、シーラがパーティをしようと持って来た赤と白のワインを開けて、冷蔵庫から用意してあったおつまみ類を出して来てダイニングテーブルに広げて、「今年も1年ありがとう」と乾杯。毎年の習慣でボーナスの入ったカードを渡す。掃除料は2人で2週間おきに1回80ドルだけど、1年分のチップだから1人100ドルずつ。ほんとに今年も散らかしっぱなしの家をきれいにしてくれてありがとう。2人がいなければ自営業現役のワタシはお手上げ。あと3年くらいは手伝って欲しいけど、シーラはカレシと同い年の67歳だし、ヴァルも来年の春には59歳。う~ん、2人のようにかっちりと掃除をしてくれる良心的なハウスクリーナーはなかなか見つからないからねえ。

外が暗くなったところでにぎやかにおしゃべりの「パーティ」はお開き。おつまみとワインのおかげであまり腹ペコ感はないけど、とりあえず冷凍のおでんセットを出して来て、大根をぶつ切りにして煮込んで、冷凍してあった寿司飯の残りをいったん電子レンジで温めてから冷まし、小分けしてあったゆでエビと冷蔵庫に残っていたイクラで速攻の握り寿司を5個。しゃべりながらだいぶワインを飲んだので、夕食はお酒抜き。ホリデイシーズンはまだまだ先が長いから・・・。

さて、今年最後の仕事を仕上げてしまうことにしたけど、「最後」でもあるし、わりと小さいものでもあるし、何よりも難しくはないけどダラダラした原稿でもあるし、さっさと仕事納めをしてしまうはずだったのになぜかちんたらちんたら。1ページくらいやっては、小町をのぞいたり、ブログを書いたり、ニュースを漁ったり。夜中を過ぎて、寝る前までに済ませて送信しないと期限に間に合わないんだけど、まだ半分しかやってないよ。どうするのかな。大丈夫なのかな。2010年度最後の仕事なんだから、まじめに終わらせてしまえば、あしたからお正月の三が日が明けるまで、心おきなく羽を伸ばせていいんじゃないかと思う・・・けど。

クリスマスイブのイブ

12月23日。木曜日。寝入りばなにすごい大風が吹き始めて、雨も降り出してのかなりの嵐。天気予報は大みそかまでほぼぶっ通しで雨。でも、強風でバンクーバー島と本土を結ぶフェリーが軒並み欠航して、クリスマスの帰省客は大迷惑らしい。それにしても、よく降るなあ。これがバンクーバーの冬なんだけど、よく降るもんだと感心する。

今年はクリスマスが土曜日、ボクシングデイが日曜日で、どちらも振替になるから、土曜日から火曜日までの四連休。あしたのイブはいつも遅くまで開いている店でも午後5時か6時くらいには閉まってしまうから、クリスマスショッピングは今日が事実上の最終日。どこのモールもラストスパートをかける買い物客ですごい人出らしい。今日はまだクリスマスイブの前のイブイブなんだけど、仕事はどうしたんだろうな。クリスマスイブと大みそかにはだいたいの店が早く閉まる。もっと早くに閉まるオフィスもけっこうあって、午後にはもぬけの殻になるところも多い。公務員時代も、その後の秘書時代も、祝日の前の日にはみんな出勤したらまっさきに人事課に電話して「今日は何時に帰っていいですか」と聞いていた。まあ、「5時!」と言われることが多いけど、クリスマスイブと大みそかは別。公務員時代には朝一番に「午後1時以降は退勤自由」というお達しが回って来ていた。もちろん1時までは昼休みだから、実質的に正午までの半ドンだったわけで、午後になってもまだオフィスに残っているのは恋人も家族もいない人たちということになっていた。当然、帰りのラッシュアワーも正午に始まって、日が暮れる頃には終わっていた。

日本ではクリスマスは恋人たちのイベントということになっているらしい。恋人のいない人はさびしいだろうと思うけど、草食系男子と呼ばれる新種の日本人にとっては、プレゼントだの食事だのホテルだのとお金のかかる相手がいなくて、あんがい楽でいいのかもしれないな。小町だったかな、数ヵ月付き合っているフランス人の彼氏がクリスマスに一時帰国するのに誘ってくれなかったというトピックがあった。要するに、ワタシってその程度の存在なのかと言う相談だったと思うけど、「1年で一番ロマンチックなイベントなのにひとりで帰ってしまうとは、そのフランス野郎はけしからん」といった投稿があって、「?」と思った。ワタシが日本で「若い女性」だった頃には、クリスマスなんてのはその頃はやり始めていた「家族サービス」の日で、満員バスの中でクリスマスケーキの箱を潰さないように四苦八苦しているサラリーマンおじさんたちを微笑ましく見ていたもんだけどな。いったいいつから恋人たちのお祭りになったんだろう。

フライドチキンがクリスマスディナーの定番になり出したのもあの頃だったかな。札幌の中心部にKFCの第一号店ができて、クリスマスに買いに行ったような記憶がある。母が天火を使ってはねる油に苦労しながら鶏の丸焼きを作ってくれたことがあって、KFCの鶏の足が登場して便利になったと思った。最近はすっかり定着したらしくて、毎年ジグソーパズル用に広告の写真をコピーしているけど、日本のクリスマスディナーはケンタッキーフライドチキンだと言ったら、こっちの人は「へ?」という顔をする。だって、あれはテイクアウトのファストフードだから、クリスマスディナーとはミスマッチもいいところで、たぶんすぎにはイメージがわかないんだろう。恋人とのクリスマスディナーがフライドチキンというのは、たぶん想像を絶しているだろうな。もちろん、ロマンチックな恋人たちはフライドチキンのバケツにコールスローなんてものじゃなくて、ちょっとお高いレストランでローストチキンを優雅に食べるんだろうとは思うけど。何でも、今年はマクドナルドもクリスマスパックを売り出したと言う話で、どんなものが入っているのか興味深々。日本のマクドナルドには不思議なハンバーガーがあるらしいから、きっと独創的なクリスマスバーガーだろうな。それとも、クリスマスはチキンだから、独創的なマクナゲットか・・・?

