リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

壁のハエ、追い払われずに2週間

2018年06月05日 | 日々の風の吹くまま
6月4日(月曜日)。曇りのち晴れ。うわっ、もう10日もご無沙汰しちゃった。月曜日から土曜
日まで毎日、世界一ハッピーなこのハエ、朝の10時からランチタイムに入る1時半まで稽
古場の壁に止まりっ放し。とういうか誰の邪魔にもならない隅の椅子に座って、ミュージカル
作品がだんだんに形を成してくるのをじっくり「聴講」して、空きっ腹で帰って来たら、チーズ
ひとかけらなんかをもぐもぐやりながら自分の脚本の手直し。何しろ毎日「目からうろこ」的
に学ぶことが多くて、帰りの電車の中で一生懸命に消化していると、急な坂道をふうふう言
いながら上って帰り着く頃には、頭の中は手直しのアイデアでいっぱい。

5月28日にはMeet and Greetという、『Once』のパトロンになっている後援者(ワタシもそ
の1人)や劇団の事務方のスタッフとの顔合わせがあって、子役の女の子もお母さんに付き
添われて出席。オーディションで主役の「女」の5歳の娘の役に選ばれたとってもかわいい
子。すぐそばに立っていたので、いくつ?と聞いたら「7歳」。将来は俳優になるんだそうな。
でも、出番は第1幕の2場だけで台詞もないから、まだ第2幕の仕上げをしている段階なの
で、舞台で通し稽古が始まるまでは来ないのかな。子役の扱いは規則が厳しいからね。

きのうの日曜日はダウンタウンのホテルで「メジャーな」後援者を招いてのブランチパーティ。
出席者は40人ほどで、ほとんどがお馴染みの顔ぶれだから、とにかく賑やか。みんなワタ
シが稽古場通いしていることを知っているので、「どんなぐあい?」と質問攻めにあって、た
またま前日に見てすごく感銘を受けたビルの演出手法を説明。「いかにも芸術家らしい演
出家」みたいなイメージとはほど遠くて、きのうの「恋愛関係が始まりそうで始まらない、始
めたいのに始められない」切ないシーンの演出では、ストップをかけては主役2人に「何を
考えている?」、「どういう心境?」と聞いて、役者は「私は・・・」とキャラクターの気持になっ
て返事。そうやって話し合ってはやり直すたびに、切ない感情がじわじわと高まって来て、
最後にはワタシの目がうるうる。こんな風に、あんな風にと「指導」するんじゃなくて、役者か
らキャラクターを引き出して行くという、言わば「育てる」ような感じかな。

それでもカナダの舞台演劇では演出の「大御所」に数えられる人だから、稽古場で気に障っ
た人は役者でも何でも外に追い出してしまうそうだけど、2週間も追い払われなかった「壁
のハエ」はどうやら気に入られたみたいで、朝一番の発声練習で、ワタシも口バクしながら
椅子の前でウォームアップをしていたのを見て楽しそうに笑っていた。まだ孵卵器の中の卵
の分際だから何も言わないでいたけど、ワタシが脚本を書いていることを事務方の人たち
から聞いて知っているようで、劇団の運営から離れたこともあって、おもしろいやつだからひ
とつがっちりとしごいてろうかぁ~なんて思ったのかな。

稽古は今日からグランヴィルアイランドの劇場に移って、本格的な総仕上げの段階。稽古
場の設定や衣装合わせなどでまとまったリハーサルはないので、1日「休み」をもらってカレ
シの心臓外科医のフォローアップの検診にお付き合い。バイパス手術をしてから今日でちょ
うど6ヵ月。切開した傷跡をチェックして、どんな運動をどれだけしているか聞いて、調子は
どうかと聞いて、「あと10年は大丈夫」と太鼓判。ばんざぁ~い!良かったね、カレシ。これ
で安心して、また明日から稽古場通いができるというもの。仕上げ段階の稽古は週6日、正
午から午後8時までで、ランチタイムは午後3時半。電車とバスを乗り継いで1時間半近くか
かるけど、1週間の試演が始まるまで10日を切ったから、壁のハエも気合を入れなくちゃ!