「師匠」と思える人が人生で一人でもいたらいい
もちろん生きているうちに出会う人自分にとってみな「師匠」ではある
昨日は江戸時代や明治維新での師弟関係を彷彿したくなる師弟に出会った
もともと長い付き合いではあるが
昨日は改めてこの師弟は美しいと思った
師は糸の美しさを求め東京から沖縄に移り住み芭蕉や苧麻の繊維にそれを求めた
しかし自分が追及する糸ではなく
ぐうぜんにも蚕の糸を知ったところこの糸の美しさにはまった
更に糸の美しさを求めて土を開墾桑を植え自分自身の手で蚕の交配もさせた
糸をどう美しく織るか機の研究にも時間を割いた
その糸を化学染料で染めるのは忍びなくて
植物染料にも手を染めた
弟子はの方は絹の糸作りから師事した
かれこれその生活は25年になる
そして今師は病に倒れもう先にすすめない
弟子は其の師の介護を引き受けながらも晴れやかに次なる弟子を抱えて、自分の師の志を繋いでいる
その師弟の糸作りがあるからこそ
桃山時代からの装束の補修ができている
日本に一か所しかないこの糸作りの場
30年の付き合いになるその師の方に聞いた
「すべてを教え切ったの?」
師は静かにうなずく、そして穏やかな笑顔を私に向けた
元気な時はいろいろ社会に対して、糸作りの人たちに向けて厳しいことを言っていたが、今は全幅の信頼をその弟子にむけ、不自由になった体も心も委ねている
その姿を尊敬の目で見つめ、自分自身の仕事にも自信をもって向かっている弟子の姿に感動をした
その雰囲気の中にいてうっかり高速バスを乗り過ごし、深夜の帰宅となったが日本の糸作りが途切れることなく、新たに始まったことがうれしかった
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