さて、ごぶさたしている友だちに長い、長いメールを送り終わったし、カレシに約束したバゲットもそろそろ焼き上がる頃だから、ガーリックをローストして、あしたからの晩餐に備えなくちゃ・・・。

クリスマスは12日間も続く

12月24日。金曜日。起きてテレビをつけたら、世界はもうクリスマス一色。こっちはイブの朝だというのに、いつもながらほんのちょっぴり白けるけど、何しろ丸い地球の時間帯のしんがりに近いんだからしょうがない。それに、雨がじゃぶじゃぶ。大雨注意報が出ているけど、サンタクロースもボートに切り替えた方がよさそう。それだと、トナカイは先に北極に帰して、イルカにボートを引っ張ってもらうのかな。何となくエキゾチック。それとも、白いヨットでかっこよく来るとか。まあ、最悪の場合は泳ぐという手もあるな。オーストラリアでは波に乗って来るみたいだけど、サンタクロースは泳げるのかなあ。泳ぐくらいの大雨が降らないといいけど・・・。

今日は今年最後のごみ収集の日で、いつもより少し遅めだったけど、イブだからとはしょらずにトラックが回って来た。なにしろ、バンクーバーのごみ収集は祝日ごとに1日ずつ曜日がずれるしくみで、祝日が3日もある今の時期はへたをすると収集日が10日以上も先になってしまう。我が家のあるゾーンは運悪くイブが収集日に当たってしまったので、次の収集は来年の1月5日で、なんと12日目。まあ、我が家はノンリサイクルのゴミが少なくて、普通でも毎週出していないから不便なわけではないんだけど、(担当のカレシが)ぐうたらをして2回も出さずにいたらゴミ容器が満杯になっていたので、今日はちょっと心配だった。やれやれ・・・。

郵便局の方は早々に配達を切り上げたのか、今日は何にもない。なぜか金曜日に郵便が来ることの方がめずらしいくらいなので、今日も「休み」なのかもしれないな。西ヨーロッパや北米の東部でかなりの荒れ模様だから、郵便物の流れも乱されているんだろう。まあ、「Christmastide(クリスマスの季節)」というのはクリスマスから数えて12日間のことだから焦ることもない。日本的な感覚だと、大みそかと元旦を通り越して「クリスマス」をやっているというのは「だらしない」ということになるんだろうけど、別にいつまでもだらだらとクリスマスを引きずっているわけじゃなくて、キリスト教ではそういうことになっているというだけの話。ツリーを飾って、イブをやって、クリスマスをやって、さっとツリーを片付けて、さあ次は正月のしたく・・・は、ちとせわしなくない?

マザーグースには『Twelve Days of Christmas』という古いクリスマスキャロルがあって、これが覚えるのが大変だけどめちゃくちゃおもしろい。愛しい人からのクリスマスの贈り物、1日目は「梨の木のウズラ」、2日目は「2羽のキジバト、そして梨の木のウズラ」、3日目は「3羽のめんどりに2羽のキジバト、そして梨の木のウズラ」、4日目は・・・とだんだん増えて行って、12日目には「12人の飛び跳ねる殿様に11人の踊るお姫様に10人のドラマーに9人の笛吹きに8人の乳絞り娘に7羽の泳ぐ白鳥に6羽の卵を産んでいるガチョウに5つの金の指輪に4羽のクロドリに3羽のめんどりに2羽のキジバト、そして梨の木のウ~ズ~ラ~」みたいに終わる。もっとも、盛り上がっているときは5日あたりから贈り物を思い出せなくなって来て、息が合っていた輪唱が不協和音になって、最後にはみんな笑いこけてしまう。そ、クリスマスは12日も続くの・・・。

アメリカのある金融機関が毎年この12日間のクリスマスの贈り物の値段を集計して、軽いノリで発表する。「クリスマス価格指数」は12種類の贈り物の価格の合計で、2010年は23,439ドル38セント(約200万円)で、前年より9%以上も値上がりしたそうな。もうひとつの「クリスマスの真の費用」は12種類の贈り物を歌の通りに順次増やして行ったときの12日分の総計で、今年はなんと96,824ドル29セント(約800万円)もかかるとか。(オンラインで最も安いものを探して買うといくらになるかというバージョンもあるらしい。)まあ、バブル景気はもう遠い昔の話しだし、ロマンチックなクリスマスでも、800万円もかけて12日間もプレゼントを続けるとなったら最後には破産して、相手からも「条件がちょっと・・・」とお別れされてしまうかもしれないな。

クリスマスのプレゼントはサンタクロースが持って来てくれるのが一番だよね。さて、そのサンタクロース、もうどこまで来ているかな。

2人家族は巣ごもりのクリスマス

12月25日。クリスマス。一応雨は止んで、何だかじわ~っと湿っぽいけどまずまずの穏やかな日。のんびりと朝食をして、コーヒーを飲みながらゆっくりとプレゼントの交換。

