千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

知られざる中国「清華大学」の実力

2005-09-30 22:52:43 | Nonsense
先ごろ「ハーバード大学の実力」という世界一有名で評価の高い大学のブログを書いたのだけれど、今月号の情報誌「選択」に、そのハーバード大学の学長自らが飛行機にのってわざわざ出向き、①卒業生なら誰でもいい②TOEFLなど不要②学費、生活費の面倒はみる、と好条件を持ち出し熱心に女子学生をくどく・・いえ、卒業生を大学院に招聘するというある大学の記事が掲載されていた。なんと驚くことに、中国の清華大学のことだ。

この北京市西北部にあり、学生数14000人、東大本郷キャンパスの10倍の敷地をもつ清華大学の成り立ちには、なかなか興味深いものがある。1899年に発生した義和団事件にはじまる。当時8カ国連合軍に鎮圧された時の清朝は、騒乱の責任から多額の賠償金を払わされた。ところが米国は1911年に、賠償金の一部を返却、これを基金に設立されたのが精華大学の前進にあたる清華学堂だったが、つけた注文がひとつ。

「我々と対等に話ができる学生が育つような大学をつくってほしい」
この注文を深読みすれば、いろいろな米国流のエスプリも感じるのだが、それはともかく厳しい選抜試験を突破した学生たちは、その後その注文どおりに奨学金付きで米国の名門大学へと飛び立っていった。
勿論入学へのハードル現在でも高い。中国の受験生には、大学の選択支はない。全国共通試験を受験して、最上位2500番に入れば自動的に、教育部のランキングで800以上の国立大学のトップである清華大学に振り分けられ、超エリート養成所であるキャンパスライフ待っている。ちなみに中国では米国の手法を模倣して毎年大学ランキングを発表している。

入学と同時に、選ばれたものたちは朝7時45分開始の講義から、夜11時まで勉学、成績も毎回発表されるという、競争社会にさらされる。けれども、半分以上を海外から招くノーベル賞受賞者もいる招聘教授による充実した講義、毎年半分もの政府からおりる研究費、という恵まれた環境にある。
卒業生も胡錦濤国家主席をはじめ、華麗なる顔ぶれが、中央省庁の大臣、高級官僚、軍幹部などの要職を凌駕している。そして中国のMITと称される科学技術者だけでなく、90年代から産学協同を進め、多くのメーカーを設立し、先端技術による商品を製作するという、産業の牽引役もになう人材を育て、質実剛健なテクノクラートの育成をめざしてきた成果が顕著でもある。
こうして国家によって育てられた優秀な卒業生は、500人は米国に留学し、欧米大企業や研究職につき、4人にひとりは国家建設に貢献しようと安月給を覚悟で再び母国にかえってくる。そして留学しない卒業生は、上場企業や外資系企業に就職するがあっというまにマーケティングやマネジメントを学び、その能力を発揮していく。

このように特別な存在の彼らのエリート意識の結びつきは、だから強い。質の高い教育が育てた愛校心は、団結して国家建設にむかう。海外に散った赤い人材も、いざとなれば母国への求心力のもとに、結集させることもできる。米国はこのように投資して、優秀な人材を利用しているのかもしれないが、本当に利用されているのは、自由と平等を誇るアメリカ精神かもしれない。そして、小さな政府をめざし、独立行政法人という都合のよい研究費縮小にあわてる日本の大学は、徐々に地盤沈下していくのだろうか。

サッカーくじtotoの存亡危うし

2005-09-29 23:20:01 | Nonsense
来年は、ドイツでワールドカップらしい。・・・らしいという私が、サッカーのことをモノ申すというのは許されないかもしれない。
ジャイアンツの清原選手が引退しない限りは、テレビの視聴率は右肩さがりと公言しているくらい、スポーツとしての野球には多くの魅力に富んでいる。その一方、サッカーも熱狂的なファンを抱えながらも、野球ほど幅広い層には浸透していないのではないか。
そして以前からささやかれていたが、2001年3月から発売されているサッカーくじ、totoが赤字続きで、154億円の債務を隠しているという疑惑報道が流れた。やっぱり。。

