チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

新釈「金色夜叉」

2013年06月21日 08時53分41秒 | 日記
新派のあたり芸「金色夜叉」を三越劇場で見てきた
チャコちゃん先生が小さい頃姉や兄が
「熱海の海岸さんぽする貫一お宮のふたりづれーー」
と歌った後に
「ミヤさん今月今夜の此の月をボクの涙で曇らしてーーーー」
という台詞が続き
マントを着た兄がお宮に見立てた姉を蹴飛ばす真似をして
家族を爆笑させていた

そんなことがあってなんとも金色夜叉は懐かしく
熱海に始めていったとき一番先に見学したのが海岸にある「お宮の松」

兄に
「お宮の松を見てきました」
と報告したのもやれ懐かしい

金色夜叉は明治30年に尾崎紅葉が読売新聞に発表した新聞小説で
当時は大変な評判だったらしい
尾崎紅葉はその頃体調を崩していて未完のママ亡くなってしまっているので
どういう結末になるのかは誰も分からない

しかしあまりにも此の小説がみんなに読まれたので
「新派」がいち早く舞台に取り上げ此方も大成功

相思相愛の若い恋人同士貫一お宮
しかしお宮は貫一を裏切って大富豪のもとに嫁ぐ
其れを恨んだ貫一はエリート学校を中退し高利貸しの道を歩み
人としての心を封印して生活
筋書きは小説を読むなり芝居を見るなりしていただく事として

今回此の芝居を見ていて
我が国の妃とダブってしまった

お宮が「お金に目がくらんだのではない何か違う世界に飛び込んでみたかったの
自分が全く知らない世界で羽ばたいてみたかったの」
お宮がきちんとした覚悟もなく恋人を裏切って嫁いでいき
現実の生活を始めると自分の夢と希望は打ち砕けていく
そして貫一を裏切った悔悟の念で精神を病んでいく

それにしても新派の女優さん達の着物姿は美しい
しかも大暴れしても決して着崩れはせず
その立ち居振る舞いをみているだけでも参考になる

今や着物姿の美しい人を見るには
こう言う昔ながらの芝居を見るしかないのかもしれない
コメント
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