今年のカレシからのプレゼントはワタシのリクエストで細身でいかにも怖い魚おろし用のナイフと魚をゆでる鍋。細長い鍋の中底を入れたり出したりしながら、ひょっとしたら大きなラヴィオリをゆでるのにも使えるかなあ、なんて想像をたくましくしてしまうのがワタシ。カレシへのプレゼントはワタシと「おそろい」のポータブルDVDプレーヤー。画面が8インチのおひとり様用で、ワタシも隠してあった自分の分を持ち出してきて、これでやっと好きなときに講義のDVDを見られるぞ~という気分。カレシはさっそく「お、あれもできる、これも使える」とご機嫌の様子で、DivXとかMP3のW何とかがどうのと言われると、へえ、おもちゃのつもりだったけど、けっこういいものをあげたんだと、うれしい気分になる。ま、プレゼントに関してはいいクリスマスだね。

さっそくプレーヤーの充電を始めて、午後は完全なる「休みモード」。家族がみんな集まっているマリルーのところに電話でクリスマスの挨拶。思い出せば10年くらい前まで、クリスマスは最初はママのところ、人数が増えて手狭になってからはマリルーの家で過ごすのが習慣だったから、ツリーは飾っても自分たちの家でクリスマスをしたことがなかった。カレシは「めんどうくさい」と言いつつ出かけていたし、今は亡きパパも、「めんどうくさい」と言いながら私たちの車に便乗して出かけていた。飲んで食べて、ひと騒ぎして、帰り道の車の中では「酒が多すぎる。食べ物が多すぎる。胸が焼ける。腹が痛い」と文句たらたら。ママに「節制しないからでしょ」と一蹴されていたけど、な~んか似たもの同士の父と子のような・・・。

マリルーがパートナーのロバートと車で1時間半はかかる郊外に家を買って引っ越してからは、クリスマスはお互いにもっと向き合う機会だと思って、遠いことを口実に家族のクリスマスから外れることにした。2人だけではさびしかろうと呼んでくれるのはわかっていても、やっぱり私たちは外野。小さいときに父親を亡くし、その後母親の再婚先で継父や異父姉妹たちと折り合えずに辛い少女時代を過ごしたマリルーにとっては、「仲良しの大家族」が夢だったようだから、それはそれで良かったと思う。クリスマスは家族の季節なんだから。ちなみに、今年は息子夫婦と2人の子供、娘夫婦と2人の子供、ロバートの娘夫婦と2人の子供、息子と現行のガールフレンド、元夫でカレシの弟のジムとガールフレンドのドナ、それにママが加わって、総勢19人ということで、電話の後から今にも家が爆発しそうなくらいのにぎやかさが伝わってくる。クリスマスは彼女にとって1年で一番幸せな日なのだ。

私たちの「おふたり様クリスマス」は、2人だけのプランを立てて、我が家でごろごろして過ごして、のんびりと食べて、飲んでの1日。カレシは今頃になって「昔は退屈だったなあ」と言うけど、うん、自分たちの好きな食べ物をどっさり備蓄して、誰にも気兼ねせずに巣ごもりできるのは気楽でいい。もっとも、カレシがクリスマスミュージックのCDを焼くのを忘れたので、ロマンチックな雰囲気はイマイチ。カレシ曰く、「来年は絶対に作るからね」と。は、去年も同じことを言っていたんじゃないのかなあ。だけど、この年になったらロマンチックなムードよりは何よりも食い気が先だから、ま、いいか・・・。

何となくフレンチなクリスマス

12月25日。近所の一帯はし~んと静まり返ったようなクリスマスの1日。夕方には南の方にかすかな雲の切れ間が見えた穏やかな日。今日はトレッドミルも休み・・・。

今日のメニュー:
 アミューズブーシュ(フォアグラとブランディのリダクション)
 りんごとパースニップのスープ
 鴨の足のコンフィ、スイートポテト、アスパラガス添え
 クリスマスカラーのサラダ
 デザート(バナナ、リキュール2種、チョコレート)

[写真] 生(冷凍)のフォアグラを扱うのは初めてなので、2個入っていたうちの小さな方を使って、アミューズブーシュを作ることにした。赤と黄色のビーツをスライスして軽くロースト。ブランディを煮詰めてソースにして、フォアグラを少し高めの温度でさっと焼いて、今年のクリスマスディナーはちょっとばかりフランス気分。(もっとも、ワインはアルゼンチン産のマルベックのロゼ・・・。)

[写真] パースニップは見た目がごつい感じの白っぽいせり科の根菜。アメリカボウフウというらしい。これもワタシは初めて扱うので、りんごと合わせたスープのレシピを見つけて試してみることにした。(カレシは子供の頃に嫌いだったそうで、半信半疑・・・。)皮をむくと何となくかんきつ類のようないい匂いがする。リークの白いところとにんにくを入れて軽く炒めて、りんご(ジャズという新種)を入れる。ベースはチキンストックとタイムの小枝。レシピに書いてあったスパイスのうちのターメリックがなかったので、3種類が全部入っているカレー粉で代用。ハンドブレンダーでポタージュして、セロリの薄いスライスを飾りにしてみた。ちょっと甘酸っぱくて、なかなかいい味。