「トト」154億債務隠し?検査院が訂正要求 (読売新聞) - goo ニュース

Jリーグの活性化とスポーツ振興の目的で導入された、totoの昨年の売上は、15,577,446,000円。なかなかの数字ではないかと、思ってしまうのだが、初年度からすれば、実に4分の1。しかもなんと今年は、10分の1に墜落。問題は、受託金融機関であるりそな銀行との契約が、来年3月で期限切れになることだ。勿論りそな銀行も、次を狙っているライブドア、楽天、ソフトバンクも控えてはいるが、売上の基準達成は100億円。くじを運営する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」への助成金も減額されている。厳しい状況が続き、totoも消えてしまう可能性もある。

このような背景には、サッカービジネスそのものに”不成績”という原因がある。
3年前に公式サイトで発表された経営状態では、経常利益が赤字のクラブが11、借入金のあるクラブが16、債務超過のクラブが8もあり、健全経営のクラブと明暗がわかれている。しかもその後は、公表されていない。どうやら我家の台所事情と同じで、半分くらいのクラブは火の車らしい・・・。大丈夫だろうか。

Jリーグの屋台を支えているのは、優秀なサッカー選手たちではあるが、現実的な収益は、テレビ放映権、宣伝広告費、寄付金や観客動員数だ。放映権をつりあげ、寄付金を募ってもなかなか経営は厳しい。日本代表戦で盛り上がり、協会と一部人気チームには大金がころがりこむが、低迷しているチームは成績とともに経営難にも悩むというがけっぷち状態だ。「100年構想」をスローガンに、かっこよく素適なスローガンを打ち上げた日本サッカー協会の川渕三郎キャプテンのかけ声も、早い冬の到来の木枯らしの中に、消え入りそうである。

配当金が売上の47%という射幸心を失せるつまらないtotoも、当選確率の高い新商品「totoGOAL3」を発売中。努力は認めるが、評判の悪さに慌てている様子もみえる。海外では野球以上に普及しているサッカーというスポーツの真髄を理解することは、私にとってははるか遠いゴールである。
けれどもせっかく根付きつつあるサッカー人気、そして熱狂的なファンのためにも、ドイツへの道だけでなくあかるい経営を目指してほしいと願うのだが。
今年のお正月、自筆の「DREAM」という看板を支えていた川渕キャプテンの姿は、サッカー小僧たちの胸に、その言葉を鮮明に描いているはずだから。


映画保険も売っちゃう

2005-09-28 23:35:34 | Nonsense
地元のオートレースが、閉鎖されるという噂だ。
不景気の波も公営ギャンブルにもおしよせ、おとうさんたちのおこづかいも薄くなり、自治体も財政悪化、中津・新潟三条競馬場、西宮や甲子園、門司競輪場と次々に閉鎖された。(その一方でもっとも配当率の低いギャンブル、胴元天国の宝くじだけは、売上が伸びて1兆円を超える。もはやお小遣いレベルでなく、限りなくゼロに近い確率でも、一攫千金を狙う庶民が増えたということか。)ギャンブルを楽しんでいた人たちは、どこへいったのだろう。別の娯楽か、あるいはゲームセンターへ流れていったのか。

大学(もしくは高校)受験とは、その後の学園ライフをかけた楽しい人生のギャンブル。迷える子羊たちにそんなことをささやくのだが、人生、あるいは世の中にはギャンブルにもいろいろあると思う。結婚だってもしかしたら、ギャンブルかもしれない。そして映画製作も。
昨日に続き、莫大な製作費のかかる映画界の新しいお金にまつわる動きである。

東京海上日動火災保険が、国内初の「映画製作費用保険」を開発した。これは、映画が製作する途中で事故などのアクシデントで完成されなかったり、映画監督、俳優の事故や病気、撮影用のセットやフィルムの火事などで完成が遅れたり、という不測の事態に応じて、それまでかかった制作費や追加費用を補償する保険である。天候デリバティブの売れ行き好調に続き、「映画製作費用保険」も売れるのだろうか。
すでに「小椋事務所」が、大友克洋監督新作映画に保険契約を結んでいる。
保険会社は、映画製作のリスクを軽減して、日本の映画業界の活性化につなげたいという考えだそうだが。。。

