安倍改造内閣の支持率調査が出てきた。聞いた日や聞き方に若干違いがあるが、まあ大体の傾向は似ている。
・NHKの調査では、支持39%(前月は35%)、不支持が43%(前月は48%)だった。
・読売新聞の調査では、支持が42%(前月は36%)、不支持が48%(前月は52%)だった。
・朝日新聞の調査では、支持が35%(前月は33%)、不支持が45%(前月は47%)だった。
読売新聞調査の支持率が一番高いけど、これは別に読売新聞の論調を「忖度」して国民が答えているわけではない。読売は、答えない人に「重ね聞き」をして、「あえて言えば」と問いかける。だから、支持も不支持も一番高くなる傾向がある。内閣改造には、やっただけで数%の支持率回復効果があるとされる。大きく報道されるし、首相の記者会見などで今後の展望が語られる。それに対して「野党各党の反応」も必ず出るけれど、どうしても印象が薄いのは当然だろう。
今回はそういう意味では、「予想された範囲」の数字だと言えるのではないか。これを「下げ止まった」または「反転攻勢が始まった」と捉えるか、「支持・不支持が拮抗している」と捉えるか、それとも「不支持がかなり上回っている」または「改造の支持率回復効果は弱かった」と捉えるか。現段階では決め手となる解はない。今後の推移を見ていくしかない。
ただ、今回は野田、河野の入閣など「ある程度のサプライズ」があった。だから、本来首相サイドからすれば、最低でも支持・不支持が並ぶぐらいの数字を期待していたのではないだろうか。だが、今もなお、不支持が多い。「他の人より良さそう」が今も支持理由のトップで、それなのに「首相の人柄が信用できない」が不支持の理由となるわけだから、なかなか支持が回復しない。
今後の支持率の推移を予測してみると、やはり「上値が重い」展開が続くのではないかと僕は思う。理由はいくつか考えられる。首相は加計学園問題で「加計学園の申請を知ったのは、今年の1月20日」とそれまでの答弁を修正した。これは到底信じられないと思うし、世論調査でも納得できないという答えが圧倒的である。もしそれが本当だったら、確かに首相には問題がないことになる。だが「国家戦略特区」という、本来首相がトップで推進する取り組みがいい加減だったことにもなる。
もう一つ、首相が「共謀罪」などで今まで強行して決めることが多かった。もういい加減国民も目が覚めたのかもしれないが、それよりも「憲法改正」でなお「強行」が進みつつある。いや、憲法改正は「スケジュールありきではない」と語り「ていねいな議論」を約束してはいる。だけど、「安倍一強」が続いていたとしても「スケジュール優先で進める」などと言うわけがない。改憲自体をやめるとは言わないんだから、今後も重要局面になれば「強行」するに決まってる。唐突な改憲論議も不支持増大の理由だろうから、「改憲先送り」を表明しない限り支持率は元に戻らないのではないか。
そして最大の問題がある。それは2018年9月の「自民党総裁選」である。自民党はルールを変更し、任期3年の総裁を3回連続してできることとして、現職総裁から適用するとした。ルールを変えるのは、政党は私的結社だから構わないけど、普通は「次期総裁から適用」だろう。現職から3選可能では、どこかの独裁国家みたいな感じじゃないか。自分が総裁の時にルールを変えて自分に適用するというのは、民主的な感覚からは違和感が強い。
実際問題、2012年12月に政権復帰して以来、最長で2021年9月まで首相を務めるというのは、あまりにも長いのではないか。自民党を支持し、アベノミクスに期待を持ち、憲法改正に賛成の立場の人にとっても、かなり問題なんじゃないだろうか。この「総裁3選問題」が実は一番大きいのではないかと思う。良い評価をする人にとっても相当長い。何しろ中曽根、小泉両政権は5年しかなかったのである。戦後の長期政権と言えば、吉田茂と佐藤栄作だけど、どっちも最後の頃は国民も飽きてしまって「もういい加減辞めてくれ」という感じだった。