[写真] おなじみのフランスの田舎料理。脂に沈めたままで冷ますと何ヵ月も持つというから、農家の保存食として発達したんだろうな。今日の付け合わせはスイートポテト。クリスマス料理によく使われる食材で、日本のサツマイモと同じ種類だと思う。(よく似たイモにヤムというのがあってよく混同されるけど、こっちはまったく別の種類だそうな。)見た目はサツマイモにそっくりで、2つに切って見たら中は鮮やかなオレンジ色。ん、サツマイモは黄色かったような気がするけど。いずれにしても、料理するのは初めてなので、半分ほどを小さいさいころに切って簡単にゆでてみたら、うん、サツマイモ的な味。たまたま赤と緑が混じったピーマンがあったのでかいわれと一緒に飾ってみた。

[写真] クリスマスの色は赤と緑なので、カレシにクリスマスカラーのサラダを作ってもらった。赤はトマトと赤ピーマン、緑はほうれん草とルッコラ。テレビで『くるみ割り人形』を見て回った舞踊評論家の話をしていたので、思いついてクルミをぱらぱら・・・。

[写真] 時間をかけて食べたおかげで少し余裕があったから、デザートは熟れ過ぎかけているスライスしたバナナにクレムドカカオとバナナリキュールをかけて、溶かしたダークチョコレートをたらたら。思いつきの即席デザートだけど、おいしかった・・・。

フランスの田舎のクリスマスってどんな感じなんだろうなあ。ま、ロマンスより食い気のクリスマスの夜は更けて、ああ、おなかいっぱい・・・。

国際結婚と普通の結婚は違うの?

12月26日。日曜日。ボクシングデイ。雨はまあまあだけど、今度は風がすごい。クリスマス翌日のこの日は恒例の大バーゲンの日で、この天気でもダウンタウンやモールは「激安」を求める人でかなり賑わっているらしい。売れ残ったクリスマス用品も激安になるから、カードや包み紙を大量に買い込んで来年に備える人もいる。いつも目玉のエレクトロニクス製品はだいたいがモデルチェンジ前の在庫一掃セールなんだろうけど、最新モデルでなくたって普通に使えるものなんだから、激安で得した気分になればめっけもの。もらえなかったプレゼントに最適というところ。

今日のカレシは、なぜか起き抜けに秤に乗って「2ポンドも増えた」と騒いでいる。毎日どころか1ヵ月に1度か2度しか測らないんだから、昨日から2ポンド増えたというわけでもないだろうし、それに、2ポンドってたったの1キロなんだし、と言ったら「キミはどうなの」と矛先を向けてきた。ええっと、ワタシは1ポンド。昨日と比べて1ポンド増えていたけど、それって500グラム。まあ、2ポンドだろうか1ポンドだろうが、トレッドミルに戻ったらすぐに減るって・・・。

今日は「何にもしない日」。午後いっぱいダラダラして(トレッドミルの運動はしたけど)、魚と野菜の定番メニューに戻った夕食後もダラダラ。カレシにいたっては、ホッケーの中継をしているテレビの前のリクライナーで高いびき。ふむ、この分だと今日も就寝は午前4時過ぎだな。夕食後にテレビの前で1時間も眠ってしまうから、夜中を過ぎると目が冴えて元気いっぱいになる。ワタシは昔からかなりの宵っ張りだと思っていたけど、カレシは夜型人間に生まれついているらしい。ま、翌日の午後に予定がなければ何時に起きようとかまわないし、日本標準時で仕事をしているワタシにはもっけの幸いだから、ご隠居さんには好きなだけ居眠りしてもらっていいんだけど。

のんびり小町をぶらついていて、結婚することになった北米人の彼と、それぞれの両親に会う頻度についてびっくりした会話があったという相談に出くわした。まあ、日本人同士だって義理の親とはあまり付き合いたくない人が多いからなあと思ってのぞいてみたら、本人は毎年1回は日本へ帰るつもりなのに、相手が50/50で自分の両親にも同じ回数来てもらうと言ったのは「ずるい」。自分の里帰り費用だってかなりなのに大陸の反対側に住む両親を同じ回数呼ばれたら費用がバカにならない。自分はストレスの多い海外生活になるのに、結婚しても生まれ育ったアメリカに住み続けられるんだからありがたいハズ・・・と。いや、びっくりした。人ごとだからどうでもいいっちゃどうでもいいんだけど、この結婚、どのぐらいもつかな。

でもまあ、小町の国際結婚トピックへの書き込み読んでいると、こういう、自分の方が大きな犠牲を「払わされた」と思っているらしい「国際結婚妻」はけっこう多い。両親や家族、友だちを故国日本に残して、言葉も文化も生活習慣も違う外国くんだりまで来てあげたんだから、上にも下にも置かぬ丁重な扱いをしてくれて当然。異国でさびしいだろうと思いやってくれてあたりまえ。だから、1年に1度や2度は1ヵ月や2ヵ月の里帰りを(夫の金で)させてくれてあたりまえ。現地の言葉もままならない妻(お姫サマ)を家族や友だちから引き離して外国に連れて来たんだから、それくらいするのはあたりまえ。これも今どき風の結婚観の延長線上にあるのかもしれないな。まあ、少しは愛し合っているんだろうとは思うけど・・・。

ワタシとカレシもいわば「国際結婚組」になるんだけど、カレシを「外国人」だと認識していたのは、結婚して永住手続きが済んで落ち着いた頃くらいまでだったかな。まあ、ビザに滞在期限が付いている間は「外国にいる」という感じが抜けないから、カレシもその延長で「外国人の夫」だったんだろうと思うけど、永住許可が下りて、就職して、毎日が普通の結婚生活になってからは、カレシはごく普通に「夫」になって、目が青いことだって「日常」の一部になったように思うな。目の色、髪の色の違う夫婦は人種が同じでもごくあたりまえに掃いて捨てるほどいるんだし、この30年はパスポートの上では(日本の人には通じないけど)「カナダ人」同士だから「国際夫婦」ってのも何だかヘンだし、つまりは普通の夫婦か・・・。

だいたい、「国際結婚」ってのは何なんだろう。九州の人と青森の人がする結婚とどう違うんだろう。ある男とある女が好き合ってする結婚とどれだけ違うんだろう。あるいは、婚活とやらで条件が一致してする結婚とどう違うんだろう。いや、それよりも今どきの結婚って何なんだろうな。

家族に頼れる時代があったの?

