何だか書かないままになりそうなので、簡単に続きを。
陳昌鉉(チン・チャンヒョン 5.13 82歳) バイオリン製作者
植民地下の朝鮮で生まれ兄を頼って日本に渡った。木曽でバイオリン職人となり、やがて世界的に名を知られたバイオリン製作者となった。その生涯は「海峡を渡るバイオリン」という名でドラマ化され、本、マンガにもなった。僕も授業で使ったこともあり、忘れられない人である。
吉武輝子(4.20 80歳) 女性運動家、作家
一番活躍していた70年代頃はずいぶん読んだようにも思う。後に米兵による性暴力体験を告白し、そのことがすべての活動の原点だった人。70年代、80年代頃に女性運動、女性史などが盛り上がり、その中で土井たか子社会党委員長の登場と「マドンナブーム」があった。その頃読んだり聞いたりした人も、晩年を迎え訃報を聞くことが多くなってきたが、誰かインタビューをしているんだろうか。それは男もそうで、労働運動をした人とか、どんどん亡くなっている。
方励之(ほう・れいし 4.6 76歳) 中国の物理学者、民主化運動家
物理学者だけど、87年に学生の民主化運動にコミットしたとして、共産党を除名された。87年というのは、胡耀邦が失脚に追い込まれた年で、ノンフィクションを通して腐敗を告発していた作家、劉賓雁も除名された。89年までは中国にいられたが、天安門事件の後で亡命した。米アリゾナ州トゥーソンで死去。「中国のサハロフ」と言われた人。
アントニオ・タブッキ(3.25 68歳) イタリアの作家
ポルトガルのリスボンで死去。最後の頃は、ほとんどポルトガルにいたようだ。「インド夜想曲」が世界的に受けて、現代イタリアの作家としては珍しく、ほとんど邦訳されている。僕はイタリア文学が好きでけっこう読んでいるが、夢を見ているような小説が多かったと思う。
榎本喜八(3.14 75歳) 元プロ野球選手、「安打製造機」
今のロッテが大毎オリオンズといっていた時代、南千住にあった東京スタジアムを本拠にしていた時代だが、オリオンズの中心打者だった人。68年に2000本安打を達成している。今年だけでもう3人が到達したが、榎本で当時3人目である。川上、山内に続いて。通算安打数は、張本、野村、王、門田、衣笠と抜かれていって、今榎本は15位。通算2314安打。でも、この人は引退後「あの人は、今」の人になってしまった。ベンチで禅を組むなど「奇行」といわれる、野球の求道者だった。球界に残らず(残れず?)、コーチも一回もしていない。2000本安打が資格になる「名球会」にも出席しなかったという。60年代の東京の子供だから、もちろん榎本の名前はよく知っている。が、人生には「後半生」があるということは当時は知らなかった。
楢崎弥之助(2.28 91歳) 元衆議院議員、「国会の爆弾男」
60年の総選挙で当選し、96年に引退するまで当選11回。社会党だけど、78年に田英夫などと離党して、江田五月らと合流して「社会民主連合」を作った。様々な問題で政府を追及し、社会党が野党として自民党を国会で追いつめるという時代の有名な代議士だった。リクルート事件では、自身への贈賄工作をテレビ取材させたけど、この手法はどうなんだろうかと僕は思った。息子の欣弥が後継になって2回当選したが、郵政選挙で落選して引退してしまった。
中村雀右衛門(2.23 91歳) 歌舞伎俳優
戦後を代表する女形で、人間国宝、文化勲章受章。いや、歌舞伎のことはよく判らないので、名前だけ。
ホイットニー・ヒューストン(2.11 48歳) 歌手
いや、びっくり。いろいろ薬物とか、大変だったらしい。映画「ボディーガード」の大ヒットが92年。その後の人生に波があった。そういう歌手が多いよね、アメリカでは。
アントニ・タピエス(2.6 88歳) スペインの画家
スペインなんだけど、本人の意識ではカタルーニャの画家で、だから「アントニオ」ではなく、「アントニ」と称する。これがカタルーニャなんだという。大きな画面の抽象画が多いけど、昔西武美術館で展覧会があって、僕は圧倒されてしまったことがある。グーグル画像検索すれば、絵が沢山出てくるけど、パソコン画面で見るより、本物はずっと迫力だと思う。
芦野宏(2.4 87歳) シャンソン歌手
「シャンソン」はつまりはフランス語で歌を意味するだけだけど、シャンソンといえばパリの空が浮かんでくるという特別な日本語になってる。50年代の人気歌手だから僕はそのあたりはよく知らない。自分のコレクションをもとに、群馬県渋川に日本シャンソン館を作った。ここは伊香保や草津に車で行くときに見えるけど、いざ行くとなると駐車場がどこだかけっこう迷う。なかなか高いけど、一回は行ってもいい施設だと僕は思う。
ヴィスコヴァ・シンボルスカ(2.1 88歳) ポーランドの詩人、96年ノーベル文学賞受賞
池澤夏樹が去年引用して、大変有名になった。
「またやってきたからといって 春を恨んだりはしない」
「平凡な奇跡は/平凡な奇跡がたくさん起こること。/ただ見回せばそこにある奇跡は/世界がどきにでもあるということ」
これらは新聞の追悼文で読んだだけで、僕はこの人の詩集を読んではいない。翻訳は出ている。どこかで見つけて読んでみたいと思う詩を書いた詩人。
1月は、林光、二谷英明、テオ・アンゲロプロスなど、その時に追悼を書いている。
