日本初の室内楽のホールとして1987年に開館したあの「カザルスホール」が、来春閉館されるという記事が3月13日の読売新聞に掲載されていた。とうとう、そう感じたのは私だけだろうか。現在の正確なホール名は、元の所有者だった「主婦の友社」の経営悪化によって土地・建物を買い受けた日本大学の冠をつけた「日本大学カザルスホール」になる。日大総務部によると御茶ノ水キャンパス再開発計画の準備のため、2010年3月31日いっぱいで使用を中止。ホールの生存を含めて?今後は未定とのこと。。。
設計は建築家の磯崎新というところに、創立時の関係者の意気込みを感じられる。座席数は511席。王子ホールよりは、少し大きめでサイズはほどほどなのだが傾斜があまりないので後方席が若干観難いのが難点といえば難点だが、小ホールにしては珍しく左右に二階席もある。元々室内楽は、オペラと同様に長年の音楽ファンがたどりつく究極の音楽シーンであることから、集客が難しかったのだが、日本のクラシック音楽層の成熟にあわせるかのように、王子ホール、トッパンホール、JTアートホールなど、素晴らしい室内楽用のホールが都内に次々と誕生した。そんな音楽ファンにとっては恵まれた環境の中で、残念なことに、総合プロデューサーだった萩元晴彦さんが亡くなられてから、「カザルスホール」独自のプログラムや企画に精彩さが欠けてきたように思われた。一流の音楽家の一般的なリサイタルだったら、カザルスホールにこだわらなくとも、一年中どこかのホールで開催されている。かってカザルスホールに脚を運んでいた愛好家は、今では王子ホールの会員になっているのではないだろうか。
問題は、10周年に導入したドイツの名匠ユルゲン・アーレント作の世界的にも貴重な北ドイツバロック様式のパイプオルガンの行く末だ。閉館してから空調管理が行われないと繊細な楽器も傷むし、楽器とホールは一体なので楽器だけ残すわけにもいかないそうだ。設計した磯崎新氏は、ブランドごと買い取った日大にも存続の責任があると語っている。日大側の対応は、日本の文化度の問題とも。一方、開館当時の初代支配人だった石川康彦氏は「我々が断念したホールを引き継いだ日大には7年間存続してくれて感謝している」と語っているそうだ。このような寂しい報道に接して、カザルスホールでの数々の名演奏や思い出が、まるで走馬灯のように私にもよみがえってくる。自分の人生にいつも音楽が寄り添っていたように、そこには確かにカザルスホールがあった。私もこれまでホールを維持してくれた日大に感謝したい。
設計は建築家の磯崎新というところに、創立時の関係者の意気込みを感じられる。座席数は511席。王子ホールよりは、少し大きめでサイズはほどほどなのだが傾斜があまりないので後方席が若干観難いのが難点といえば難点だが、小ホールにしては珍しく左右に二階席もある。元々室内楽は、オペラと同様に長年の音楽ファンがたどりつく究極の音楽シーンであることから、集客が難しかったのだが、日本のクラシック音楽層の成熟にあわせるかのように、王子ホール、トッパンホール、JTアートホールなど、素晴らしい室内楽用のホールが都内に次々と誕生した。そんな音楽ファンにとっては恵まれた環境の中で、残念なことに、総合プロデューサーだった萩元晴彦さんが亡くなられてから、「カザルスホール」独自のプログラムや企画に精彩さが欠けてきたように思われた。一流の音楽家の一般的なリサイタルだったら、カザルスホールにこだわらなくとも、一年中どこかのホールで開催されている。かってカザルスホールに脚を運んでいた愛好家は、今では王子ホールの会員になっているのではないだろうか。
問題は、10周年に導入したドイツの名匠ユルゲン・アーレント作の世界的にも貴重な北ドイツバロック様式のパイプオルガンの行く末だ。閉館してから空調管理が行われないと繊細な楽器も傷むし、楽器とホールは一体なので楽器だけ残すわけにもいかないそうだ。設計した磯崎新氏は、ブランドごと買い取った日大にも存続の責任があると語っている。日大側の対応は、日本の文化度の問題とも。一方、開館当時の初代支配人だった石川康彦氏は「我々が断念したホールを引き継いだ日大には7年間存続してくれて感謝している」と語っているそうだ。このような寂しい報道に接して、カザルスホールでの数々の名演奏や思い出が、まるで走馬灯のように私にもよみがえってくる。自分の人生にいつも音楽が寄り添っていたように、そこには確かにカザルスホールがあった。私もこれまでホールを維持してくれた日大に感謝したい。
このままでは日本は「カザルスホールを守れなかった国」として世界に記憶されてしまうと思うのですが・・
ワタシはどこかで存続の希望を声にする道を探ってみます。
ここがだめならば上述の各民間所有のホールだっていずれは同じような運命ですからね。
TBさせていただきました
>もうかなり前ですが幻のヴィルトゥオーゾ、マルク・アンドレ・アムランを日本のアマチュアが招聘したものこのホールでした。
そんなこともあったのですね。個人的には、数々の宝のような思い出がこのホールにはつまっております。まことに残念です。
>ここがだめならば上述の各民間所有のホールだっていずれは同じような運命ですからね。
やはり、manimaniさまもそう思われますか。
王子ホールも、気のせいか、近頃公演回数が減少傾向にあるようで、実は心配しているのです。そもそも民間所有で採算ベースにのせるのは難しいのではないでしょうか。サントリーホールは利用料も高いそうですが、世界一流のアーチストが舞台にたつホールとして、存在感を確立させています。サントリーは、一族が経営する非上場会社なので、四半期ごとの決算発表に躍起になり長期的な計画をたてにくい他の企業とは違います。芸術への支援の覚悟ができていると思います。
「ハコ」と中身も大事。また日本経済も厳しいなか、後援する企業も減ってなかなか難しいです。続報もお待ちしております。