中曽根、小泉両氏が辞任後も一定の政治的存在感を保ち続けているのも、政治的余力を残して退陣したからだろう。早く辞めれば後継者にも影響力を持てる。それに対して超長期政権になれば、もう後継に対して影響力を持てないことが多い。それは安倍氏も判っているだろうと思う。だが、2018年で辞めてはできないことが「総裁3選」で経験できる。
一つは現天皇の退位と新天皇の即位。それに伴う大嘗祭等の皇室諸行事。もう一つは東京五輪時に首相として世界各国の首脳を迎えること。そして三つ目として、もしかしたら実現できるかもしれない「憲法改正」をわが手で公布すること。これらを自分で手掛けるという誘惑に、保守政治家・安倍晋三が抵抗できるとは思えない。総裁選規定を変えたのは、二階幹事長の「功績」である。せっかく変えた決まりを首相が生かさないとなれば、二階氏も面白くないだろう。
だから、今のところ、「安倍首相(総裁)は自民党総裁選に出馬する」と見ている。だが、これが世論には受けが悪い。反対の方がずっと多い。そりゃあそうだろう。どんな人だって、最初に1年、その後に5年半もやれば十分だし、それで成果がないというなら、もう辞めた方がいいというのが普通の感覚だ。もともと安倍反対派からすれば、もう十二分に長すぎて早く辞めて欲しいだけであり、それが2021年まで続くなんてなったら、外国へ移民しようかという感じである。
改憲だって何も安倍内閣じゃなくてもいいんだし、長すぎる安倍政権で強引に進めればかえって選挙に負けかねない。そういう声も今後強くなると思う。そうなると、保守支持層の中でも、安倍氏は2018年で勇退し後進に道を譲るのが「保守政治家」らしいという声も多くなるだろう。そういう意味で、安倍総裁3選をめぐって、今後「支持率の上値が重い」状況が続いていくのではないかと思う。
・NHKの調査では、支持39%(前月は35%)、不支持が43%(前月は48%)だった。
・読売新聞の調査では、支持が42%(前月は36%)、不支持が48%(前月は52%)だった。
・朝日新聞の調査では、支持が35%(前月は33%)、不支持が45%(前月は47%)だった。
読売新聞調査の支持率が一番高いけど、これは別に読売新聞の論調を「忖度」して国民が答えているわけではない。読売は、答えない人に「重ね聞き」をして、「あえて言えば」と問いかける。だから、支持も不支持も一番高くなる傾向がある。内閣改造には、やっただけで数%の支持率回復効果があるとされる。大きく報道されるし、首相の記者会見などで今後の展望が語られる。それに対して「野党各党の反応」も必ず出るけれど、どうしても印象が薄いのは当然だろう。
今回はそういう意味では、「予想された範囲」の数字だと言えるのではないか。これを「下げ止まった」または「反転攻勢が始まった」と捉えるか、「支持・不支持が拮抗している」と捉えるか、それとも「不支持がかなり上回っている」または「改造の支持率回復効果は弱かった」と捉えるか。現段階では決め手となる解はない。今後の推移を見ていくしかない。
ただ、今回は野田、河野の入閣など「ある程度のサプライズ」があった。だから、本来首相サイドからすれば、最低でも支持・不支持が並ぶぐらいの数字を期待していたのではないだろうか。だが、今もなお、不支持が多い。「他の人より良さそう」が今も支持理由のトップで、それなのに「首相の人柄が信用できない」が不支持の理由となるわけだから、なかなか支持が回復しない。
