チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

半衿

2014年02月06日 09時28分36秒 | 日記
半衿の種類が年ごとに少なくなる
大正から昭和初期にかけて半衿は大変なブームを起こしたという
いまでも「えり、ゑり」とついた呉服屋さんは
もともと半襟を専門に売っていた店だ

その当時今のお金に換算すると2000えんから200万円の半襟が商売されていた
半襟や小物だけで商いが成り立っていた時代だ
女たちは24節気に
また着物の素材に合わせていろいろな種類の半襟を付けて楽しんだ

その名残なのかわが母は
何かというと半襟のお返しをしていた
昔の来客は土産物は風呂敷で包んまま差し出す
その風呂敷に無徴の熨斗紙に半襟を包んで
客が帰るときに母がそっと渡しているのを見ていた

それくらい半襟が日常の必需品であった時代があった
母は半襟を仕入れに町の小間物屋さんに行く
「ゑり次」という名前の店で半襟はもちろん腰ひも帯揚げ肌襦袢
もう美しい色のものが店にあふれていて
母のお供が楽しかった

その店の女性たちもお兄さんも「褒め上手」で
何かと褒めてもらって上機嫌のチャコちゃん先生だった
母は季節に合わせた半襟をあれこれ選ぶ
そのとき
「もう春だからシノノメがいい」
とか
「モンリンズはあるの」
とか耳で覚えた衿の四季

シノノメは東雲という縮緬
モンリンズは紋綸子

今そういう半襟は市場から姿をえしている
コメント
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