12月27日。月曜日。勤め人は振り替え休日。2日連続の祝日がすっぽり土日に被ったから、あしたも振り替えのところが多い。(お役所や組合のあるところはしっかり2日とも振り替え休日。)そのせいか、アメリカ側へショッピングに行く人が多いらしく、今日は国境での待ち時間が何と2時間。

雨は降ったり止んだり。明日あたりから晴れて来て、元旦過ぎまでずっと「お日様」マーク。日の出は午前8時7分、日の入りは午後4時20分。徐々に日が長くなる。一緒に車で通勤していた頃には、キャンビー橋を渡ってダウンタウンに入るあたりで昇ってくる朝日がまぶしかったっけ。雨が続いていたせいか、ここのところ最低気温が平年よりずっと高かったけど、今の時期は晴れてくると気温が下がり出す。木曜日頃から最低気温は氷点下になって週末の年明けまで続くという予報だけど、その高気圧が崩れて湿った空気が入ってくると、気温が十分にプラスになるまでは雪が降る・・・。

今年はラニーニャの影響で55年ぶりの寒い冬になって雪がたくさん降るはずだったんだけど、大雪はヨーロッパに行ってしまって、次に日本、そして今度は北米の東部。こっちはなぜか避けられているような感じもしないではないけど、ま、雪かきをしなくていいから別にいいか。ひょっとしたら、日本の夏が記録的な猛暑だったから、黒潮の水温が上がって、それが親潮とぶつかって太平洋の東に流されて来る海流の温度も上がった、なんてこともありえるのかな。世界の海は初めも終わりもないから、海流も、黒潮がやがてカリフォルニア海流になって北米西岸を南下、北赤道海流となって西へ流れて、やがて黒潮に戻るという具合にぐるっとつながっているわけで、日本では海水の温度が上がってサケもサンマも不漁だったそうだから、ありえないことでもなさそうに思うんだけど。

マリルーとロバートは今日アフリカで休暇を過ごすために旅立って行った。アムステルダムで乗り換えだそうだけど、ヨーロッパの空港はほぼ正常に戻ったようだから、大丈夫だろう。ロバートは膝に人工関節を入れる手術をした後なので、南半球の夏は何よりの養生だろうな。2人が向かったのはレソト。ロバートの元妻とその一族がいて、前回初めて行ったときもえらい歓迎だったんだそうな。ロバートはオーストリアのインスブルックの出身で、電気工になってレソトに働きに行き、そこで結婚して2人の子供をもうけて、カナダに移住してきた。でも、元妻がホームシックになって、やがて離婚して、十代の子供を置いてアフリカに帰ってしまったそうな。まあ、南アフリカから来たら、毎日が暗くて、じくじくと雨が降るバンクーバーの冬は耐えられないかもしれないな。憎みあって別れたわけではないとは言え、元夫とその新しいパートナーを一族挙げて大歓迎するというのはきっとアフリカ的な大家族文化の一端なんだろうな。にぎやかで楽しそうな感じでいいなあ。

家族といえば、朝日新聞は『孤族の国』という特集を始めた。ただし、さわりだけ読んで「続きは紙面で」ということになるから、日本の外にいて朝日新聞を買えないワタシにはどういう風に展開しているのかはわからないけど、「家族に頼れる時代は終わった」ということらしい。日本には「2020年/30年問題」というのがあるそうで、2020年の問題は団塊の世代が高齢化し、多死の時代に入って、死亡数が出生数の倍になるというもので、2030年の問題は未婚、離別、死別による単身世帯の急増によって、全世帯の4割が一人暮らしになるというもの。問題の核は高度成長時代に都市に出た団塊世代やその団塊ジュニアの世代が高齢化、単身化して都市に溢れることだという。未来の日本社会は「家族」のいない人たちの集団になるということか。だけど、日本は国民の福祉を昔ながらの「家族」に丸投げして来たから、高度成長期以後の社会構成の劇的な変化に対応する制度は作られなかったに等しいと、別の新聞の特集にもあったような気がする。

カナダだって、先進国全体の例にもれず高齢化の波は押し寄せて来て、将来の年金を危惧する声も出始めているけど、元々祖国を出て「新天地」で助け合ってきた移民の国だから、社会福祉制度はそれなりに確立されて、ぎくしゃくしながらも機能しているし、家族の絆のみならず、コミュニティでの人と人のつながりもたぶん今の日本よりはずっと強いと思う。(それで家族の付き合いの濃さに辟易する国際結婚の日本人妻が多いのかもしれないな。まあ、家族観の違いが大きいんだろうけど。)ワタシも、もしもひとりきりになったら、自力で生きて行けるところまで生きて、自立が難しくなったら社会制度やコミュニティの「厚意」にまかせるつもりでいるけど、なぜかあまり不安は感じないな。そこがワタシの極楽とんぼたる所以かもしれないけど・・・。

