チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

きものを識れば日本が見えてくる 14

2024年06月19日 08時56分01秒 | 日記
6月の気温が異常
いつもより早めに薄物の着物に手を通している
本日も30度まで気温が上がるらしい
自分自身の古い本を読み返していると、(なんと31冊も本を出している)6月に着るきものはどんな時代でもややこしい
絽ちりめん、絽紬、きぬ縮、藍染有松絞り、紗袷、夏大島、明石、夏結城、夏白鷹お召しなどの素材名が出てくる。この中で、絽ちりめんや絽紬、夏白鷹お召しはもう生産されていない

古着やさんで見かけたら迷うことなく購入
そして7月に入ると植物繊維の素材となるのが一般的
ところが昨今の冷房の効きすぎでは、植物繊維のきものは保温性に劣るので寒い、そう冷えるのだ
炎天下を歩くときは気分がいい、だから真夏も絹が大活躍、絹を尊んだわが先人たちの智慧の深さに感動する
重ねて着れば暖かく、薄く織れば涼しい
こうして織りの技術も発達し、更に繭からの糸の引き方、その糸の撚り方でいろんな種類の布を生産してきた
その技術が「精密機械」を作り上げる基礎になっている

日本の養蚕業、製糸業、精錬業はいかに着心地のいい糸を作るか、いかに季節に合った布を作っていくかに精魂を傾けてきた
その技術の多くは今も生きていて、日本の精密工業を支えている

木でいうならば根っこの元の元が枯れかけている。この国の若手がそこに気が付き、わずかな人数だが根っこの設備を始めている

日本は基本的に「モノづくりの国」しかも手仕事を中心に発達してきた国、大量生産、大量消費の80年間をぼつぼつ終わりにしないといけないと思う人も増えている

世界中の大変革の真っただ中でも、きものが教えてくれることを見ていると、自分の立ち位置が明確になる。先人たちの残した文化は半端ではないな

本日チャコちゅうぶ 20時から

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