チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 121

2019年03月25日 13時05分21秒 | 日記
着物のくりまわしについて考えるようになったのは
姉が持っていたケリーバックの取っ手がぼろぼろになっていて捨てるというのを私が引き取ってからだ
取っ手だけが傷んでいて胴体はそんなに見苦しくない
もともと私はきものに恒例の数寄屋袋や布製のハンドバックを持ったことがなく
洋もののバックを持ち歩いていた
しかもバックお宅

バック専門のタンスまでも作ってバックを集めていた
海外に行くたびに新しいものを購入
また海外に行く人にもこういうのを買ってきての依頼をしていた

セリーヌを持ち、シャネルを持ち ヴィトンを持ち、カルチェ、グッチを持ちというように柔らかものではなくカチカチ形がお好み
であるから姉のお下がりの傷物でもケリーは嬉しかった

早速伊勢丹のエルメス店にそのバックを持っていき見てもらった
一週間ほどして連絡があり取っ手だけ代えるのに6万円だと!昭和50年後半だったと思う
6万円だせば他の店のバックがかえる
やめとこうとばかり引き取りにいき小田急デパートの修理屋に持ち込んだ。見積もりは15000円。それならと置いて帰った
一時間ほどで電話があり
「うちでは出来ませんね、同じ革は手はてにはいりません高くてもやはりそのお店に持っていったほうがーー」
そういうものなのかと納得してまた伊勢丹へ
半年後きれいになって手元に戻ってきたのを見るとどこを新しくしたのか全くわからにほどの新品になっている
しかし中を覗くと古いケリー

この疑問は後年こちらの社長さんにお会いする機会がありお尋ねした
バックの内側に職人さんのイニシアルがありそれを見ると年月がわかりどの革を使ったかも明瞭なのだという
使った革はしっかりと湿度を保って保管してあるとのこと

このことは日本のきものの「くりまわし」からのヒントだという
もちろん今の時代に始まったことではなく先祖が日本人の着物に対する知恵の数々を組み入れた結果だと

実にこのバックは着物に合う
まだ若かったから重くても平気しかもイニシアルがHであることも気に入ったのだ(HisakoのH)
そしてある日その店でマルジェラデザインの夏のコートに出会った

それは着物の紗のコートを彷彿される形と素材でかっこいい
とにかく素材が絹それに日本の紗より柔らかく糸が細い
形は羽織の襟はそのままだけど袖が細くなっていてとにかく羽織るだけという感じであった

よくよく聞くとこのデザイナー日本の着物が好きで
着物のように自由に着られる洋服を作りたいと着物を購入して研究しているのだという
このコートに出会ってから一年365日着物を着るという行動は「20年」でストップ

続きはまた明日

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