どうやら鯛を買ったようなんだけど

12月28日。火曜日。9時過ぎにハンマーの音で目が覚めて、今日はボクシングデイの振替休みのはずだけどと思いつつまた眠ったらしくて、起床は正午。日が差している。今日はカレシが高校時代の友だちと来年の高校卒業50周年の同窓会の相談で会う約束がある。その友だちが幹事で、カレシは自分のドメインに同窓会用のページを開いて広報係のようなことをやっている。興味がない、行きたくないと言っていたのに、なぜかいつのまにかそういう流れになったらしい。

カレシが行くところが市役所のそばなので、ついでにWhole Foodsで買い物をすることにして、一緒に出かけたのはいいけど、今日はまだボクシングデイ(というよりウィーク)の安売り商戦のまっ最中だから駐車する場所が問題。市役所の周辺には駐車メーターがあるけど、どれも最高48分(なんで中途はんば?)。自転車のために車通行止めばかりの市役所の周囲をぐるぐる回っていたら、最初の「48分」メーターの反対側、タウンハウスの前に「2時間駐車」の標識を見つけた。午前9時から午後6時まで、しかも無料。おまけに歩道の端がせり出しているところに空きがある。小さい車なら楽々のスペース。道路の片側が有料メーター制で、もう一方は無料ってのは、なんかちぐはぐなような・・・。

今日のWhole Foodsにはかなりの人。クリスマスが家族のパーティの日なら、大みそかは大人のパーティの日で、近年はホームパーティも増えているというから、料理好きがいっせいに準備を始めたのかな。きのうの夜にコキットラムのHマートまでトラックを走らせて、魚類をどんと仕入れたので、フリーザーはもう満杯に近いから、今日は1キロくらいのスズキと「ピッカレル」という聞きなれない白身の魚。カウンターのお兄ちゃんに聞いてみたら、マニトバから来た淡水魚で、東部ではよく知られているんだそうな。ま、バンクーバーには太平洋という大きな湖があるからね。帰ってきてから調べてみたら、どうやらカワカマスの一種らしい。フィッシュアンドチップスにするとおいしいと言うから、今度試してみようっと。

ついでにゆうべHマートで見つけた「porgy」についても調べてみたら、わっ、こっちはどうやら「鯛」。小ぶりだけど尾頭付きの顔つきが何となく「鯛」っぽいと思ったけど、ポーギーはヨーロッパ系のマダイということだった。もっとも、英語のラベルに「porgy」と書いてあるので、ひょっとしたら本当は本物のアジアの鯛かもしれないな。ハングルは読めないし、鯛はたった一度しか食べたことがないから、何とも言えないけど(有名な「さかなクン」に聞いたら教えてもらえるかな)。もう40年も昔だったか、お正月に母が鯛を買ったことがあって、魚そのものは記憶にないんだけど、次の日に作ってくれた潮汁が恍惚となるくらいおいしかったのを今でも覚えている。食べ物の記憶は何かのときに口の中、鼻の奥にありありと甦って来ることがあるから不思議・・・。

今年のクリスマスのディナーは何となくフランス風を気取ってみたから、大みそかと元旦の晩餐の方は何となくアジア風を気取ったメニューでやってみようかな。アジアではお正月が一年で最大のイベントのはずだから。それじゃあ、今から鯛のレシピを探しておかなきゃ。でも、尻尾はいいけど、頭はカレシが「目玉がにらんでいる」と嫌がるから、尾頭付きのままはダメだけどね。たしかに、白くなった目玉がお皿から見上げているのは気持のいいもんじゃないかもしれないな。料理の本で見た「鯛のかぶと煮」はワタシもちょっとグロテスクな感じがしたから、魚の頭だけがでんと据わっている料理はなしにしよう。

さて、これで今年の食べ物ショッピングはおしまい(かな)。まあ、この年でとにかくいろんなものを見つけて来てはよ~く食べるよねえ、私たち・・・。

門前の小僧は楽しい

12月29日。水曜日。いい天気。どこかで雪が降ったというニュースだけど、我が家のあたりはひたすら晴天。今日は連休明けだけど、休暇を取っている人が多いだろう。だって、今日から有給を3日取るだけで、クリスマスから正月明けまでぶっ通しで10日の休みだもの、働く人にはこんなに効率的なことはない。中小企業になるともう思い切って会社を閉めているかもしれないな。

ワタシも今年は早めにオフィスを閉めたから、年末休みに入ってもう2週間。あと1週間あるのに、何となく落ち着かなくなって来たような気もする。別に仕事がしたくてうずうずしているわけではないんだけど、落ち着かない。これから先はもう仕事をしなくてもいいんだったら、それもいいかと思えるんだけど、なんか落ち着かない気分だから困る。一度は燃え尽きたのに、ワーカホリックが抜けていないのかなあ。それとも、これが何かとイベントやらその準備やらのある季節じゃなくて、たとえば引退してからの「毎日」だったら、落ち着くんだろうか。一時的に仕事を離れただけの「終わり」のある休みだから、何を始めるにも中途半端な気がして手をつけられないせいで、落ち着かないのかな。ほんとに落ちつかないったらない・・・。