「リスクを軽減する」このような考え方を、”神々への反逆”と力を入れる米国の開発者もいる。こうして欧米流の契約型と保険もかけた映画界に、日本映画も発展するのだろう。ただ最大のリスクは、映画があたるかあたらないか。こればかりは、神の確率では説明できない不特定多数の趣味嗜好の総合である。そして、映画の価値は、皮肉なことに商業主義とは別な、人生の重要な部分を表現することにある。

映画ファンドは「買い」

2005-09-27 23:25:13 | Nonsense
韓国映画を観始めたきっかけは、「JSA」か「8月のクリスマス」からだったのだろうか。
それ以前にも質の高いアジア映画を好んで観ていたが、近頃韓国映画界は元気がよい。勢いがある。多少のムラはあるが、おおかたの作品が70点以上の出来栄えだと思う。このような韓国映画界の隆盛の秘訣を問えば、韓流ブームという追い風だけでなく、次のようなことになるだろうか。

①映画産業を大事な事業とらえ、国家で助成金をだして専門学校や映画製作への後押し
②かっての財閥系の映画会社を解体し、風通しがよく自由競争になった
③一般投資家の資金投資が可能になったシステム

③に関しては、以前テレビで観たのだが、若い新興の個人の実業家が、余剰資金を映画ファンドに億(円)単位で投資を行っているのである。ファンドマネージャ自らが作成した銘柄の格付けシートを持ち込み、推奨銘柄(映画)を売り込み、このようなニューリッチに、お気に召されたら購入していただく。勿論きちんとリスクも分散させるために、1銘柄買いはしない。資金を3~5銘柄程度に分散して、バランスよく購入。ま、トヨタ自動車と東京電力の株を同時に買うようなものである。
購入者の人気クラブを数店舗経営するという20代の”青年実業家”は、投資金額が少額で(といっても日本円で億単位)、そのわりにはリターンが大きくて早い。投資リスクも小さいからと、このような資産運用の選択の回答をしていた。確かに工場をつくるよりは、安くて早い。

映画つくりには、今や莫大な制作費がかかる。大作になると10億円単位の資金が必要である。それらを調達するのは、至難のわざだ。だが、このように投資家を募ることによって、映画製作の実現がよりスピードアップされたといえよう。勿論、監督、脚本家をはじめ、優秀なスタッフとすぐれた俳優たちというパーツがそろっていることが肝心ではあるが。そして、興行不成績の時は、元本割れというリスクはある。格付けの高い国の債券を買う(為替リスクはあるが)よりは、ハイ・リスク、ハイ・リターンを覚悟しなければならない。

そんなちょっと興味をひかれる映画ファンドが、いよいよ国内でも登場していたのである。
これまでも、アイドルやゲームなどの”電車男”さまたち対象のファンドはあった。けれどもちょっときわもの的な扱いで、あまり根付いていないように思われる。ところが今回は、私が現在もっとも色気のある俳優と感じているオダギリ・ジョーが忍者役で出演する映画「忍 SHINOBI」(原作:山田風太郎)のファンドをアイザワ証券で売り出していた。
映画完成後の試写会招待やスタッフ用タオルもつき、DVDに投資家の名前がクレジットで入るという記念ものの特典もあり。興行不振の場合でも、6もしくは9割の回収を選択するリスク限定商品だ。もしもこの「忍 SHINOBI」を観たいと思う方は、1口10万円投資してみようか。と言いたいところだが、国内初の映画ファンドの募集期間はとっくに終了していた。

残念!!、興味をひかれた方、これから発売されるのが「北斗ファンド」「北斗ファンド」10月16日から募集。これは買いか???


『ニュースの天才』

2005-09-26 23:33:52 | Movie
1972年6月、ワシントンのウォーターゲート・ビルにある民主党本部に5人の男が侵入して、逮捕される。彼らの目的は、盗聴器を仕掛けること。ワシントン・ポスト紙の記者が、リチャード・M・ニクソン大統領の再選支持派の関与をスクープ。その後、大統領自身も関与していたことが明らかになり、下院司法委員会が弾劾決議案を可決した。74年8月、これを受けてニクソン大統領は辞任することになった。
この事件は、当初狂信的な人たちの単純な犯行と思われていたが、ワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワードとール・バーンスタインというふたりの記者の地道な追跡調査により、ホワイト・ハウスという国家権力による自由な選挙制度やプライバシーを犯す犯罪であることに気づくようになる。ワシントン・ポスト紙への報道担当官からの厳しい非難や中傷、圧力にも屈せず、彼らは仲間とともに侵入犯と政府の関与を認めるよう立証していった。