陳昌鉉(チン・チャンヒョン 5.13 82歳) バイオリン製作者
植民地下の朝鮮で生まれ兄を頼って日本に渡った。木曽でバイオリン職人となり、やがて世界的に名を知られたバイオリン製作者となった。その生涯は「海峡を渡るバイオリン」という名でドラマ化され、本、マンガにもなった。僕も授業で使ったこともあり、忘れられない人である。
吉武輝子(4.20 80歳) 女性運動家、作家
一番活躍していた70年代頃はずいぶん読んだようにも思う。後に米兵による性暴力体験を告白し、そのことがすべての活動の原点だった人。70年代、80年代頃に女性運動、女性史などが盛り上がり、その中で土井たか子社会党委員長の登場と「マドンナブーム」があった。その頃読んだり聞いたりした人も、晩年を迎え訃報を聞くことが多くなってきたが、誰かインタビューをしているんだろうか。それは男もそうで、労働運動をした人とか、どんどん亡くなっている。
方励之(ほう・れいし 4.6 76歳) 中国の物理学者、民主化運動家
物理学者だけど、87年に学生の民主化運動にコミットしたとして、共産党を除名された。87年というのは、胡耀邦が失脚に追い込まれた年で、ノンフィクションを通して腐敗を告発していた作家、劉賓雁も除名された。89年までは中国にいられたが、天安門事件の後で亡命した。米アリゾナ州トゥーソンで死去。「中国のサハロフ」と言われた人。
アントニオ・タブッキ(3.25 68歳) イタリアの作家
ポルトガルのリスボンで死去。最後の頃は、ほとんどポルトガルにいたようだ。「インド夜想曲」が世界的に受けて、現代イタリアの作家としては珍しく、ほとんど邦訳されている。僕はイタリア文学が好きでけっこう読んでいるが、夢を見ているような小説が多かったと思う。
榎本喜八(3.14 75歳) 元プロ野球選手、「安打製造機」
今のロッテが大毎オリオンズといっていた時代、南千住にあった東京スタジアムを本拠にしていた時代だが、オリオンズの中心打者だった人。68年に2000本安打を達成している。今年だけでもう3人が到達したが、榎本で当時3人目である。川上、山内に続いて。通算安打数は、張本、野村、王、門田、衣笠と抜かれていって、今榎本は15位。通算2314安打。でも、この人は引退後「あの人は、今」の人になってしまった。ベンチで禅を組むなど「奇行」といわれる、野球の求道者だった。球界に残らず(残れず?)、コーチも一回もしていない。2000本安打が資格になる「名球会」にも出席しなかったという。60年代の東京の子供だから、もちろん榎本の名前はよく知っている。が、人生には「後半生」があるということは当時は知らなかった。
楢崎弥之助(2.28 91歳) 元衆議院議員、「国会の爆弾男」
60年の総選挙で当選し、96年に引退するまで当選11回。社会党だけど、78年に田英夫などと離党して、江田五月らと合流して「社会民主連合」を作った。様々な問題で政府を追及し、社会党が野党として自民党を国会で追いつめるという時代の有名な代議士だった。リクルート事件では、自身への贈賄工作をテレビ取材させたけど、この手法はどうなんだろうかと僕は思った。息子の欣弥が後継になって2回当選したが、郵政選挙で落選して引退してしまった。
中村雀右衛門(2.23 91歳) 歌舞伎俳優
戦後を代表する女形で、人間国宝、文化勲章受章。いや、歌舞伎のことはよく判らないので、名前だけ。
ホイットニー・ヒューストン(2.11 48歳) 歌手
いや、びっくり。いろいろ薬物とか、大変だったらしい。映画「ボディーガード」の大ヒットが92年。その後の人生に波があった。そういう歌手が多いよね、アメリカでは。
アントニ・タピエス(2.6 88歳) スペインの画家
スペインなんだけど、本人の意識ではカタルーニャの画家で、だから「アントニオ」ではなく、「アントニ」と称する。これがカタルーニャなんだという。大きな画面の抽象画が多いけど、昔西武美術館で展覧会があって、僕は圧倒されてしまったことがある。グーグル画像検索すれば、絵が沢山出てくるけど、パソコン画面で見るより、本物はずっと迫力だと思う。
芦野宏(2.4 87歳) シャンソン歌手
「シャンソン」はつまりはフランス語で歌を意味するだけだけど、シャンソンといえばパリの空が浮かんでくるという特別な日本語になってる。50年代の人気歌手だから僕はそのあたりはよく知らない。自分のコレクションをもとに、群馬県渋川に日本シャンソン館を作った。ここは伊香保や草津に車で行くときに見えるけど、いざ行くとなると駐車場がどこだかけっこう迷う。なかなか高いけど、一回は行ってもいい施設だと僕は思う。
ヴィスコヴァ・シンボルスカ(2.1 88歳) ポーランドの詩人、96年ノーベル文学賞受賞
池澤夏樹が去年引用して、大変有名になった。
「またやってきたからといって 春を恨んだりはしない」
「平凡な奇跡は/平凡な奇跡がたくさん起こること。/ただ見回せばそこにある奇跡は/世界がどきにでもあるということ」
これらは新聞の追悼文で読んだだけで、僕はこの人の詩集を読んではいない。翻訳は出ている。どこかで見つけて読んでみたいと思う詩を書いた詩人。
1月は、林光、二谷英明、テオ・アンゲロプロスなど、その時に追悼を書いている。