年が明けて春になったら63歳で、いわゆる「定年」まであと2年。でも、「その日」が来てオフィスをたたんだとしても、(小町でいつも「専業主婦って大変なのよ!」と言っているのを見ていると)専業主婦になりたいという気持にはなれないな。元から専業主婦向きじゃないのに、35年も働いて、やっと悠々自適の老後を楽しめるという時になってそんな大変な「再就職」はまっぴらごめんだもんね。まあ、棚上げしているプロジェクトがいくつもあるから、仕事に追われない日常があたりまえになったら、そのときにはまた毎日が忙しくなるんだろうと思う。絵を描きたいし、芝居を書きたいし、小説を書きたいし、今度こそは大学の勉強をして、一生を終えるまでに学士号を取りたいし、もっと外へ出て広い世の中を見てみたいし・・・。これじゃあ忙しくなりすぎて、仕事をしていた頃の方が楽だったなあ、な~んて老後になりかねないかな。

でも、今日は祝日の間の中日の「ダレ日」ということだからいいかと、何となくナットクして、クリスマスに買った自分用のプレーヤーでレクチャーのDVDを見始めた。なにしろ次々とカタログが届くもので、興味のあるテーマがセールのローテーションに入っていると、つい誘惑に勝てなくて、せっせと買いためて、言語学やら、心理学、科学、歴史、地学、音楽などがもう14科目。言語学はカレシも興味があって、ぼちぼち一緒に見ているけど、とっても追いつけるもんじゃない。なにしろ1回の講義が30分から45分で、短いコースでも合計12時間、長いものは30時間。(もう少しで注文するところだった天文学のコースは合計48時間もある。)そこで、まずは心理学から始めることにして、第1回目は「理論の価値」。デスクに置いた8インチの画面がワタシの「教室」だけど、それでもちょっぴり学生気分でワクワク・・・。

学ぶことはいくつになってもすごく楽しい。中学、高校は窮屈で大嫌いだったけど、「門前の小僧」式に浸透圧で学ぶのが一番効率的にできているらしいワタシは、画一的な学校教育では落ちこぼれるしかなかったんだろう。でも、今こうして遅ればせながら大学生気分を楽しめるのは、ワタシと違って落ちこぼれず、大学入試にも勝ち抜いて、一流大学を出た人たちが新しい技術を製品化してどんどん量産し、どんどん大衆化してくれたからだろうと思うな。だって、ワタシが日本を出た35年前には、こんなに学び方ができる時代が来るとは思いもしなかったもの。長い間かけて蓄積されて来た人知はまるで満天の星空のようで、見上げているだけでもすばらしいのに、それを学校に行かなくても学びたいときに学べるのはほんっとに幸せ。うん、そんな良い時代に生きていて、休みなのが落ち着かないなんて言ってたらバチが当たりそう・・・。

夫婦喧嘩も今年のやり納め

12月30日。木曜日。まぶしいくらいの快晴。かなりの冷え込みだったような。9時半くらいに大きなモーターの音で目が覚めた。平日だし、近所に新築工事中の家が2軒あるので何かの作業なんだろう。そのまま目をつぶっていたら、カレシがごそごそ。しばらくしてがばっと起きてトイレへ。ベッドに戻って来たと思ったら、2、3分でまたがばっ。(あのさ、アンタが窓際で怖い顔で睨んでみても神通力は効かないんだってば・・・。)

少ししてまたベッドに戻ってきたけど、毛布を引っ張ったり、なんだり。結局はものの2、3分でまた起き出して、今度は着替えて下へ降りて行った。そういえば夜中を過ぎた頃に、ユーチューブのアドオンをダウンロードしたら、グーグルがヘンなサイトにリダイレクトされると騒ぎ出し、ウィルスチェックをかけたまま寝たんだった。少ししてまたベッドに戻って来たカレシ、服を脱いだから今度は寝るのかと思ったら、またすぐに起きて着替え。ははあ、むくれているな。たぶんワタシを起こしたいんだろうな。「苦情を聞いてくれ」モードらしいけど、まあ、ここは狸寝入りが一番。結局、30分ちょっとの間に5回も6回もベッドに入ったり、起きたり。10時過ぎにまたもぐりこんで来たので、いつ起きるのかなと思っていたら、おや、今度はすやすや。おかげでワタシもすやすや・・・。

正午をちょっとすぎて起きたら、「なんかモーターの音がしてうるさかったろ?」と聞いてくるから、そういえば何となく目が覚めたけど、ムニャムニャ・・・。カレシは「どこで誰が何をやってるんだか、止まった思って寝ようとしたらまた始まるもので、眠れなかった。あれでよく寝てられるな」とぶつぶつ。まあ、今日は平日だから誰かが仕事をしているんだと思えばあまり気にならなくなって、そのうちにまた眠ってしまうのがワタシ。(けさはアンタがやたらと出たり入ったりするから、眠りたくても眠れなかったけど・・・。)まあ、睡眠の中断はさておき、ウィルス疑惑の方は別に感染もなく、勝手にヘンな検索サイトがHPに設定されていたのをブランクに訂正したら元に戻ったそうな。どうやらダウンロードしたアドオンにくっつて来てしまったらしいけど、「安全なところだと思ったのに」とぶつぶつ。これだから一緒のネットワークにはしたくないの・・・。X
夕方、キッチンに上がって見たら、ちょうど冷凍庫にグラスを入れるところで、あ、引っ張り出し過ぎ・・・と思ったら、案の定、引き出し式になっている冷凍庫が閉まらなくなってしまった。これで二度目。まあほんとによくモノを壊す人だけど、どうやら「手加減」という観念がないらしい。なにしろ、モノを入れるときは奥までしっかり入れないのに、出すときは逆に勢いよく引いてしまうから不思議。とにかく閉めないことにはどうにもならないから、ああだこうだといじくりまくるカレシを(これ以上壊されたら困るから)押しのけて、前回と同じく引き出しが外れているのを見つけて、はめ直したら、やっと閉まった。

