先ごろ「ハーバード大学の実力」という世界一有名で評価の高い大学のブログを書いたのだけれど、今月号の情報誌「選択」に、そのハーバード大学の学長自らが飛行機にのってわざわざ出向き、①卒業生なら誰でもいい②TOEFLなど不要②学費、生活費の面倒はみる、と好条件を持ち出し熱心に女子学生をくどく・・いえ、卒業生を大学院に招聘するというある大学の記事が掲載されていた。なんと驚くことに、中国の清華大学のことだ。
この北京市西北部にあり、学生数14000人、東大本郷キャンパスの10倍の敷地をもつ清華大学の成り立ちには、なかなか興味深いものがある。1899年に発生した義和団事件にはじまる。当時8カ国連合軍に鎮圧された時の清朝は、騒乱の責任から多額の賠償金を払わされた。ところが米国は1911年に、賠償金の一部を返却、これを基金に設立されたのが精華大学の前進にあたる清華学堂だったが、つけた注文がひとつ。
「我々と対等に話ができる学生が育つような大学をつくってほしい」
この注文を深読みすれば、いろいろな米国流のエスプリも感じるのだが、それはともかく厳しい選抜試験を突破した学生たちは、その後その注文どおりに奨学金付きで米国の名門大学へと飛び立っていった。
勿論入学へのハードル現在でも高い。中国の受験生には、大学の選択支はない。全国共通試験を受験して、最上位2500番に入れば自動的に、教育部のランキングで800以上の国立大学のトップである清華大学に振り分けられ、超エリート養成所であるキャンパスライフ待っている。ちなみに中国では米国の手法を模倣して毎年大学ランキングを発表している。
入学と同時に、選ばれたものたちは朝7時45分開始の講義から、夜11時まで勉学、成績も毎回発表されるという、競争社会にさらされる。けれども、半分以上を海外から招くノーベル賞受賞者もいる招聘教授による充実した講義、毎年半分もの政府からおりる研究費、という恵まれた環境にある。
卒業生も胡錦濤国家主席をはじめ、華麗なる顔ぶれが、中央省庁の大臣、高級官僚、軍幹部などの要職を凌駕している。そして中国のMITと称される科学技術者だけでなく、90年代から産学協同を進め、多くのメーカーを設立し、先端技術による商品を製作するという、産業の牽引役もになう人材を育て、質実剛健なテクノクラートの育成をめざしてきた成果が顕著でもある。
こうして国家によって育てられた優秀な卒業生は、500人は米国に留学し、欧米大企業や研究職につき、4人にひとりは国家建設に貢献しようと安月給を覚悟で再び母国にかえってくる。そして留学しない卒業生は、上場企業や外資系企業に就職するがあっというまにマーケティングやマネジメントを学び、その能力を発揮していく。
このように特別な存在の彼らのエリート意識の結びつきは、だから強い。質の高い教育が育てた愛校心は、団結して国家建設にむかう。海外に散った赤い人材も、いざとなれば母国への求心力のもとに、結集させることもできる。米国はこのように投資して、優秀な人材を利用しているのかもしれないが、本当に利用されているのは、自由と平等を誇るアメリカ精神かもしれない。そして、小さな政府をめざし、独立行政法人という都合のよい研究費縮小にあわてる日本の大学は、徐々に地盤沈下していくのだろうか。
この北京市西北部にあり、学生数14000人、東大本郷キャンパスの10倍の敷地をもつ清華大学の成り立ちには、なかなか興味深いものがある。1899年に発生した義和団事件にはじまる。当時8カ国連合軍に鎮圧された時の清朝は、騒乱の責任から多額の賠償金を払わされた。ところが米国は1911年に、賠償金の一部を返却、これを基金に設立されたのが精華大学の前進にあたる清華学堂だったが、つけた注文がひとつ。
「我々と対等に話ができる学生が育つような大学をつくってほしい」
この注文を深読みすれば、いろいろな米国流のエスプリも感じるのだが、それはともかく厳しい選抜試験を突破した学生たちは、その後その注文どおりに奨学金付きで米国の名門大学へと飛び立っていった。
勿論入学へのハードル現在でも高い。中国の受験生には、大学の選択支はない。全国共通試験を受験して、最上位2500番に入れば自動的に、教育部のランキングで800以上の国立大学のトップである清華大学に振り分けられ、超エリート養成所であるキャンパスライフ待っている。ちなみに中国では米国の手法を模倣して毎年大学ランキングを発表している。
入学と同時に、選ばれたものたちは朝7時45分開始の講義から、夜11時まで勉学、成績も毎回発表されるという、競争社会にさらされる。けれども、半分以上を海外から招くノーベル賞受賞者もいる招聘教授による充実した講義、毎年半分もの政府からおりる研究費、という恵まれた環境にある。
卒業生も胡錦濤国家主席をはじめ、華麗なる顔ぶれが、中央省庁の大臣、高級官僚、軍幹部などの要職を凌駕している。そして中国のMITと称される科学技術者だけでなく、90年代から産学協同を進め、多くのメーカーを設立し、先端技術による商品を製作するという、産業の牽引役もになう人材を育て、質実剛健なテクノクラートの育成をめざしてきた成果が顕著でもある。
こうして国家によって育てられた優秀な卒業生は、500人は米国に留学し、欧米大企業や研究職につき、4人にひとりは国家建設に貢献しようと安月給を覚悟で再び母国にかえってくる。そして留学しない卒業生は、上場企業や外資系企業に就職するがあっというまにマーケティングやマネジメントを学び、その能力を発揮していく。
このように特別な存在の彼らのエリート意識の結びつきは、だから強い。質の高い教育が育てた愛校心は、団結して国家建設にむかう。海外に散った赤い人材も、いざとなれば母国への求心力のもとに、結集させることもできる。米国はこのように投資して、優秀な人材を利用しているのかもしれないが、本当に利用されているのは、自由と平等を誇るアメリカ精神かもしれない。そして、小さな政府をめざし、独立行政法人という都合のよい研究費縮小にあわてる日本の大学は、徐々に地盤沈下していくのだろうか。