チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 97

2019年02月20日 12時37分54秒 | 日記
我が父は硬い仕事の人だったが
戦争中家が爆弾で吹とっ飛ぶまではよくキーキーキーと耳ざわりなヴァイオリンのレッスンを受けていた
家にじっといるおとなしい私はそのレッスンが始まると
三階の物置(木造の三階建だった)逃げて行きしまってあるお布団にくるまって寝ていたそうだ
しかし
お謡の練習のときは一緒に正座して師匠の口を真似ていたそうである

父はその両方も物にできなかった
疎開先ではそんな悠長なことは出来ず毎日の生活に心砕いていたのだろう

能の取材の時その幼い時の記憶が蘇り取材をしたその日から弟子に入った
腹から出す発声が良かったことと謡曲の言葉の美しさが心をうった
贅沢なことに大先生のご指導を直接受けた5年間であった

謡だけではなく仕舞も一緒に稽古するようになり
着物を着ての裾捌き足の運びかた、手先と視線の関係など
着物を着る上で仕舞の教えはどれだけ役立ったか

丹田の位置胸筋の開き方大腰筋の使い方
この基本の動きはどれも着物を着る上で大切なことだ

この時代
まだ女が能舞台に上がることは出来ず
ある化粧品会社のポスター撮りに舞台上での撮影を試みたがいくらなんでもと断られた
そのため岩手まで能舞台を求めてたどり着いたのが平泉だ
そこで生まれてはじめてパチンコをして大儲けした(これはどうでもいい)

今は女も舞台に上がる これも時代だ
大相撲の千秋楽、当時の文部大臣が女性だったので、土俵には上がらせる上がらせないで大いに揉めた
女を不浄のものとみなしていた時代だ

今思うともっと深い意味合いがあるようだが今は問わない
その時天照大神は女だよと叫んだ女闘士がいた

まとにかく能の話
あの橋渡はなんのためか
霊界と現実世界の橋渡しなのだと聞いた

そういえば能は霊の話が80%くらいある
霊界からさっと幕があき現実の社会に降りて物語を繰り広げる
そうするともう歩き方が違う
あの裾野合わせよう 襟の開け方
全て役によって違っていくのだ
その着付けの違いを見ているだけでもその役の性格とか役割が理解できる

仕舞を教えてもらってよかったのは
大腰筋を鍛えることでいつも姿勢yくしていられということと
着物の裾がはねたりたるんだりしないことだ

また肩甲骨の貼り方で呼吸の深さを教えられた
肩甲骨を意識すると襟元が崩れない

父のおかげで能に親しむのに遠慮がなかったのはありがたい
日本の伝統芸能は体の健康度としっかり連動していると思う
 
#能 #仕舞 #橋掛かり #霊界 #大腰筋 #肩甲骨
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