今後の支持率の推移を予測してみると、やはり「上値が重い」展開が続くのではないかと僕は思う。理由はいくつか考えられる。首相は加計学園問題で「加計学園の申請を知ったのは、今年の1月20日」とそれまでの答弁を修正した。これは到底信じられないと思うし、世論調査でも納得できないという答えが圧倒的である。もしそれが本当だったら、確かに首相には問題がないことになる。だが「国家戦略特区」という、本来首相がトップで推進する取り組みがいい加減だったことにもなる。
もう一つ、首相が「共謀罪」などで今まで強行して決めることが多かった。もういい加減国民も目が覚めたのかもしれないが、それよりも「憲法改正」でなお「強行」が進みつつある。いや、憲法改正は「スケジュールありきではない」と語り「ていねいな議論」を約束してはいる。だけど、「安倍一強」が続いていたとしても「スケジュール優先で進める」などと言うわけがない。改憲自体をやめるとは言わないんだから、今後も重要局面になれば「強行」するに決まってる。唐突な改憲論議も不支持増大の理由だろうから、「改憲先送り」を表明しない限り支持率は元に戻らないのではないか。
そして最大の問題がある。それは2018年9月の「自民党総裁選」である。自民党はルールを変更し、任期3年の総裁を3回連続してできることとして、現職総裁から適用するとした。ルールを変えるのは、政党は私的結社だから構わないけど、普通は「次期総裁から適用」だろう。現職から3選可能では、どこかの独裁国家みたいな感じじゃないか。自分が総裁の時にルールを変えて自分に適用するというのは、民主的な感覚からは違和感が強い。
実際問題、2012年12月に政権復帰して以来、最長で2021年9月まで首相を務めるというのは、あまりにも長いのではないか。自民党を支持し、アベノミクスに期待を持ち、憲法改正に賛成の立場の人にとっても、かなり問題なんじゃないだろうか。この「総裁3選問題」が実は一番大きいのではないかと思う。良い評価をする人にとっても相当長い。何しろ中曽根、小泉両政権は5年しかなかったのである。戦後の長期政権と言えば、吉田茂と佐藤栄作だけど、どっちも最後の頃は国民も飽きてしまって「もういい加減辞めてくれ」という感じだった。
中曽根、小泉両氏が辞任後も一定の政治的存在感を保ち続けているのも、政治的余力を残して退陣したからだろう。早く辞めれば後継者にも影響力を持てる。それに対して超長期政権になれば、もう後継に対して影響力を持てないことが多い。それは安倍氏も判っているだろうと思う。だが、2018年で辞めてはできないことが「総裁3選」で経験できる。
一つは現天皇の退位と新天皇の即位。それに伴う大嘗祭等の皇室諸行事。もう一つは東京五輪時に首相として世界各国の首脳を迎えること。そして三つ目として、もしかしたら実現できるかもしれない「憲法改正」をわが手で公布すること。これらを自分で手掛けるという誘惑に、保守政治家・安倍晋三が抵抗できるとは思えない。総裁選規定を変えたのは、二階幹事長の「功績」である。せっかく変えた決まりを首相が生かさないとなれば、二階氏も面白くないだろう。
だから、今のところ、「安倍首相(総裁)は自民党総裁選に出馬する」と見ている。だが、これが世論には受けが悪い。反対の方がずっと多い。そりゃあそうだろう。どんな人だって、最初に1年、その後に5年半もやれば十分だし、それで成果がないというなら、もう辞めた方がいいというのが普通の感覚だ。もともと安倍反対派からすれば、もう十二分に長すぎて早く辞めて欲しいだけであり、それが2021年まで続くなんてなったら、外国へ移民しようかという感じである。
改憲だって何も安倍内閣じゃなくてもいいんだし、長すぎる安倍政権で強引に進めればかえって選挙に負けかねない。そういう声も今後強くなると思う。そうなると、保守支持層の中でも、安倍氏は2018年で勇退し後進に道を譲るのが「保守政治家」らしいという声も多くなるだろう。そういう意味で、安倍総裁3選をめぐって、今後「支持率の上値が重い」状況が続いていくのではないかと思う。