たったふたりの記者の直感と疑問からはじまった、ただの軽犯罪を国家的な犯罪だったことを暴いた事実に、健全で力強い米国精神を見た。いかにもアメリカらしい。
さらにこれらの一連の事件を、映画化(「大統領の陰謀」)、著書にして真実を掘り起こす作業も、いかにもアメリカ的だった。だからやっぱりアメリカが好き。
そして、今度の「ニュースの天才」
大統領専用機内に置かれる、権威ある唯一のニュース雑誌「THE NEW REPUBLIC」の24歳のスター記者が、27本もの捏造記事を書いていたという事実。ピュリッツァー賞受賞作家バズ・ビッシンジャーがこの事件を「Vanity Fair」誌に寄稿し、それをトム・クルーズが製作して映画化したこと、これもいかにもアメリカ的。アメリカだ。
だからやっぱり、アメリカは嫌いになれない。

平均年齢が20代の雑誌「THE NEW REPUBLIC」の記者たちの中でも、スティーブン・グラス(ヘイデン・クリステンセン)は若く、政財界のゴシップなどを次々とものにしていく。それらを会議の席でプレゼンテーションする時の彼のパフォーマンスつきのオハナシは、とっても楽しい。おまけに奢ることなく誰にも気配りをし、優しい。だからチノパンにボタンダウンシャツ、上品なプレッピースタイルの彼は、スターだ。誰もが彼を好んでいる。
ところが、「ハッカー天国」というタイトルの、ハッカー少年が大企業と交渉して高額の顧問料をせしめたという記事に、同じような内容を追跡していた他社の記者が調査した結果、捏造疑惑が生じる。

巧みに嘘をつき、その嘘が綻びかけても更に嘘の上塗りをし、人々の同情を買ってなんとか窮地をきりぬけようという主人公役に、ヘイデン・クリステンセンが見事にはまっている。母校の後輩にティーチ・アシスタントする時の落ち着いた自信にあふれる表情、同僚に愛嬌をふりまく善人そのものの笑顔、ことが破綻しかけていく途上の憔悴しきった顔、最後の情に訴える弱々しい姿、そのすべてが全身で語っている。役者だ。

自由とペンの公明正大な力の反面、このようなおそろしいワナをしかけることも可能だった。いつものスティーブンの笑いに満ちたゴシップ記事に、いとも簡単に、しかもほかならぬジャーナリストたちが騙されていたこと。外見と雰囲気のマジックに、その奥の事実に気がつかない。
このようなことは、大なり小なり、国内でもいくらでもある。ジャーナリストとして、最も許し難い領域にふみこんでしまったのは、それだけいかにこの業界が激しい競争に明け暮れているのかも語る。
スティーブンは、現在NYで「でっちあげ」という暴露本を執筆中。・・・これもなんだか、アメリカ的。

『みんな誰かの愛しい人』

2005-09-25 16:08:23 | Movie
「みんな誰かの愛しい人」



そんなことをあえて声を大にして言わなければならないほど、欧州は人間関係がすさんでいるのか。世界11カ国の批評家たちによるカンヌ映画祭星取りランキングでは堂々と第一位らしい。みんな誰かの愛しい人というよりも、みんなが”自分が愛しい”と主張しているような映画にも思えた。

ロリータは、声楽家をめざす20歳の女の子。作家として有名な父の再婚相手は、若くスレンダーな美人。彼女はそのスタイルと美貌を維持することを、妻として、いや女としての当然の義務と考えているらしい。ぽっちゃり体型のロリータはその体型にコンプレックスを感じている。おまけに父の自分への無関心、気をつかう継母の存在、何年も前に外国へ行ったきり音信不通の実母、父の名声と地位をめあてにつきあってくれる恋人、歌のレッスンとともに毎日、さえない日々。テレビを観ながらお菓子をつまみ、携帯電話を手離せない。

