実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

行政相談  実戦教師塾通信二百九十七号

2013-07-11 13:08:28 | 福島からの報告

 被害感情

     ~行政相談/損害賠償~


 1 はじめに-吉田所長逝去


 福島第一原発事故の指揮(しき)をとった吉田昌郎所長が亡くなった。この機会に忘れてはいけないことを振り返っておこう。なぜかあまり報道されていないことを懸念(けねん)しつつ、ということだ。
 食道ガンと診断されたのは2011年11月のことだ。その後吉田氏は所長を退任し、手術・療養に入る。さて、2012年の7月に脳溢血(のういっけつ)で倒れたことが、今回の吉田氏逝去に伴(ともな)うニュースで報道されないのはなぜだろう。それを私が見落とし、聞き落としているかも知れないが、まずもって、それが見落とし聞き落とすようなレベルの報道ではまずいわけである。そして、その脳溢血の時に報道された
「家族の意向(プライバシーに触れる)で、詳細は言えない」
なることも忘れてはいけない、と先日書いた。
「もうダメかと思ったことも何度かあります」
の吉田氏の映像は、私たちが何度でも見て思い出すべきだ。先日の森なんだかとかいうマヌケ(ではすまないが)な閣僚の、
「原発事故で直接の死者は出ていない」
なる発言の時に書いたが、この吉田氏を先頭とする「フクシマフィフティーズ」の「死を賭(と)した」動きがなかったら、累々(るいるい)と屍(しかばね)を築(きず)いたことは間違いない。
 9日夜のニュース(NHK)で、原発事故調査委員(長)の柳田邦男が
「もっと事故究明に必要なことを(吉田氏は)話して欲しかった」
と発言している。当時、確かに事故に関する質問に吉田氏の口は重く、記者会見では、質問を当時の細野豪志環境省大臣が遮(さえぎ)るという一幕もあった。
 そして、次の朝の同じNHKのニュースでは、柳田のこのコメントが、同じ柳田の「事故文化の水準を高めないといけない」発言と差し替えられていたのが、印象に残った。
 おそらく遺族は、この件に関して「労災」の申請はしないだろう。事故の状況がそこで検証されるからだ。どのような扱いになるのか、それはきっと明らかにされない。
「吉田所長が浴びた放射線は70㎜シーベルトで、がんの原因とは考えにくい」
という東電広報は、せめて
「過労と心労が死期を早めた」
ぐらいは言うべきでしょ。


 2 「あなたは被災したんですか」

 第一集会所に着いた。この日は『行政相談』の看板が集会所入り口にあった。中に入ると、(県と市の)職員がテーブルに腰掛けており、相談に来た人たちがいた。コトヨリさんが来たよ、と受付さんが第二集会所からレギュラーの皆さんを呼んでくれたので、集会所はふだんにない賑(にぎ)わいとなった。私は近くのセブンで買ってきたアイスが、まったく用をなさないことに気付いた。この行政相談なるものを、私は避難所でこそよく出くわしたが、仮設住宅では初めて見た。それで受付さんに、この相談は月に二回ぐらいやってるのですか、と私は聞いたが、何カ月かに一度のことだという。以前はそれこそ毎日やっていたようなことが、今はこうして少なくなった。
 集会所の一角で、私たちはいつも通りの世間話をしていたのだが、やがてこの「相談」に巻き込まれることとなった。
「私は家族を津波で亡くしてます」
と、ひとりの方が言う。声が大きい。
 あなたは誰かを亡くしましたか、とその声は続いた。チーフらしきワイシャツ姿の職員が、いいえ、と応じる。
「じゃ、あなたは家が壊れましたか」
またその人が言った。いいえ、と同じ人が答えた。
「じゃ、あなたは今回の震災でなんの被災もしていない。そんな人が私たちの気持ちを分かるんですか」
と、その人は続けた。私の隣(となり)で、いつものレギュラーさんが、あの人はあんな言い方しか出来ねえんだよ、としかめ面をする。ご近所さんだという。
 やがて、対応していた職員が静かに話した。私たちは被災した方の相談を受ける立場で来ている。あなたのような言い方をされれば、「黙れ」と言われているような気になるだけで、相談を受けるところまで行けない、と真っ当な答をした、と私には思えた。
 話は生活補償のこととなった。同じ人が続ける。東電の地元の人間は生活も家屋(この場合「家賃」と考えていい)も補償されているのに、私たちはここを追い出されればすべて自前になるのはなぜなんだ、とまたしても激しくいった。会長さんがたまりかねたように、私を隣の小さな部屋に誘った。この場の話を解説する、というよりは私にグチをこぼしたかった、と思えた。
 一応確認のため書くが、被災者が避難所から仮設住宅に移った段階で、光熱費が被災者に発生した。今度、仮設住宅から復興住宅に移れば、家賃が発生する。これは段階的に値上げされるが、それは所得に応じて、という但し書きもある。これが、東電のお膝元(おひざもと)となれば話が違うのである。家賃は補償される。訴(うった)えは続く。
「どうしてあの人たちは別なんですか」
市長が話の分かる人だから、と双葉郡の人たちへの行政サービスを嘆(なげ)くのだ。
 この8月、中央台の仮設近くに家を建てたレギュラーさんはそこに引っ越す。第二原発の立地点である富岡町の人が、やはりとなりに家を建てているという。じゃあ、いわきの住民になるんですね、と彼女はその人に聞いたという。相手の人は「ちがう」って言うんだよなあ、金を持ってんだなあ、と彼女は言うのだ。
 私には行政の相談員に食ってかかる人も、このレギュラーさんも違うと思った。そして、このあと、第9仮設(楢葉町)に行って私の思うところを聞いてみた。
 そして思った。私は、いや、私たちはなんにも分かっちゃいないと。
 この続き、次号で報告します。


 ☆☆
いやあ、今回、茨城は友部のサービスエリアで感動のシーンを見ました。
       
ランボルギーニが2台!フェラーリが3台!ついでにポルシェカレラも。同好会のクラブではないみたいでした。写真をいいですかと言う私に、どうぞ、と気軽に応じる男性は、どう見てもせいぜい30~40代。写真の向こうに見える連中もそんな風体です。昔風にぼろアパートに暮らして必死に車に注ぎ込んでいる様子はなかったですね。きっと医者ではないですし、IT成り金ですかね。

 ☆☆
方や年金暮らしの、それでも充分に幸せな私は、昨日もセブンイレブンのくじで当たりを引きました。ここ一週間ぐらい前から始まった恒例(こうれい)のくじです。私、一回だけ外れましたが、あと四回だったか、全部あたっています。きっとはずれが少ないんだと思いますが、カルピスソーダだの、カロリーメートだのと、有り難い。


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1 コメント

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そのハズレくじは10枚ためて応募してね! (当たるかな?)
2013-07-13 08:41:50
麦わら帽子はもう消えた
田んぼのカエルはもう消えた、それでも待ってる
夏休み。姉さん先生もういない
綺麗な先生もういない、それでも待ってる夏休み。
絵日記つけてた夏休み
花火を買ってた夏休み
指折り待ってた夏休み

畑のトンボはどこいった あの時逃がしてあげたのに、一人で待ってた夏休み
スイカを食べてた夏休み
水まきしたっけ夏休み
ひまわり 夕立 蝉の声
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