やれやれと思ったら、今度は「欠陥品だ。新しいの買う」。じょうだんじゃないと言ったら、「なぜオレに同意しないんだ」と怒り出したから、ワタシも堪忍袋の緒が切れて、けんか。ワタシはアンタじゃないの。思い通りに機能しないからってポイと捨てて新しいのに取り替えるというなら、同意しないワタシもアンタの思い通りに機能していないってことだから、ついでに新しいのに取り替えたらどうなのよ。さ、同意するから、さっさと新しい冷蔵庫と新しい女房を買っといで・・・。

そこでむすっとなったカレシ、しばらくして「これ以上引き出すなってところに印をつけておいてくれよ」と。はあ・・・。夕食後になって、「キミのレミが残り少ないから、酒屋へ行こう。キミの好きなスコッチも買って来る?」と、和平交渉に乗り出したつもり。ま、犬も食わない夫婦喧嘩、ここらで今年のやり納めということで、しゃんしゃんと手を打っておくことにするか。(だけどなあ・・・。)

2010年最後の晩餐

12月31日。大みそか。起床は午後1時。うへ、2010年も酔生夢死みたいなことになりそうな時間。外は寒そうだけど、とにかくすばらしい晴天。テレビをつけると、いつものことだけど、世界のほどんとは2011年になっている。お先に年が明けたみなさま、まずは明けましておめでとうございます。

運動がてらインフルエンザのワクチンをしてもらうために徒歩でモールへ。でも、薬局のワクチン投与の資格のある薬剤師は月曜まで休み。最初の予定通りにきのう来たらしてもらえたのにね。ま、せっかくだから郵便局のワタシ書箱を空にして、青果屋でしいたけと大根とネギとオレンジだけ買って、またてくてく歩いて帰宅。往復で3キロ以上はあるから、日に当たって早足で歩いていると、汗ばんでいい運動になる。

まずはシャンペンとオレゴン産のにごり酒を冷蔵庫に入れて、ロコあわびと大根を火にかけ、買ってすぐに小分けにして冷凍しておいた食材をあれこれ出して来て、さて大みそかのメニューはと、しばし(けっこうのんびりと)思案投げ首・・・。

今日のメニュー:
 アミューズブーシュ(ホタテの山椒焼き) 
 ヤムいもとしろうおのてんぷら
 貝類のしゃぶしゃぶ風スープ
 鯛の塩焼き、温野菜、山菜ご飯
 デザート(バニラのクレムブリュレ)

[写真] ホタテは1個を2枚にスライスして、山椒を振りかけて熱いフライパンに。2つに切ったしいたけ半分と少量の大豆もやしも横に入れて、ささっと火を通して、マイヤーレモンとかいわれで彩り。

[写真] クリスマスに買ったイモ。スイートポテトだと思っていたら、実はヤムいも。まあ、似たようなものだから、サツマイモと同じつもりでてんぷらにしてみた。しろうおはまとめて衣に入れたのを指ですくっては油に落としてかき揚げ風にしてみた。(日本製のてんぷら粉を買って来たので、小さいフライヤーに新しい油を入れて揚げたら、うまく行った。)

[写真] 大根と一緒に「ことこと」似て柔らかくなったロコあわびの煮汁を少し取って、水を足してダシとポン酢少しで味つけしたスープで、白菜としらたき、ロコあわび、ムール貝、むき牡蠣、あさり、ぽたんエビをさっと煮てできあがり。海の香りが交じり合っていい味。

[写真] どうしようか思案していた鯛(ポーギー)は、やっぱり頭を取って、3枚おろし。(頭と骨はあしたの潮汁に使うことにする。)皮のほうにオーストラリアの海塩を振っておいて、身のほうは刻んだねぎをパラパラ。電気釜で山菜水煮を使った山菜ご飯を炊いている間に、アスパラガスとバターナットかぼちゃを蒸し始め、ご飯ができて、野菜が蒸しあがる頃に鯛をオーブンのグリルに入れて焼き目をつけた。ちなみにバターナットかぼちゃはカレシの菜園に勝手に生えてきて1個だけ実ったもの。コンポストに捨てた種が芽を出したんだろう。

[写真] デザートはバニラビーンのクレムブリュレ。カレシがゆうべのうちに作って専用の小皿に入れておいたカスタードにまんべんなく砂糖をかけて、料理用のガスバーナーの炎でまんべんなく溶かして焦がす。ガラスのようになった砂糖が冷めて固まるのを待っている間にコーヒーを入れて、ゆっくりと大みそかの晩餐?のラストコース。

外はマイナス3度。元旦の朝の恒例行事になっているイングリッシュベイの寒中水泳は冷たそうだなあ。ぶるぶる・・・。

さて、バンクーバーの2010年も残すところ後2時間を切った。1時間前にはニューヨークのタイムズスクエアのカウントダウンを見ていたけど、ここでは大みそかの行事は特にないのが市民の不満の種。まあ、昔はあったんだけど、いつも破壊的な騒ぎをしたがるバカな連中に台無しにされるので、10年以上も前に中止になったきり、いつも「来年こそは・・・」。そこで私たちはいつもシアトルのスペースニードルの花火を見ながら、シャンペンで新年を迎える。そのシャンペン、ちゃんと冷えているかな・・・?


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