作家らしい我がままさと自己中心的な性格をもつ父エチエンヌは、近頃スランプ気味。なんだか書けない、おまけに妻とも喧嘩して、実家に家出をされてしまう。娘のロリータの歌を吹き込んだテープにも、関心がいかない。
ロリータの声楽の教師シルヴィアは、売れない作家の夫ピエールと生活している。愚痴をこぼし、自信喪失で悩む夫を励まし、経済的にも支える。少々うんざりしていたロリータの歌のレッスンだったが、彼女の父親があの有名で大好きな作家だと知り、態度を豹変する。
ジャーナリスト志望の友人セバスチャンは、ぽっちゃり体型のロリータと出会って、たちまち彼女を好きになってしまうのだが、ロリータの心はつかめない。彼女は打算的な恋人に夢中なのだから。恋人の代替え品としての自分しかないことに、いらだつ。
そして売れない作家だったピエールは、突然注目の新人作家としてマスコミからもてはやされる。嬉しい反面、どこかがぎくしゃくしていく。

そんな登場人物たちの群像劇だが、やっぱり「みんな誰かの愛しい人」というハッピーな結論に導かれる。劇中に何度も歌われるオペラの歌が、フランス映画らしい雰囲気をかもし出している。哲学するフランス人は、世界一自殺率が高いという。ちょっとぽっちゃりしているが、それはそれで魅力的、まして声楽家をめざすならまだまだスリムとも言える体型を悩むロリータのコンプレックスと感情には、あまり共感しにくい。ロリータは、間違いなくチャーミングだから。ただ、コンプレックスが邪魔をして、真実を見抜けないだけ、そしてうまくいかないことを自分の体型と誰かのせいにして現実逃避をしたいからだ。

監督・脚本を担当しているアニエス・ジャウイが、声楽教師のシルヴィア役としても出演している。映画の中で
「音楽は幸福の泉」
とさりげなく語っているのが印象に残った。

ソニーが身売りする日

2005-09-24 23:16:17 | Nonsense
ソニー「神話の呪縛」 連結最終赤字の危機/1万人リストラ (産経新聞) - goo ニュース

これから夏に向かうという絶妙なタイミングで我家の洗濯機が、突然死した。いや、確かに過労と老衰により喘ぎ始めたいたのだが、まさかこんなにあっけなくご臨終になるとは。これも最新式の洗濯機に買い換えるチャンスとばかりに、近所の家電量販店にでむき、洗剤ゼロという画期的な発想を開発した三洋の洗濯機を指名。ところが、そのお店では、三洋は殆ど仕入れていないということで、たった1台しか置いていない。乾燥機付きのドラム洗濯機だったので、それを購入したのだが、たった半年前の旧モデルというだけで半額以下のお値段だった。いいのか、三洋電機。
その後野中ともよ会長兼CEOと井植敏雅社長兼COOのツーショットを見て、「経営陣の刷新」とのたまう跡取息子の軽い発想に納得もした。
だからというわけではないが、日本の中央官庁の幹部が韓国サムスングループの首脳に、三洋の救済に力を貸していただけないかと軽く打診をした。返って来た言葉にその担当者は腰をぬかしたそうだ。

前置きが長くなってしまったが、「同じイニシャルSでも別の会社なら買います」という回答に、私もたまげた。世界の”S”だよ。
強気の彼らには、根拠があった。米ビジネスウィーク誌におけるブランド価値ランキングでは、ソニーが28位、サムスンは20位。急降下をたどり、今や不採算部門に転落したエレクトロニクス部門は、映像音響機器で遅れをとっているサムスンにとって、技術、ブランドともに買い取れば、こんなにラッキーなことはない。
このようなかってのソニーらしさを誇るエレクトロニクス部門の凋落の原因は、どこにあるのか。

かってのソニーは、まだ中途採用者の少なかった時代にも、積極的に優秀な人材を採用して確保していた。そして独自開発主義を連ねて、社員のモチベーションと意欲を維持していた。ところが出井前社長路線では、時代の波とスピード化に乗り遅れないためのひとつの方法だったのかもしれないが、自社開発に時間をかけるよりも、他社の技術を買ってスピードをあげる、必要な資源は連携で入手という、ソニーらしからぬ経営戦略が続いた。このようなビジョンもなければ、メーカーの誇りすら消失させるようなやり方は、ソニーではない。自分の好きな会社に理想論を押し付けるつもりはないが、ウオークマンを誕生日のプレゼントとして欲しがった世代としては、復活を望みたい。

かってソニーがコロンビア映画を買収した時に、米国人は魂を売られたと怒ったが、韓国にソニーが売却されたら日本人も寂しいだろう。
構造改革としてエレクトロニクス部門を視野に入れているハワード・ストリンガー新CEOではあるが、このように日本の根幹であるエレクトロニクス部門に敬意は表しながらも、彼はCBS出身で映画部門で功績をあげてトップに登りつめた方だ。本音は、冷たいという噂も聞こえる。
Apple社だって、中国に身売りする時代だ。
ハイビジョン・ビデオ「HCI」は、久々にライバルメーカーも絶賛するというコア技術はすべて自前という仕上がりの商品だ。まだまだいけるよね、アイボ君。


『理想の女』

2005-09-23 22:41:19 | Movie
-いい女は2種類しかいない
   全てを知り尽くした女と
      何も知らない女と    by オスカー・ワイルド

映画の原題でもある good woman(理想の女)とは、男にとって魅力的かもしれないが、結局は都合の良い女ではないだろうか。”理想の女”で検索したら何故か、gooでは「若妻官能クラブ 絶頂遊戯」にっかつ(1980)なんてのが、まっさきにひっかかったではないか。。。
けれどもそんな底の浅い私の疑念は、文豪オスカー・ワイルドの前には、見事にくじかれる。お見事。

南イタリアの避暑地アマルフィは、優雅に避暑を楽しむセレブな方々のもうひとつの社交場。退屈で、俗物な人種にとってNYからやってきた若く真面目で、上品なウィンダム夫妻は歓迎したいお仲間。けれども、既婚男性に言い寄り、贅沢な生活への軍資金を融資させるという噂のたえないアーリン(ヘレン・ハント)は、招かれざる客だった。そんなアーリンの別荘に、こっそり通うウィンダム夫妻の夫(マーク・アンバース)の姿が目撃されたことから、中傷とスキャンダルがおしゃべり雀たちに格好の話題を提供してしまった。

そんな噂を知らない妻のメグ(スカーレット・ヨハンセン)は、夫を信じ、一途に彼を愛する。或る日、メグはブティックでアーリンに声をかけられる。彼女に試着している露出度の高くガラス細工の重みが体のラインを描く素適なドレスの感想を求められても、メグは「想像性の欠けるドレス」とそっけない。そしてエレガントでないが、少年のような帽子がメグにはよく似合っていたのに、「人が見たらどう思うか」と脱ぎ捨てる。そんなメグに、アーリンは人がどう思うかということを気にしていたら、本当のことは見抜けないと優しく諭すのだが、そんなアーリンの真意は、外見と噂でひとを判断するメグには届かない。

アーリンとは、どんな女性なのだろうか。本当に人々が噂するとおりの娼婦のような女性なのだろうか。今は生活資金に困っている惨めな女性なのだろうか。新しいスポンサーを探すために、皺を厚化粧で隠し、最新流行のファッションを身につけている女性なのだろうか。
そんな彼女に興味をもった大金もちのおじさまタピィが、急接近。
彼はユーモアとウィットに富んだ会話をするアーリンの知性と、白い百合のような気品を薫らせる姿に、少しずつ彼女の真価に気がついていく。
「結婚は私にとって、日差しのささない部屋。毎朝めざめるとその部屋が狭くなっている。或る日目覚めると、窒息しそうなくらい部屋が小さくなっている」
そうつぶやく彼女に、老獪だが誠意と懐の深いタピィは、単なる好奇心をこえて、本気で彼女を愛し始める。

やがてメグの21歳に誕生日。最愛の夫から、アーリンが見立てたアンティークの極上の扇をプレゼントされ大喜びなのだが、夫と嫌っていたアーリンの情事の噂を耳にし、混乱する。なにを信じてよいのか、失望と傷心に気持ちが荒れるメグに、かねてから好意をもっていた友人でプレイボーイのダーリントン卿が言い寄ってくるのだが。

ユーモアとエスプリ、諧謔と示唆に富んだ会話が続く映画は、イギリス映画の王道とも言える。原作の室内劇「サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇」をイタリアの風光明媚な避暑地に移し、開放的な雰囲気にしたのは映画という伝達手段ゆえの成功だろう。正反対ともいえる恋愛観をもつふたりの女性の対比が、実はこのふたりにある絆があったという設定に、説得力を与えている。ヘレン・ハントはあまり好きな女優ではないが、その乾いて低い声が成熟したおとなの女性の魅力を与えている。
この時代に、自分に忠実に、他人の評価でなく自分を、自由な生き方を求めた代償は大きい。男色家として2年間の投獄生活を余儀なくされたオスカー・ワイルドのもうひとつの声を感じとれる珠玉の名画である。

マダムにお薦めしたいイギリス料理。

理想の女度診断を試してみたら

「あなたはメグのように純粋に愛を求め、一途に男性を愛す『理想の女』です。思いやりや気配りもできるかわいらしい人なので誰からも好かれるでしょう。そんなあなたには正義感にあふれ、誠実な男性がお似合いです。いつでもあたなを支えてくれるでしょう。」
理想の女度90%!!   やったね♪

オスカー・ワイルドの箴言



Gacktが愛読する「BANANA FISH」①

2005-09-22 23:45:44 | Gackt
ブログを開設して以来、一番不本意に感じているのが「Gackt」のカテゴリーがちっとも増えないこと。
”恋に至る病”Gackt症候群の永遠の16歳、正しい患者としては、このさえない病状はいただけないっす。
というわけで、久々にGacktさんにまつわるお話しを。

Gacktさんは、非常に懲り症である。真夏にも皮パン、豹柄が大好きでカーペット、愛用のMacを持ち運ぶケースも豹柄。そんな彼が大好きで心酔している漫画のひとつが、吉田秋生さんの「BANANA FISH」である。MALICE MIZERに在籍していた頃、「耽美実験革命」という趣味的な本を出版したが、彼のゲスト対談者が吉田さんだった。「革命前夜秘密会談」という濃ゆいタイトルで、表現手段の違いを超えて、注目するクリエーターとしてのご指名。

「BANANA FISH」とは、1980年代にNYを舞台に、天才的美少年のアッシュと、天使のような魂をもった日本人の少年エイジが中心になって広がる友情、憎悪、絆、そして闘いの物語である。物語の中心は、あくまでも彼らや登場人物の少年の心の在り方、という男の子達を描いた”少女漫画”である。そんな漫画に心酔するGacktさんの吉田さんとの対談をのぞけば、彼らしい美意識がうかがえる。

「鎖骨がきれいじゃないですか。絵の中にTシャツがでてくるでしょう。さりげなく鎖骨がピッと見えるじゃないですか。いいなあと。」
細い脚首だけでない、鎖骨フェチであるのは有名。初めてエステのCMに、全裸で登場したときに、カラダは鍛えても鎖骨は女性らしい華奢な感じは残すという芸術的なカラダつくりに励んだ。男らしくたくましい胸板に、繊細で華奢な肩、このような中性的な肉体美の発想は、誰も思いつかない。

「男の世界なのに、すごく美しい」
彼は綺麗な男とのkissを好む。それは性別をこえて、Gackt的な美しいもの(必ずしも世間一般の美の概念とは一致しない)に関する繊細な美意識のあらわれである。造形としての”美”だけでなく、男同士の美しいこころの絆やつながりをも非常に求めるタイプである。先天的なあり方といういうよりもここに至るには、多くの経緯があり、後天的に培ったものであろう。スタッフたちや友人、とりまきを「僕の大事なファミリー」とも呼ぶ姿が、実際永遠に求める男たちの絆を連想させる。

「映画化したらショーター役を一番やりたい。一番ショーターが難しいから。最後に”殺してくれ”っていうけれど、どういう表情でやるんだろうかな、とか自分になかでいろいろ考えて。笑顔って一番難しいじゃないですか。ショーターって、すごく笑うけれど、あの笑顔にどんな意味が込められているのだろうかなって。」
小泉首相がかって「女の武器は涙」と噴飯もののコメントをした時に、彼は「女の武器は、涙でなくて笑顔」と答えた。何故、笑うことが難しいのか。だから笑顔が大好きなのか。終始一貫して決してぶれることのないこの意見が、実際はアッシュだけでなく誰もが英二に惚れるのが、英二の笑顔であることに重なっているということに、Gacktさん自身が気づいていないのか。

そんなGacktが最もしびれる漫画の中のセリフが
「君は一人じゃない ぼくがそばにいる
ぼくの魂はいつも君とともにある」  奥村英二

「BANANA FISH」の世界観から誕生した、彼流に言い方では、降りてきた曲が「アスラン・ドリーム」

民主党代表・前原氏が説く「マッチョでない対米支援」

2005-09-21 23:08:14 | Nonsense
年金協議は当面継続 前原氏、安保基本法を検討 (共同通信) - goo ニュース
民主党の郷ひろみ、「イケ面」という誉れの高い新代表に就任された前原誠司氏とは、いかなる人物なのか。常に勝ち馬にのって、仲間を切るタイプだから人望がうすい、という風評も伝わってくる。しかし大事なことは、政治的手腕と実行力、そしてその前にどんなタイプの政治家か。今ひとつ見えない御仁ではあるが、雑誌「選択」2002年2月号で安全保障問題の専門家らしい対米支援に関する書簡を見つけた。

同盟国というだけけでなく、日本人の犠牲者もでた米国の多発テロに協力する必要性を説いているが、その要旨を整理してみた。

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①対テロ戦の実効性
アフガニスタンの政権交代が、対テロ戦の最終ゴールではない。いかにテロの首謀者や組織を壊滅させるかが目的であったはず。しかし、この見地にたてば、今までの軍事作戦が成功しているとは必ずしもいえない。テロ根絶には、至っていない。そもそもテロの根を軍事作戦のみで断ち切ることは不可能である。首謀者一味を抹殺しても、次のテロリストが出現するだけである。テロの背景となっている主要な社会問題を特定する努力をあらゆる角度から行い、それに国際社会が真摯に取り組むことこそが最重要の課題である。
「テロには力で」というマッチョな発想でなく、イスラム諸国もまきこんだテロリストへの口実を与えない、国際協力が不可欠である。

②対テロ戦の範囲の問題
テロリストに対する米国ブッシュ大統領の行為が、本当に「自衛権」と言えるのであろうか。必要とあらば先制攻撃をすると表明しているが、誰が、どのような証拠に基づきその判断を下すのか、国際法・国際慣習に照らし合わせて認められるのかという検証も不可欠である。米国の独善的な判断・行動であってはならない。行動性そのものに疑問を投げかけ、「悪の枢軸国」「ならず者国家」「テロ組織」に、結局口実を与えることになるからだ。

③日本の対処法
軍事面での対米支援は必要ではあるが、テロ組織との戦いに力で封じ込めるだけでは憎悪の連鎖をさらに生み、根本的な解決にはならないことを念頭におき、国際社会の知恵を結集して、日本も積極的な役割を果たすべきである。
 
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上記のタイトルは、”「マッチョ」だけでは済まない対米支援”というなかなかキャッチで、ルックス以上にイケテルではないか。
私は新代表は民主党員とはいえ、自民党よりに近い政治家という印象をもっているのだが。憲法9条を改正する意欲は大いにあり。

そんな新装開店する民主党の盛り上がりの欠ける季節のなか、後藤田正治元副総裁の訃報が届いた。警察庁長官、官房長長官として数々の”安全保証問題”を見事な腕さばきで、カミソリのような采配をふるった。

【後藤田さんの五訓】
①出身がどの省庁であれ、省益を忘れ国益を
②悪い本当に事実の報告
③勇気をもって意見具申
④自分の仕事でないと言うなかれ
⑤決定が出たら従い、命令を実行せよ

まっすぐな一本の木を連想させる政治家だった。法務大臣の時、3年以上も滞っていた死刑執行を言い渡した方ではあるが、92年に成立した国連平和維持活動協力法をめぐって
「部隊における正当防衛は憲法で禁じる武力行使にあたらないのか。この法案はガラス細工のようで危ない。歯止めが必要だ」
と、護憲の論客でもあった。大きな星が、またひとつ消えた。